子供の肥満問題、世界各地に拡大

ミシェル・ロバーツ・ヘルス担当編集長、BBCニュース・ウェブサイト

10代の少女 Image copyright Getty Images

幼児から10代までの未成年者で肥満とされる人の数が世界で1億2400万人に上り、過去40年間で10倍になったことが新たな研究で明らかになった。

英医学誌「ランセット」に掲載された分析は、これらの研究の中で最も大規模なもので世界200カ国の肥満の傾向について調査。英国では、5歳から19歳の未成年者の10人に1人が肥満だった。

専門家らは、肥満の子供は肥満な大人になりやすく、深刻な健康問題のリスクがあると指摘している。

ランセット誌の論文は、11日の「世界肥満デー」に合わせて発表された。世界肥満連盟は、肥満による健康問題の治療にかかる費用は2025年以降、世界で毎年合計9200億ポンド(約136兆円)超になるとの推計を示した。

肥満は新たな「標準」に

研究を主導したインペリアル・コレッジ・ロンドンのマジド・エズアティ教授は、英国を含め所得水準が高い多くの欧州各国では子供の肥満率は安定する傾向にあるものの、他の多くの国で肥満率は危険なペースで上昇していると指摘した。

研究者らは、安価で高脂肪の食品が手軽に手に入り、宣伝されていることが肥満増加の主な要因だとみている。

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肥満の子供が最も増加した地域は東アジアだった。中国とインドでは近年、肥満率が「急増」しているという。

ポリネシアやミクロネシアでの肥満率が最も高く、未成年人口の約半数が太り過ぎか肥満だった。

研究者たちは現在の世界的な傾向が続けば、近いうちに「肥満」の方が「低体重」よりも一般的になると指摘した。

世界の低体重の子供の数は2000年をピークに減少が続いている。

Image copyright NCD Risk Factor Collaboration
Image caption 男子の肥満率を国ごとに色分けした。肥満率が最も高い国は赤で表示され、オレンジ色、黄色と続く。緑色と青の国では、肥満の人は未成年人口の5%以下(2016年時点)
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Image caption 女子の肥満率を国ごとに色分けした。肥満率が最も高い国は赤で表示され、オレンジ色、黄色と続く。緑色と青の国では、肥満の人は未成年人口の5%以下(2016年時点)

2016年時点の低体重の子供の数は1億9200万人で、肥満の子供の数をかなり上回っていたが、状況は変化しつつある。

東アジアや中南米、カリブ海では数十年間のうちに主流は低体重から肥満に転じた。

世界的にみると、肥満ではないものの太り過ぎとされる未成年者が2016年時点で2億1300万人いた。

論文の共同著者、ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のハリー・ラッター博士は、「これからさらに悪化する非常に大きな問題だ」と語った。「痩せた人でさえ、10年前に比べると体重が増えている。意志薄弱や怠け者、あるいは欲張りになったわけではない。我々を取り巻く世界が変化しているというのが現実だ」。

世界保健機関(WHO)のフィオナ・ブル博士は、「高カロリーで低栄養の食品」をなくすための厳しい措置と運動を人々に促すことを呼びかけた。

砂糖の含有量が多い飲み物への課税を実施しているのは世界で20カ国あまりにとどまる。

英公衆衛生サービス(PHE)の主任栄養士を務めるアリソン・テッドストーン博士は、「我々の砂糖摂取を減らす取り組みと政府の砂糖税は世界のトップレベルにあるが、非常に大きな課題に挑む長い旅はまだ始まったばかりだ。人々にただ命令するのではうまくいかないのは明確な証拠が示されている。教育や情報提供は重要だが、カロリー摂取を減らし、より健康的な食事を実現するのを助けるために、より踏み込んだ行動が必要だ」と述べた。

(英語記事 Child and teen obesity spreading across the globe

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