モルディブ警察、最高裁長官を逮捕 大統領が非常事態宣言

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政治危機が深刻化するインド洋の島しょ国モルディブで6日、最高裁判所のアブドゥラ・サイード長官とアリ・ハミード判事が警察に逮捕された。5日夜には、同国のアブドゥラ・ヤーミン大統領が非常事態を宣言している。

サイード長官らに対する容疑や捜査内容など、詳細については明らかにされていない。

同国では、ヤーミン大統領が最高裁による政治犯の釈放命令を拒否し、緊張が高まっていた。

野党勢力が政府による「粛清」を非難しているほか、国際社会からも強い批判の声が出ている。

モルディブは26のサンゴ環礁と1192の島から構成されており、観光が主要な産業となっている。

何が起きているのか

最高裁は先週、拘束中の野党政治家たちの釈放を命令したほか、2015年のモハメド・ナシード元大統領の裁判が憲法違反に当たるとの判断を下した。ナシード氏は国外に亡命している。

これを受けて、モルディブの警察トップは最高裁の命令に従うと約束したものの、ヤーミン政権によって免職された。

軍に対しては、ヤーミン大統領を罷免あるいは権限を奪おうとする動きを阻止するよう命令が出ている。

非常事態が宣言されたことで、治安部隊には逮捕などの幅広い権限が与えられているほか、集会が禁止されている。

野党勢力に同調するマウムーン・アブドゥル・ガユーム元大統領は自宅で拘束された。

インターネットに投稿された動画の中でガユーム氏は、「逮捕されるようなことは何も」していないと述べ、支持者たちに「強くあるよう」呼びかけている。

モルディブで初めて民主的な選挙を経て就任したナシード元大統領はBBCに対し、政府がしていることは「恥知らずな違法行為」で、クーデターと変わらないと語った。

ナシード氏は、「モルディブ人はこの犯罪的で違法な政権にうんざりしている」とし、「ヤーミン大統領はすぐに辞任すべきだ」と述べた。

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Image caption 拘束中の議員9人の釈放を求めてデモを行う野党支持者たち(4日、モルディブ・マレ)

ヤーミン氏が2013年に大統領に就任して以来、言論の自由や司法の独立が守られていないとの指摘が出ており、大統領に反対する人々の拘束も懸念を呼んでいた。

米国務省はモルディブ情勢について、「心配しており、残念に思う」と述べた。国務省は、モルディブ警察が法にのっとった裁判所の命令に従っておらず、ヤーミン大統領が「主要な野党政治家たちを全員、拘束するか国外に追放している」と非難した。

また米国家安全保障会議(NSC)はツイッターで、「米国はモルディブの人々と共にある。モルディブ政府と軍は、法の支配や表現の自由、民主的制度を尊重しなくてはならない。世界が注視している」とコメントした。

旧宗主国、英国のボリス・ジョンソン外相は、ヤーミン大統領に非常事態宣言を解除するよう求めた。同外相は声明で、「モルディブの民主的制度が損なわれており、間違った手続きが議会で繰り返されているのを深く懸念している」と述べた。

観光への影響

モルディブでは現在、観光シーズンのピークを迎えており、熱帯地方にある同国の海岸を何万人もの外国人が訪れる。

中国や米国、インド、英国など各国の政府はモルディブへの渡航者に警戒を呼びかけている。英外務省は、モルディブの首都マレに滞在する英国人に対し、「警戒を怠らず、抗議デモや集会に近づかないよう」呼びかけている。一方、首都から離れた島々やリゾート地、国際空港には影響は出てない。

人口わずか約40万人のモルディブでは、観光産業の経済規模は2016年に27億ドル(約2945億円)に上り、同国経済では最大。政治危機がさらに深まり、観光客が減少すれば経済への悪影響も懸念される。

(英語記事 Maldives: Supreme Court judges arrested amid political crisis

Image caption モルディブの地図