米上院指導部、債務上限大幅引き上げで合意 「怪物的」との批判も

合意内容を伝えるため下院を訪れたシューマー院内総務とマコネル院内総務 Image copyright Reuters
Image caption 合意内容を伝えるため下院を訪れたシューマー院内総務とマコネル院内総務

米上院の与野党指導部は7日、連邦政府の債務上限を2年間にわたり大幅に引き上げることで合意した。国防費や国内政策に関連した歳出増を認めるもので、財政状況の悪化を警戒する与党・共和党の議員からは、合意は「怪物的」だとの批判も出ている。

与野党の上院トップ、共和党のミッチ・マコネル院内総務と民主党のチャック・シューマー院内総務との間で異例の合意に達した法案は、上院を順調に通過する見通しだが、下院では強い反発が予想される。

8日には、議会が先月承認した連邦政府のつなぎ予算が期限を迎える。

ホワイトハウスのマーク・ショート議会担当補佐官は、債務上限が「ほぼ」3000億ドル(約32.8兆円)引き上げられると語った。一方、米紙ワシントン・ポストは引き上げ幅は5000億ドルに上ると報じている。

上院指導部が合意した法案は現時点で公表されていないが、国防費を2018会計年度(2017年10月~18年9月)に800億ドル増額し、19会計年度に850億ドル増やすもよう。

また、子供向けの医療保険などを含む非国防費は、18年度に630億ドル、19年度に680億ドル、それぞれ増額されるもよう。

民主党内の反対意見

シューマー院内総務は今回の合意が、「長い間続いてきた債務上限危機のサイクルを断つ」と主張したが、多くの民主党議員は、移民制度改革をめぐる問題に対応がなされていないと不満を示している。

民主党の下院トップ、ナンシー・ペロシ院内総務は7日の本会議で、ハイヒール姿で8時間にわたって演説を行い、移民問題への対応を訴えた。

ペロシ院内総務は、子供のころに米国につれてこられた「ドリーマー」と呼ばれる不法移民を強制送還から守る方策が含まれない予算には同意できないと述べた。

議会の記録担当者によると、ペロシ氏の演説は下院史上最長とみられるという。

共和党の反対意見

共和党保守派は、債務上限引き上げが財政状況にもたらす影響を指摘し、上院指導部の合意に激しく反発している。

モー・ブルックス下院議員(アラバマ州選出)は法案への支持を問われ、「ただノーというのじゃない。絶対ノーだ」と語った。下院の緊縮財政派グループ、「フリーダム・コーカス(自由議員連盟)」に所属するブルックス議員は、法案を「債務中毒者の夢」だと呼び、共和党が「大盤振る舞い」の「大きな政府」の党になったと批判した。

デイブ・ブラット下院議員(バージニア州選出)もブルックス議員と同じ意見で、法案は「ステロイド剤が打たれたクリスマスツリー」だと語った。

フリーダム・コーカスを率いるジム・ジョーダン下院議員(オハイオ州選出)は、上院指導部の合意を「怪物的」だとし、共和党からこのような合意が生まれたのは信じがたいと述べた。

ホワイトハウスの反応

議会は昨年12月に、トランプ政権による1.5兆ドル規模の減税を承認しており、連邦政府の債務はすでに増加する見通しとなっていた。

サラ・サンダース大統領報道官は7日の記者会見で、上院での合意を賞賛し、「事態の推移をとても歓迎している」と述べた。予算に移民制度改革の譲歩を抱き合わせようとする民主党の要求に対しては、「予算の取引はあくまでも予算の取引であるべきだ」と反論した。

ホワイトハウス幹部らは、今回の合意には2019年3月までの債務上限引き上げが含まれると語った。

(英語記事 US Senate's bipartisan spending-hike budget is 'monstrosity'

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