【ロンドン火災】地元自治区の区長が辞任

ケンジントンの区庁舎前には先週、区の支援を求めてデモをする人々が集まった Image copyright Getty Images
Image caption ケンジントンの区庁舎前には先週、区の支援を求めてデモをする人々が集まった

今月14日にロンドン西部にある公営の高層住宅「グレンフェル・タワー」で起きた、少なくとも79人が死亡した大規模火災をめぐり、対応が批判されている地元自治区の区長が21日、辞任した。

辞任した区長のニコラス・ホルゲート氏はサジド・ジャービド・コミュニティー・地方自治相から辞任を求められたと語った。政府はこれを否定している。

ホルゲート氏は火災について「胸が張り裂ける思いだ」としつつも、自分が職にとどまれば「邪魔になる」と語った。

住民からは、初期段階の救援活動が「大混乱していた」と、強く批判する声が上がっている。

21日の区の発表によると、ホルゲート氏は区が被災者たちの救済を最優先にして取り組むべきだと述べた。同氏は2014年から区長を務めていた。

ホルゲート氏は、ジャービド氏が20日に、「区議会の議長に対し、私に辞任を促すよう求めた」と語った。

しかし、コミュニティー・地方自治省の報道官は区長の辞任への関与を否定し、「区長の任命は完全に地元当局の責任」だと述べた。

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Image caption ホルゲート氏は2014年12月に区長に就任した

ホルゲート氏は、「非常に大変な時期に、区の行政をこのまま率いていきたいと願っていたが、適切な後任が指名され次第、職から退くべきだと決心した。被災者のためにすべきことはまだ非常にたくさん残っており、区とそのほか多くの関係者が全意識を集中させる必要がある。もし私が職にとどまれば、私の存在が邪魔になる」と述べた。

同氏はさらに、「公の調査と捜査がこの悲劇の原因と事後対応について、真実をいずれ明らかにするだろうが、区議や区幹部たちはいつも住民たちのためを心から考えるように努力してきたし、これからもそうするだろう」と述べた。

ニコラス・パジェット=ブラウン区議会議長は、ホルゲート氏の辞表を「遺憾ながら」受け取ったと語った。

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パジェット=ブラウン議長は、「グレンフェル・タワー火災の悲劇を受けて、区は悲しみに打ちひしがれており、被災者に最大限可能な支援を提供しようとしている。これは非常に大きな任務で、ニコラス(ホルゲート氏)はその努力を最前線で率いた」と述べた。

野党・労働党の影の内閣で住宅相を務めるジョン・ヒーリー氏はBBCの番組で、ホルゲート氏の「辞任は正しい」と語った。

ヒーリー氏は、「彼は辞めなくてはいけなかった。悲惨な火災の直後の数日、区は行方不明状態だった。犠牲者や生存者、行方不明の家族の消息が依然として分からない人々は、現場で助けを必要としていた。それに何より、誰かが被災者を安心させ、救援活動を調整しなくてはならなかった」と述べた。

先週の火災の後、グレンフェル・タワーの一部の住民はホテルやベッド・アンド・ブレックファスト(B&B)で宿泊しているが、より長く滞在できる住居はロンドン以外で提供されるのではないかと懸念されていた。

ケンジントン・チェルシー区から得られた情報や支援は、限られたものだったと住民たちは語っている。

救援活動には、政府職員が動員され、他のロンドン自治区も協力要請を受けた。ロンドン西部のイーリング区も人道支援を行っている。

2015年に860万ポンド(約12億円)かけて実施された大規模修繕工事をめぐっても、疑念が出ている。使われた外装材が激しい延焼の原因になったのではないかという指摘だ。

メイ首相は火災の経緯について公的調査を指示している。

メイ首相自身も、火災直後に被災者に会いに行かなかったことで批判を受けているが、火災への対応で「国家的」な失態があったと謝罪した。同首相は22日に下院で火災について発言する予定。

メイ首相は21日に議員らに対し、「人々は持ち物や住まいを失い、何が起きたのか、何をすべきなのか、どこに助けを求めるべきなのかについての基本的な情報さえ提供されていない」と語った。

政府は、グレンフェル・タワーから約2.5キロの距離にあるケンジントン・ロウの福祉住宅68戸が被災者たちに提供されると発表した。

21日には、火災の犠牲者として身元が最初に明らかになったモハメド・アルハジャリさん(23)の葬儀が行われた。シリア難民のアルハジャリさんの家族のほか、ロンドンのサディク・カーン市長らがロンドン東部のイスラム教礼拝所(モスク)で行われた葬儀に出席した。

(英語記事 London fire: Kensington council boss quits over Grenfell tragedy

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