コーミー前FBI長官、トランプ氏に「忠誠」要求されたと 上院証言へ

Trump and Comey Image copyright Reuters

ドナルド・トランプ米大統領に解任された連邦捜査局(FBI)のジェイムズ・コーミー前長官は8日、上院情報委員会で証言する。上院は、コーミー氏が事前提出した証言内容をウエブサイトに掲載。それによると前長官は、トランプ氏が自分に「パトロン的関係」を持ちかけ、「忠誠」を要求したと証言する。前長官はさらに、前大統領補佐官とロシア当局につながりに関する捜査を中止するよう、大統領が促したと証言する見通し。

コーミー氏が上院情報委に提出した証言によると、マイク・フリン氏が大統領補佐官(国家安全保障問題担当)就任前にロシア当局とどう関わっていたか調べるFBI捜査は、自分に影を落としていると大統領はコーミー氏に告げた。

さらに前長官は、大統領に3回、大統領自身は捜査対象ではないと伝えたと証言する。これはトランプ氏のこれまでの説明を裏付ける内容となっている。

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FBI長官解任 ホワイトハウスと大統領の説明が矛盾

コーミー氏の証言内容を受けて、ロシア疑惑をめぐりトランプ氏が個人的な法務顧問として雇ったマーク・カソウィッツ弁護士は、大統領は捜査対象ではないとコーミー氏自身が認めたことで、「自分の主張の正当性が認められて大統領は非常に満足している」とコメントした。

7ページにわたる書面を証言として提出したコーミー氏は、最初にトランプ氏と会談したのは1月6日だと説明。ニューヨークのトランプ・タワーでコーミー氏が一人で、就任前のトランプ氏に向けられている「わいせつで未確認」な疑惑の内容について説明した。これは1月初めに報道された、ロシア当局がトランプ氏についてわいせつ行為など問題情報を把握しているという内容に関するもの。トランプ氏がかつてモスクワのホテルで売春婦と遊んでいる様子を、ロシア当局に撮影されているという疑いについて、英情報機関の元職員が資料をまとめていた。

コーミー氏の証言書面によると、トランプ氏は次の会談で「疑惑への嫌悪感を示し、内容を強く否定した」という。1月27日にホワイトハウスで一対一の夕食に招かれた際の発言で、コーミー氏はこの時は大統領と「非常にぎこちない会話」を交わしたと証言する。

コーミー前長官の証言とは別に、国家安全保障局(NSA)のマイク・ロジャーズ長官と、ダン・コーツ国家情報長官は上院情報委員会で7日、ホワイトハウスに違法行為を強いられたと感じたことは一度もないと証言した。

しかしコーミー氏は8日に同委員会で、大統領との一連の会話でフリン前補佐官の捜査について居心地悪く感じ、その度合いは増していったと証言する。

予定されている証言によると、大統領はコーミー氏にホワイトハウスの一室で、長官の座に留まりたいのかと尋ねた。この時点で大統領はすでに2回にわたり、辞任しないように自分に告げていたため、コーミー氏は「奇妙」に感じたという。

ホワイトハウス内での一対一の夕食の場で、仕事を続けたいのか尋ねられたことで、大統領が「何かパトロン的な、ひいき関係のようなものを作り出そうと」しているように感じたと前長官は証言する。

さらに「それから間もなく、大統領は『僕は忠誠が必要だ。忠誠を期待する』と述べた」と前長官は証言する。

「ぎこちない沈黙が続いた。その間、私は動かず、話さず、顔の表情をいっさい動かさなかった。私たちはただ単に黙ったまま、お互いを見つめ合った」とコーミー氏は書いている。

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トランプ氏とコーミー氏の複雑な関係

書面の中でコーミー氏はさらに、2月14日に他の情報機関幹部と共にホワイトハウスでトランプ氏と会談した際のことも詳述している。

大統領執務室で行われた情報機関幹部の会合の後、大統領はコーミー氏に残るよう告げて、「マイク・フリンの話をしたい」と持ちかけたという。

大統領補佐官就任前にロシアの駐米大使と対ロ制裁解除について協議したことについて、フリン氏が政権首脳に事実と異なる説明をしたため、大統領は2月13日にフリン氏の辞任を求めたばかりだった。

コーミー氏によると大統領は翌14日に一対一で、「(捜査を)やめる、フリンを自由にするための道筋がはっきり見えるといい。彼はいい奴だ」と述べた。

前長官は、捜査から手を引く約束などしていないと証言する。

コーミー氏によると大統領はさらに、3月30日にも電話をかけてきて、ロシア疑惑捜査は「国のために行動する自分の能力を妨げている雲」だと告げたという。大統領は、自分は「ロシアと何の関係もない、ロシアの娼婦(hookers)と関わったこともない」と話したと、コーミー氏は証言する(訳注:「hooker」は売春婦を意味する俗語)。

コーミー氏は、1月6日と同27日、3月30日の3回にわたり、大統領自身は捜査対象ではないと安心させたと証言する。

前長官によると大統領はさらに4月11日にも、念押しの電話をかけてきた。これが2人の最後の会話だったという。

コーミー氏は最後の電話で大統領に、ホワイトハウスは司法省に連絡すべきだと伝えたと証言する。

コーミー氏は、自分がオバマ政権下でFBI長官を務めた3年余りの間にバラク・オバマ大統領と直接会話したのは、2回だけだったものの、トランプ政権ではわずか4カ月の間に一対一で9回会話したと証言する。3回が直接対面、6回が電話での会話だったという。

コーミー氏は5月9日にFBI長官を解任された

前長官の証言で、民主党側は大統領が司法手続きを妨害しようとしたという批判を強めていくと思われる。

一方で大統領は、自分は捜査対象ではないことが確認されたと強調する見通し。コーミー氏に解任を告げた手紙でトランプ氏は、「自分は捜査の対象ではないと、3回の別の機会に説明してもらったのはありがたく思う」と書いていた。

Image copyright AFP/Getty Images
Image caption トランプ大統領がコーミー長官にあてた解任の手紙。ホワイトハウス公表

(英語記事 Comey to testify Trump told him: 'I expect loyalty'

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