ローマ法王、ミャンマー国民に自制呼びかけ 「ロヒンギャ」とは言わず

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Image caption ローマ法王フランシスコ1世

ミャンマー訪問中のローマ法王フランシスコ1世は29日、初の公開ミサを司式した。少数民族ロヒンギャに対する民族浄化の疑いがかけられているミャンマーに対して、各民族の権利を強く主張すると共に、ミャンマー国民には怒りや報復は民族対立の傷を癒やすことにはならないと説教した。

首都ヤンゴンで開かれた法王のミサには、約15万人が参列した。ミャンマーのカトリック教徒の約9割は少数民族出身。

法王はミャンマーで数十年にわたり続いた民族差別や民族紛争に触れ、「この国では大勢が、暴力による傷を負っていると承知している。目に見える傷も、見えない傷も」といたわった。その上で法王は、「癒やしは怒りや復讐を通じて得られると思うかもしれない。しかし復讐の道はイエスの道ではない」と諭した。

フランシスコ法王は28日に最高指導者のアウンサンスーチー氏と会談し、少数民族の権利保護を呼びかける演説をした。ただし、今年8月以来、軍による排斥を恐れて隣国に62万人が逃れた少数民族ロヒンギャについては、直接触れなかった。

29日のミサでも、法王はロヒンギャには直接触れなかった。

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Image caption ヤンゴンで開かれたローマ法王ミサ

ミャンマーのカトリック代表は法王に対して、「ロヒンギャ」という言葉をミャンマーで使うと、国の多数を占める仏教徒の反感を買い、国内60万人のカトリック信者の立場を難しくすると警告していた。

一方で、複数の人権団体は法王がロヒンギャに直接言及しなかったことを批判している。人権団体「ヒューマンライツ・ウォッチ」アジア支部のフィル・ロバートソン氏は、「アウンサンスーチーとミャンマー軍部がロヒンギャのアイデンティティを否定しようと、非道徳な圧力をかけている。ローマ法王がこれを公然と非難しなかったため、権力者に真実をつきつける大事な機会を逃した」と批判した。

4日間の日程でミャンマーを訪れている法王は、仏教指導者とも会談する。ミャンマーの後は、62万人のロヒンギャが避難しているバングラデシュを訪れ、難民数人と会うする予定。

ミャンマー・ラカイン州でのミャンマー軍の動きについて、国連は「典型的な民族浄化だ」と認定している。

ミャンマー政府は「ロヒンギャ」という呼び名の使用を拒否し、「ベンガル人」と呼ぶ。バングラデシュからの違法移民という位置づけで、国内で保護されるべき少数民族ではないという立場を貫いている。

さらにラカイン州での摘発については、民族浄化ではなく、警察施設を襲撃した反政府武装勢力の掃討が目的だと主張している。

(英語記事 Myanmar Mass: Pope issues warning on exacting revege

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