【バルセロナ襲撃】 ワゴン車3台とガス缶120個で大規模攻撃計画か

スペイン当局はアルカナルで爆発した民家を集中的に捜査している Image copyright EPA
Image caption スペイン当局はアルカナルで爆発した民家を集中的に捜査している

スペイン・バルセロナと約120キロ離れたカンブリス市でワゴン車による歩行者襲撃を繰り返した組織が、ガス缶120個を集めて大規模な車両攻撃に使おうとしていたことが明らかになった。スペイン警察が20日、発表した。

スペイン北東部カタルーニャ自治州警察のホセプ・リュイル・トラペロ本部長は記者会見で、バルセロナから海岸沿いの南西約200キロにあるアルカナルで16日夜に爆発した民家から、ガス缶120個が発見されたと説明。男12人からなるテロ組織は半年以上前から、レンタカー3台にガス缶を積んでバルセロナで連続攻撃を実施する計画を立てていたようだという。一人は逃走中、4人は逮捕されたほか、身元不明の遺体2体が見つかっていると、本部長は述べた。

逃走している一人は、17日夕にバルセロナを襲ったワゴン車の運転手で、警察は身元を把握しているが、現段階で公表するつもりはないと本部長は話した。

一方で捜査筋は、モロッコ生まれのユネス・アブーヤクーブ容疑者(22)の行方を追っていると認めている。スペイン・メディアはこのアブーヤクーブ容疑者が、バルセロナ襲撃の運転手だったと伝えている。

トラペロ本部長は、「バルセロナ市内の1カ所もしくは複数カ所における爆弾攻撃を準備していた」容疑者らが、アルカナルの民家を準備拠点としていた様子が「徐々にはっきりしつつある」と話した。

スペインの一部報道は、イスラム聖戦主義組織がバルセロナ市内にあるアントニ・ガウディ設計のサグラダ・ファミリア教会を爆弾攻撃の標的にしていたと伝えている。

トラペロ本部長はさらに、容疑者たちが「どういう理由で過激化したのかは特定できない」と述べたほか、行方を探している一人の動向について「具体的な情報はない」ものの、フランス国境をすでに超えた可能性も除外できないと話した。

警察が確保したという身元未確認の遺体2体は、爆発した民家跡から発見された可能性がある。

スペインメディアは、遺体の一人は、カンブリスで殺害されたサイード・アーラア容疑者のきょうだい、ユセフ・アーラー容疑者と、イスラム教指導者(イマーム)アブデルバキ・エス・サティ師の可能性があると伝えている。サティ師は、容疑者の複数が住んでいたバルセロナ北郊リポイ出身だった。

サティ教師は今年6月にリポイのモスク(イスラム教礼拝所)を出てモロッコに向かったとされているが、同居人はBBCに対して、今月15日の時点でリポイで姿を見たと話している。

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バルセロナのワゴン車襲撃 現場にいた人たちは

バルセロナのランブラス通り襲撃では13人が死亡し、多数が負傷した。

カタルーニャ州当局は、死亡した中に英豪二重国籍のジュリアン・キャドマン君(7歳)が含まれていたと確認した。襲撃で重傷を負った母親と現場ではぐれ、家族が安否情報を求めて呼びかけていた。

バルセロナ襲撃の約8時間後には約120キロ西のカンブリスでもワゴン車が歩行者を襲い、女性が一人死亡。車内から出てきた男5人を警察が射殺した。男たちは、イスラム聖戦主義者だと疑われている。

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Image caption 事件後初の試合でFCバルセロナの選手たちは、自分の名前の代わりに「バルセロナ」と書かれたジャージでピッチに立った(20日)

20日には地元サッカーチーム、FCバルセロナが市内の競技場カンプ・ノウで事件後初の試合に臨み、レアル・ベティスを2対0で下した。黒い喪章を腕にした選手たちは、試合開始前に1分間の黙とうを捧げた。

これに先立ち、20日にはサグラダ・ファミリア大聖堂で追悼ミサが開かれ、スペイン国王フェリペ6世とレティツィア王妃も出席した。バルセロナ大司教フアン・ホセ・オメリャ枢機卿は、平和と団結を呼びかけ、「私たちは恐怖を乗り越える」と語った。大司教は、「今あらためて暴力を非難する。暴力は創造主に対する極めて深刻な罪だ」というフランシスコ法王のメッセージを読み上げた。法王は「私たちが世界の平和と調和のため働き続けられるよう、神に助けを求めて祈る」と伝えた。


判明している容疑者たちは

過激派組織のいわゆる「イスラム国」(IS)がバルセロナ襲撃について犯行声明を出しているが、容疑者たちが直接ISとつながりがあるのか、単にISに共鳴していただけなのかは明らかになっていない。

