香港在住の元CIA職員 退職後も機密文書保持で逮捕

CIA headquarters in Langley, Virginia. File photo Image copyright AFP
Image caption ジェリー・チュン・シン・リー容疑者は1994年から2007年までCIA職員だった

米司法省は16日、中央情報局(CIA)の元職員が退職後も機密文書を保持していた疑いで逮捕したと発表した。中国におけるCIAの諜報活動ネットワークが大打撃を受けた問題に関係しているとみられる。

司法省は、香港在住の米国籍男性、ジェリー・チュン・シン・リー容疑者(53)を15日、ニューヨークのケネディ国際空港で拘束したと発表した。「国防関係の情報を不法に保持した」疑いで、「有罪となれば最長禁錮10年」の実刑判決を受ける可能性があるという。

中国では2010年から2年間でCIA協力者20人が殺害されたり収監されるなどして、CIAの諜報活動が大打撃を受けた。連邦捜査局(FBI)は2012年から捜査に着手しており、容疑者の逮捕もその一環とみられる。

中国におけるCIA協力者ネットワークが壊滅的被害を受けたのは、近年の米情報機関にとって最悪の事態のひとつと言われる。関係者は当時、ハッキングのせいなのか、内通者がいるのか分からない状態だった。

米国籍に帰化したリー容疑者は米陸軍を経て、1994年から2007年にかけてCIAで働いた後、香港に移住した。米紙ニューヨーク・タイムズによると、CIAで「これ以上の昇進は望めなくなり、不満を抱いて退職した」と容疑者をよく知る人たちは話しているという。

ニューヨーク・タイムズが入手した司法省の裁判資料によると、退職後のリー容疑者は2012年夏、バージニア州に家族と引っ越すため再渡米。司法省によると、FBIは当時、ハワイ州とバージニア州でFBI捜査員が容疑者のホテルの部屋を捜索し、機密資料の書かれた小さい本2冊を発見していた。「CIA関係者や秘密職員の本名や電話番号」などの詳細が手書きで書かれていたという。

その後、容疑者は2013年に出国するまでにFBIの事情聴取を数回受けたものの、機密書類を所持していると明らかにしないまま、米国を出国。今回の訪問で再度、拘束された。

「リ・チェンチャン」という名前でも知られるリー容疑者は、現場工作員(エージェント)の指揮・手配を担当するケース・オフィサーとしてCIAで働き始め、トップレベルの機密情報を閲覧できる立場にあった。退職時には、機密保持契約を交わしている。

容疑者はこの件について、これまで公のコメントは出していない。

(英語記事 Ex-CIA officer Jerry Chun Shing Lee held over secret records