トランプ氏、エルサレム首都認定に反対する国への援助停止を警告

昨年の大統領選でトランプ氏はエルサレムをイスラエルの首都と承認すると約束していた Image copyright EPA
Image caption 昨年の大統領選でトランプ氏はエルサレムをイスラエルの首都と承認すると約束していた

ドナルド・トランプ米大統領は20日、21日に開かれる国連総会でエルサレムをイスラエルの首都と認定した米国の決定に反対する決議案の採決をめぐり、賛成票を投じる国への援助を停止すると警告した。

トランプ氏は今月、イスラエルの首都認定をめぐって国際的な批判を受けるなか、警告を発した。

トランプ氏はホワイトハウスで記者団に対し、「何億ドル、何十億ドルももらっておきながら、我が国に反対票を投じている」と話した。

「反対させておけばいい。かなりお金を節約できる。我々は気にしない」。21日の決議案採決を前に、トランプ氏はこう発言した。

決議草案では米国を名指しはしていないものの、エルサレムに関するあらゆる決定を撤回するべきだと述べている。

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Image caption 18日の国連安全保障理事会では、14カ国がエルサレムに関する同様の決議案に賛成した

これに先立ち、米国のニッキー・ヘイリー国連大使は、21日の国連総会では「どの国が我々に反対したか」報告するようトランプ大統領から求められたと、加盟国に警告した。

エルサレムの帰属問題は、イスラエルとパレスチナの紛争の焦点となっている。

イスラエルは1967年、ヨルダンの支配下にあった東エルサレムを占領し、エルサレム全体を不可分の首都とみなしている。

パレスチナ人は東エルサレムが将来の国家の首都にする考えで、最終的な地位は和平協議の中で決められることになっていると主張している。

イスラエルのエルサレムに対する主権は国際的に認められておらず、全ての国の大使館はテルアビブに置かれている。しかし、トランプ大統領は米国務省に大使館を移転するよう指令を出している。

193カ国が参加する国連総会は、今月始め数十年来の米国の政策を覆したトランプ氏の決定を非難するアラブ諸国やイスラム諸国の要請を受け、21日に異例の緊急特別総会を開く。

米国が安保理の決議案に拒否権を行使し否決した後に、パレスチナが総会開催を呼びかけた。安保理の決議は、エルサレムの地位に関するいかなる決定も「無効で撤回すべき」だと確認するもので、全ての国に対して「聖地に外交使節の機関を設立することを控える」ように促すものだった。

Image caption 緑の線が1967年前までの休戦ライン。灰色の線はエルサレム市の境界。オレンジがパレスチナ自治政府の管理下にある地域。緑はイスラエル軍と政府の管理下にある地域。濃い緑はイスラエル入植地

米国以外の安保理の14理事国は賛成票を投じたが、ヘイリー氏は「侮辱」だと語った。

国連総会で採決される強制力のない決議案はトルコとイエメンが提出。安保理で否決された草稿と同様の内容となっている。

パレスチナのリヤド・マンスール国連大使は、採決で圧倒的な支持が得られることを期待すると述べた。

しかしヘイリー氏は19日に、数十か国の加盟国に宛てた書面で「大統領と米国は、この採決を感情的に受けとめると知っておく」ことを促し、警告した。

<ニッキー・ヘイリー米国連大使はツイッターで「国連で我々は、もっと多くのことをし、もっと与えるよう求められる。だから米国国民の意志に基づき『我々の』大使館の場所について決定する時、手助けしてきた者から標的にされることは望まない。21日に我々の決定を批判する採決がある。米国は国名を書き留める」と述べた>(注:二重かっこ内は原文では大文字で強調)

書面を見た記者らによると、ヘイリー氏は「大統領はこの採決を注意深く見守ることになる。そして私は米国に反する票を投じた国について報告するように言われている。我々はこの議題に関する全ての票を確認する」と述べた。

「大統領の宣言は、イスラエルのエルサレムに対する主権が及ぶ明確な境界線の議論を含め、最終的な地位に関する協議にいかなる形でも影響を与えるものではない」とヘイリー氏は付け加えた。「大統領は聖地エルサレムの現状を支持するということも確認した」

ヘイリー氏はツイッターにも「米国は国名を書き留める」と警告を載せた。

パレスチナのリヤド・アル・マリキ外相とトルコのメブリュト・チャブシオール外相は米国による威嚇を非難した。

「孤立に追いやられた米国は脅しの手段に訴えている。名誉と尊厳ある国はこのような重圧に屈しない」とチャブシオール外相は20日、トルコの首都アンカラで国連総会出発前に共同記者会見で述べた。

<解説>ナダ・タフィク記者BBCニュースニューヨーク

トランプ大統領とヘイリー大使は米国の外交力よりも軍事力を使って、米国の望む形で票を投じるよう加盟国を説得しようとしている。米政府は、エルサレムをイスラエルの首都と認定し、米大使館をそこに移転する決定は、米国の主権だと考えている。

だが、国連の大多数の加盟国の見方はそうではない。

当然ながら、米政府に批判的な国々から猛反発があった。

一方で、米国と同盟関係にある国の多くは、米国の強硬な発言をこけおどしだと見て、あまり相手にしていない。

ある上級外交官は、トランプ政権が国連でイスラエルを強く擁護するのは必至だが、米政府が例えば、エジプトのような国に援助を停止するとは考えにくいと話した。エジプトは、今回の決議草案のたたき台で、廃案になった安保理決議案を作成していた。

国際社会がトランプ氏のエルサレムをめぐる決定に賛同しないと再度伝えるなか、米国が21日の国連総会で孤立するのは確実だ。

(英語記事 Jerusalem UN vote: Trump threatens US aid recipients

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