BBCが高額報酬の出演者を公表 男女格差に女性司会者ら反発

BBC内の男女賃金格差解消を求める公開書簡に、BBCの著名女性キャスターたちが署名した。左上から時計回りに、エミリー・メイトリス、ビクトリア・ダービシャー、スー・バーカー、アレックス・ジョーンズ、フィオナ・ブルース、クレア・ボールディング各氏
Image caption BBC内の男女賃金格差解消を求める公開書簡に、BBCの著名女性キャスターたちが署名した。左上から時計回りに、エミリー・メイトリス、ビクトリア・ダービシャー、スー・バーカー、アレックス・ジョーンズ、フィオナ・ブルース、クレア・ボールディング各氏

BBCが年次報告発表に伴い高額報酬を払っている出演者の名前を公表したところ、男女の賃金格差が明らかになり、複数の著名女性司会者らが格差是正を求める公開書簡を、トニー・ホールBBC会長に送った。

BBCは19日に年次報告を発表。これに伴い、年間15万ポンド(約2200万円)以上を得ているスター出演者(BBC記者や司会者も含む)の名前も公表した。その結果、15万ポンド以上を得た人の3分の2以上が男性だと明らかになった。ラジオ2のDJクリス・エバンズさんが、220万~250万ポンドの間で最高額。最高額の報酬を得た女性タレントは、45万~50万ポンドを得たクローディア・ウィンクルマンさんだった。

ジャスティーン・グリーニング教育相は、BBCの男女賃金格差は「正当化しがたい」と批判。野党・労働党のジェレミー・コービン党首も、格差は「天文学的だ」と非難した。

ホール会長に格差解消を求める公開書簡は、「大勢が何年も前から疑っていたことが明らかになった(中略)BBCの女性たちは男性たちと同じ仕事をしても給料が男性より少ない」と批判し、「是正」を要求。会長も「すでに作業はかなり進んでいる」と答えた。

書簡にはBBCの女性司会者ら40人以上が署名。BBCスポーツのキャスター、スー・バーカー、BBCラジオ4のミシャル・フセイン記者やサラ・モンタギュー記者、BBCニュースと「アンティーク・ロードショー」のキャスター、フィオナ・ブルース、「ザ・ワン・ショー」のアレックス・ジョーンズ各氏が名を連ねた。

ジョーンズ氏の報酬は40万~45万ポンドの間。ブルース氏は35万~40万ポンド。バーカー氏は30万~35万ポンド。

書簡はさらに、今回公表されたのは報酬15万ポンド以上の人たちだが、それ以外にBBCの製作や技術、地方局などで働く大半の社員にとっても格差は問題となっていると指摘する。

「多くの人たちに比べて、私たちは高額の報酬を得ていて幸運です」と書簡は続け、「しかし、今は平等の時代で、BBCは自分たちの価値観を誇る組織です」と指摘した。

「(会長は)2020年までに男女賃金格差を『なんとかする』と発言してきましたが、BBCは社内の賃金格差を何年も前から把握していました。私たちはこうして、会長に今すぐ行動してくださいと公に要求します」

女性たちは、「次世代の女性たちがこのような差別に直面しないよう」、ホール会長と直接面会する用意があると書いている。

公開書簡を取りまとめたのは、女性の話題を取り上げるBBCの長寿ラジオ番組「Women's Hour(女性の時間)」の司会者ジェーン・ガービー氏。自分は15万ポンド以上の高額報酬者には含まれていない。

ガービー氏はBBCラジオ4に対して、公平な賃金についてBBCは「規範となるべき」だと述べた。

「私たちは同額の給料を求めているわけではなく、求めているのは公平性。大々的な賃金アップを求めているわけではない」

「BBCが象徴しているはずのものを、私は愛している。この素晴らしい組織の実力のほどを、英国全体に示しましょう」

Image caption 15万ポンド以上の高額報酬を得ているBBC出演者の男女比較(単位=千ポンド)。男性が緑、女性が紫。最高レベルの報酬は220万~225万ポンド。

スポーツ中継などで知られるクレア・ボールディング氏は、2010年に「Women's Hour」の司会をした後に自分の報酬が他の類似番組に比べて「4割低い」と気づいたことから、BBC内の賃金格差を心配するようになったという。

「私たちは高額報酬だから公表されたリストに載っているわけだが、(BBC全体で)ずっと同じでないわけがない」とボールディング氏は番組で話した。

「組織の全体でそうだから、リストに載った私たちが立ち上がって、『ちょっと待った、もうたくさん。協力してなんとかしましょう』と。声を上げなくてはならないと思っている」

「天文学的」

英政府のグリーニング教育・女性・機会均等相はは23日、スカイニュースに出演し、BBCの男女賃金格差に「衝撃を受けないわけにいかない」と述べた。

教育相はBBCの「評判にかかわる問題」だと述べ、一部の賃金格差を正当化するのは「非常に困難だ」と批判した。

コービン労働党党首はBBCの「アンドリュー・マー・ショー」で、自分も喜んで書簡に署名するし、BBCは「自分を見つめる必要がある」と述べた。

コービン氏はその上で、問題はBBCだけに留まらず、差別な英国で「深刻な問題」だと指摘した。

番組司会者マー氏がBBCから受け取る報酬は、年額40万ポンド~44万9999ポンドの間。もし自分が女性だったら、「10年前に」テレビに出られなくなっていたはずだと述べた。

57歳のマー氏は、「テレビに出ている中高年女性は本当に少ない」と指摘した。

来年は「かなり違った数字」に

公開書簡を受けて、ホール会長は今後2カ月の間に「今まで以上に幅広く相談」し、書簡に署名した人たちの意見も重視すると答えた。

「来年の年次報告を発表する際には、今回とかなり違った数字になるはずだ」

「他の組織は来年4月までに男女賃金データを公表する。他の組織と比較した時、BBCが最も優秀だという状態にしたい。さらにそれ以上に、今後3年の間に、BBCが性別と多様性において傑出した存在だと見られるようにしたい」と、会長は決意を示した。

(英語記事 Female stars call on BBC 'to sort gender pay gap now'

この話題についてさらに読む