フジモリ元大統領恩赦でデモと衝突続く 催涙ガスも

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「恩赦にノー!」と叫ぶ人たち

ペルー大統領府が服役中のアルベルト・フジモリ元大統領(79)の恩赦を発表したのに抗議して、大勢の市民が前日に続き25日にも首都リマで大規模なデモを繰り広げた。警察は催涙ガスを発射するなどして、市民を牽制した。

デモに参加した人たちは「恩赦にノー!」と叫びながら、市内を行進した。デモ隊は元大統領の入院先に向かおうとしたが、警察に阻止された。

ペドロ・パブロ・クチンスキ大統領の報道官は24日、健康上の理由から人道的恩赦として釈放すると声明文を出した。

在任中の人権侵害と汚職の罪で禁錮25年の刑に服している元大統領は、23日に血圧低下や不整脈などで、リマ市内の病院に移送されたばかり。

Image copyright Reuters
Image caption 恩赦に抗議するデモと警察が衝突(25日、リマ)
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Image caption 元大統領の入院先に向かおうとするデモ参加者と阻止する警察(25日、リマ)

クチンスキ大統領については、汚職疑惑による罷免決議案が今月21日に議会で否決されたばかり。罷免決議案を提出したのは、2016年選挙で僅差で敗れたケイコ・フジモリ氏(元大統領の長女)が率いる議会多数党「フエルサ・ポプラル」だった。元大統領の二男ケンジ氏が反対票を取りまとめたことから、否決につながった。

野党の間からは、クチンスキ氏が罷免を免れるため、「フエルサ・ポプラル」議員たちに罷免反対票と引き替えに元大統領の恩赦を約束したという声が上がっている。

恩赦発表を受けて、大統領率いる少数与党「変革のためのペルー国民」の議員2人が抗議辞任した。

左派政治家のベロノイカ・メンドーサ氏は、クチンスキ大統領が「保身のためにフジモリ支持者と取り引きをした」と批判し、大統領の行動は国家への裏切りだと罵倒した。

一方で、1990年から2000年にかけて国を率いたフジモリ元大統領の支持者たちは、入院先の病院の周りに集まっている。

25日にはケンジ氏が、恩赦の知らせを病室の父親に伝えるビデオをツイッターに投稿した。

恩赦の根拠は

大統領府は声明で、「人道的恩赦をアルベルト・フジモリ氏および同様の状態にある7人に与える」ことにしたと発表した。他の7人の名前は発表していない。

大統領府はさらに、医師団は「フジモリ氏が進行性で退行性の不治の病を患っており、刑務所の環境は生命に深刻な危険を与える」と判断したと説明した。

ケンジ・フジモリ氏はこれに先立ち、入院した父親は数日は帰宅しないはずだと発言していた。

元大統領の罪状は

元大統領は2007年、収賄や権力乱用などの罪で禁錮6年の刑を言い渡された。さらに2009年には、フジモリ政権初期の1991年にリマで15人が殺害された事件と、翌92年に同じくリマで大学生9人と教授1人が誘拐され殺害された事件などについて、元大統領が軍の部隊に殺害を命じたと認定され、人権侵害などの罪で禁錮25年の有罪判決を受けた。

恩赦決定が24日に明らかになると、デモがたちまち始まった。抗議する人の多くは、フジモリ政権による反政府勢力弾圧で犠牲になった人たちの遺影を掲げていた。

抗議に参加した1人はロイター通信に、「恩赦は違法だ。御社の根拠にされている診断書は偽物だ。これは残念ながら、フジモリ派と現政権の政治的取引だ」と話した。

人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」の中南米代表ジョセ・ミゲル・ビバンコ氏はツイッターで、「フジモリの人道的恩赦は残念だ。法の支配の下では誰も特別扱いされないのだと強調するのとは逆に、ペドロ・パブロ・クチンスキが権力の座に留まるための、下品な政治駆け引きによってフジモリは自由になる。その認識は永遠に消えない」と書いた。

(英語記事 Fujimori: New clashes after Peru ex-president is pardoned

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