ロシア疑惑文書の筆者、トランプ氏への恐喝懸念 議員が証言公開

「スティール文書」に関する証言を公開した民主党のダイアン・ファインスタン上院議員 Image copyright EPA
Image caption 「スティール文書」に関する証言を公開した民主党のダイアン・ファインスタン上院議員

「ロシア当局がドナルド・トランプ氏について決定的に不利な材料を入手している」という調査報告書、いわゆる「スティール文書」に関する米上院公聴会での証言内容が9日、民主党議員によって公開された。文書を作成した元英国情報部員のクリストファー・スティール氏が、トランプ氏がロシアに恐喝されているかもしれないと懸念していたことが、改めて示された。

民主党のダイアン・ファインスタイン上院議員(カリフォルニア州選出)は、「スティール文書」の作成を依頼したワシントンの調査会社「フュージョンGPS」の創業者グレン・シンプソン氏が昨年8月に上院司法委員会で証言した際の記録を公表した。シンプソン氏は米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの調査報道記者を経て、「フュージョンGPS」を立ち上げた人物。

ファインスタイン議員は、シンプソン氏の依頼に基づき議事録を公開したと説明している。フュージョンGPSをめぐって「妙な憶測や誤情報」が飛び交っているため、証言内容を公表すべきと判断したという。

ファインスタイン氏は、トランプ陣営とロシア当局の共謀疑惑や司法妨害疑惑について、捜査や議会調査を妨げようとする「非常に心配な動き」があると懸念を示した。今月初めには、司法委員会のチャールズ・グラスリー委員長(共和党)が、スティール氏について刑事捜査すべきだと発言している。

ファインスタイン議員が公表した上院司法委員会の議事録は312ページに及ぶ。そのなかでフュージョンGPSのシンプソン氏は司法委に、スティール氏が2016年7月の時点で連邦捜査局(FBI)に、トランプ氏がロシアに恐喝されているかもしれないと、懸念を伝えていたと証言している。

議事録によるとシンプソン氏は非公開の公聴会で、トランプ氏や側近たちがロシア政府と個人的かつ金銭的につながっていると示す「スティール文書」の内容に自信を示したほか、文書が理由で殺害された人が1人いると証言した。

トランプ氏とロシアとの関係についての調査を出資したのは、ヒラリー・クリントン氏の陣営と民主党だったと言われている。ホワイトハウスや共和党関係者の多くは、「スティール文書」の内容に根拠はなく、選挙の対立候補に泥を塗ることだけを目的としたでっちあげだと非難している。

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「1人がすでに殺された」?

トランプ氏がロシア政府に脅されていたという主張を裏付ける証拠は、出てきていない。

しかしシンプソン氏は上院議員を前に、「(元英情報部員のスティール氏は)大統領候補が恐喝されているのかどうか、安全保障上の問題があるように見えると考えていた」と証言した。

シンプソン氏はさらに、「これが国家安全保障を脅かすのかどうか、クリス(スティール氏)はとても心配だと話していた。そして、この国の政府の誰かにこの情報を伝える義務があると思うと話していた」と証言した。

10時間にわたり証言したシンプソン氏は、文書の情報源について議員たちに聞かれても、なかなか答えようとしなかった。

フュージョンGPSの顧問弁護士ジョシュア・レビー氏が質疑に割って入り、「シンプソン氏は情報源を慎重に守ろうとしている」と言い、さらに「この文書の公表によってすでに人が1人殺されている。この文書は誠実な仕事の成果で、そのせいで誰かに危害がもたらされるようなことがあってはならない」と述べている。

レビー弁護士は、誰が殺害されたのか公聴会で明らかにしなかった。

しかしCNNは消息筋の話として、弁護士は特定の人物について言及したのではなく、2016年大統領選後に複数のロシア人が謎の死を遂げていることを念頭に発言したのだと伝えた。

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「僕は、ばい菌恐怖症」 トランプ氏、いくつかの会見発言

「スティール文書」には、トランプ氏がかつてモスクワのホテルで複数の売春婦といるところを撮影されていたなどの内容が含まれている。

トランプ氏は昨年1月11日の記者会見で、この指摘をばかげたことだと一蹴。自分はロシアにいる間は常に、ホテルが監視されているという認識で行動していたなどと話していた。

シンプソン氏の証言内容について、FBIはコメントしていない。

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Image caption クリストファー・スティール氏

BBCを含め複数の報道機関が、2016年11月の大統領選以前に文書について説明を受けていた。しかし、ほとんどの報道機関は内容の裏付けがとれないため、記事にしなかった。

米オンラインメディア「マザー・ジョーンズ」が同年10月31日に文書の存在について記事にした後、CNNが昨年1月に文書について報道。続いて米バズフィードが、文書の内容をそのまま公表した。

シンプソン氏が「スティール文書」以前にロシア企業による人権侵害と資金洗浄を調査した際に、その調査の対象となった米国の投資家ビル・ブラウダー氏は米紙ニューヨーク・タイムズに対して、「(シンプソン氏は)中傷キャンペーンのプロで、金のためなら何でも言う嘘つきだ」と非難している。

(英語記事 Fusion GPS dossier author 'feared Trump was blackmail target'

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