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Image caption 左から、ムーサ・ウカビル容疑者、サイード・アーラア容疑者、モハメド・ハイチャミ容疑者、ユネス・アブーヤクーブ容疑者。左3人は死亡。ユネス・アブーヤクーブ容疑者は行方不明
  • 死亡――イスラム聖戦主義者と疑われる5人をカンブリスで警察が射殺。ムーサ・ウカビル(17)、サイード・アーラア(18)、モハメド・ハイチャミ(24)、フセイン・アブーヤクーブ各容疑者。
  • 逮捕――リポイで、ドリス・ウカビル(28)、サハル・エル・カリブ(34)、モハメド・アーラア(27)の容疑者3人を逮捕。ドリス容疑者は、カンブリスで射殺されたムーサ容疑者の兄で、自分の身分証が犯行車両を借りるために盗まれたと出頭。アルカナルの民家爆発後に同市のモハメド・フーリ・チェムラル容疑者を逮捕。
  • 追跡中――バルセロナ襲撃の運転手と疑われるユネス・アブーヤクーブ容疑者。ユセフ・アーラア容疑者(サイード容疑者の兄)とアブデルバキ・エス・サティ師。後者二人はアルカナル民家爆発で死亡した可能性あり。

被害者たちは

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Image caption カナダ人イアン・ムーア・ウィルソンさん(写真左)の死亡も確認された。右は妻のバレリーさん

これまでに名前が公表されたバルセロナ襲撃の犠牲者――。

  • ジャレッド・タッカーさん(米国出身、43)
  • エルケ・ファンボクライクさん(ベルギー出身、44)
  • シルビナ・アレハンドラ・ペレイラさん(スペイン・アルゼンチン出身、40)
  • カルメン・ロパルドさん(アルゼンチン出身、80)
  • ペピータ・コディナさん(スペイン出身、75)
  • イアン・ムーア・ウィルソンさん(カナダ出身)
  • フランシスコ・ロペス・ロドリゲス(スペイン出身、57。甥の3歳息子も死亡)
  • ブルーノ・グロッタさん(イタリア出身、35)
  • ルーカ・ルッソさん(イタリア出身、25)
  • ジュリアン・キャドマンさん(英・豪出身、7)

このほか、カンブリス襲撃でスペイン人アナ・マリア・スアレスさんが死亡。バルセロナでは、ポルトガル人二人の死亡も確認されている。

負傷者の容体についてはカタルーニャ救急救命当局によると、バルセロナ襲撃では13人が重体、20人が重傷、14人が比較的軽度の負傷、二人が軽傷。カンブリス襲撃では二人が重傷、二人が軽傷。


事件の時系列

Image caption バルセロナ・ランブラス通りのワゴン車襲撃経路。地図は、①民家爆発のあったアルカナル、②最初のワゴン車襲撃のあったバルセロナ、③第二のワゴン車が発見されたビック、④第二のワゴン車襲撃のあったカンブリス
  • 16日夜――バルセロナから南西約200キロのアルカナルで民家爆発。一人の死亡確認。最大3人が死亡した可能性あり、カタルーニャ州警察本部長は、住民たちが「爆発物を用意していた」ようだと指摘。州政府関係者は、バルセロナ・ランブラス通り襲撃にガス缶を使うつもりだったかもしれないと。
  • 17日午後4時50分――バルセロナ中心部のランブラス通りで白いフィアット製ワゴン車が歩行者を襲撃。13人死亡、多数負傷。運転手は徒歩で逃走。
  • 同6時半――バルセロナから80キロ北のビックで、警察が逃走用車両とみられる第2のワゴン車発見。
  • 同7時半――バルセロナ郊外で、警察検問を突破しようとした車両が警官たちに突入。警察が発砲。助手席に、刺傷のある男性の遺体発見。死亡した男性はランブラス通り襲撃とは無関係と警察は見ているが、捜査は続いている。この車両は盗難車で、死亡した男性はカージャック被害者で、犯人たちは逃走中という説もある。
  • 18日午前1時――バルセロナ南西約120キロのカンブリスで、第二のワゴン車襲撃発生。女性一人死亡。警官がテロ容疑者5人を射殺。5人はバルセロナ襲撃につながりがあるとみられている。死亡した5人の一人、ムーサ・ウカビル容疑者(17)は当初、バルセロナ襲撃の主犯と見られていた。警察は後に、運転手としてユネス・アブーヤクーブ容疑者を追跡していると明らかにした。

(英語記事 Barcelona attack: Spain terror cell had 120 gas canisters

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