【マンチェスター攻撃】容疑者の父と弟リビアで拘束 英当局は関係者のネットワーク追跡

マンチェスター攻撃の実行犯とされるサルマン・アベディ容疑者
Image caption マンチェスター攻撃の実行犯とされるサルマン・アベディ容疑者

英マンチェスターのコンサート会場で22日夜に起きた自爆攻撃について、実行犯とされるサルマン・アベディ容疑者(22)の父と弟がリビアで武装勢力によって拘束されたことが明らかになった。兄はマンチェスター南部で逮捕されている。英警察は国内で合計7人を拘束。実行犯を支援した「ネットワーク」を追跡しているという。

グレーター・マンチェスター警察によると、容疑者の兄イスマイル・アベディ容疑者(23)を23日にマンチェスター南部チョールトンで逮捕したほか、父ラマダン・アベディ容疑者と弟ハシェム・アベディ容疑者(20)はリビアの首都トリポリで武装勢力に拘束された。

イアン・ホプキンス警察本部長は24日午後、「我々が捜査しているのは明らかに、ネットワークだ。申し上げたように、捜査は一定のペースで進展している。今こうしている間も、グレーター・マンチェスター圏全域で広範な捜査活動が行われている」と述べた。

捜査当局によると24日には、マンチェスターから南東約120キロのヌニートンで男性を1人逮捕した。またマンチェスター中心部の鉄道駅に近い集合住宅を家宅捜索し、不審物の制御爆破を行うために列車の運行を一時停止した。

お使いの端末ではメディアプレイバックはご利用になれません
【マンチェスター攻撃】 市民は悲しみの中で団結 「へこたれない」
お使いの端末ではメディアプレイバックはご利用になれません
【マンチェスター攻撃】 自分の子供になんて説明すれば

米人気歌手アリアナ・グランデさんのコンサート終了直後に起きた爆弾攻撃で、幼い子供を含む22人が死亡し、64人が負傷した。負傷者のうち20人が重体。

欧州ツアー中のグランデさんは、ロンドン、ベルギー、ポーランド、ドイツで予定されていた公演を中止した。「失われた人たちに、きちんと敬意を示したい」と説明している。

Image caption サルマン・アベディ容疑者の兄イスマイル容疑者(左)はマンチェスター南部で、父ラマダン容疑者はリビア・トリポリで拘束された
Image caption サルマン・アベディ容疑者の弟ハシェム容疑者(20)はリビア・トリポリで拘束された

英政府は23日、テロ警戒レベルを最高の「危機的」に引き上げた。これは別の攻撃が切迫しているおそれがある状態。

警戒レベルの引き上げに伴い、英国内の主要拠点や公共施設の警備に、軍が配備された。

アンバー・ラッド内相は、マンチェスターでの攻撃が「これまでの他の多くの攻撃よりも高度なもので、容疑者がひとりで実行したわけではない可能性がある」と述べた。

Image copyright New York Times
Image caption 米紙ニューヨーク・タイムズは、現場で回収された証拠品だとして2点の写真を報道した

米国から捜査情報漏洩

これとは別に、米紙ニューヨーク・タイムズは、捜査当局が現場で回収した証拠品のものだという写真を掲載。バックパックの切れ端やボルト、ねじ、「起爆装置の可能性がある」残骸だと同紙は伝えている。同紙は、こうした遺留品から、「強力で高速な電荷の爆弾だとうかがえる。また金属片が慎重に、均等に詰め込まれていたと思える」と書いている。

英当局は、米政府側から様々な捜査情報がマスコミに漏洩(ろうえい)される状況に強い怒りを表明している。

現場遺留品の写真が報道されたことについて、英政府筋はBBCに対して、「(漏洩は)信じられないことだ。みんな激怒している。まったく受け入れられない」と強い調子で述べた。

対テロ捜査を担当する警察報道官は、こうした情報漏洩は「捜査を妨害し、世界中の諜報・捜査関係者の信頼感を損ない、捜査に協力する被害者や目撃者の信頼を損ねる」ものだと批判した。

「大規模な対テロ捜査の真っ最中に、証拠品の可能性があるものを正式な許可なく公表したのでは、損害はさらに大きくなる」と報道官は述べた。

グレーター・マンチェスター圏のアンディー・バーナム市長は、捜査情報のリークについて駐英米国大使に問題を指摘したという。

実行犯とされるサルマン・アベディ容疑者の名前も、当初は米国側が米メディアに情報を提供した。これについてラッド内相は、米政府に対して不満をあらわにし、「二度とあってはならない」と伝えたと明らかにしていた。

BBCのフランク・ガードナー安全保障担当編集委員によると、実行犯は他人が作った装置を使った「ミュール」(訳注・ラバの意味)だとみられている。

Image caption マンチェスター攻撃の実行犯とされるサルマン・アベディ容疑者

サルマン・アベディ容疑者とは

アベディ容疑者(22)は、リビア出身の両親のもと、マンチェスターで生まれた。市内のサルフォード大学の学生だった。

2009年~2011年にかけて、市内のバーネジ男子アカデミーに通い、2013年までマンチェスター・コレッジで学んだ。

国連で過激化問題に取り組み、現在はマンチェスター・メトロポリタン大学で働くハミド・エル・サイドさんは、容疑者が家族と「本当にひどい関係」にあり、両親は息子に「正しい道」を守らせようと努力したが失敗したのだと話す。

「結局は大学の成績がとても悪く、卒業できなかった。両親は何度か息子をリビアに連れて帰ろうとした。欧州式の暮らし方になかなかなじめなかったようだ」

容疑者の元同級生はBBCに対して、「冗談ばかり言っていた」ものの、「非常に短気」で、「ささいなことにも」怒り出す若者だったと話した。

匿名を希望したこの男性は、容疑者が「悪い連中と一緒にいて、とても、とてもだまされやすかった」と話した。

2011年に男子中学を卒業する前から、容疑者は「どんどん宗教にはまっていった」という。

匿名を希望するイスラム教徒コミュニティーの関係者はBBCに、容疑者の高校での知人2人が約5年前に別々に、過激思想の持ち主だと警察に通報したことがあると話した。

(英語記事 Manchester attack: Police hunt 'network' behind bomber

この話題についてさらに読む

関連リンク

BBCは外部サイトの内容に責任を負いません