シリア政権軍の東グータ空爆 国連高官「想像を絶する」

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爆弾が雨のように降る…シリア政府が東グータ攻撃 多数死傷

シリア政権軍による空爆が連日続く首都ダマスカスに近い東グータについて、国連シリア人道調整官のパノス・ムムツィス氏は20日、「想像を絶する」状況だと述べた。

ムムツィス氏はBBCに対し、少なくとも250人が死亡したとされる空爆が「極限の苦難」をもたらしていると語った。

シリア軍は、テロリストたちから東グータを解放しようとしていると述べた。

シリア政府は一方で、トルコ軍と対峙するため北部に軍を派遣した。シリアと国境を接するトルコは、クルド人勢力を攻撃するため国境を越え、シリア北部のアフリンに侵攻している。

トルコは進軍する隊列の近くを砲撃し、親政権勢力の戦闘員らを退却させたと述べている。

東グータでの動き

ロシアが後押しする政権軍は18日夜に、反体制派にとって最後の主要拠点となっている東グータへ攻撃を激化させた。

住民のひとり、フィラス・アブドゥラさんはBBCに対し、「家々の窓から女性や子供の叫ぶ声や泣き声が聞こえてくる。ミサイルや砲弾が雨のように降ってくる。この悪夢から隠れられる場所はどこにもないし、終わってもいない」と語った。

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Image caption 空爆下にあるドーマの町に設置された臨時の病院で(20日)

活動家らによると、死者には50人以上の子供が含まれる。負傷者は約1200人に上った。

国連は、人道支援物資を届け、負傷者を避難させるため停戦を呼びかけている。

東グータでは、イスラム主義組織「ジャイシュ・アル・イスラム」が最有力勢力だが、シリア国内でアルカイダとつながりがあった組織が率いるイスラム聖戦主義同盟「ハヤト・タハリール・アルシャム」も地域内で活動している。

包囲下の状況悪化

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Image caption 東グータにある町ハムーリアは激しい空爆にさらされている

東グータは、シリアの主要な同盟国のロシア、イランに加えてトルコが「緊張緩和地帯」に指定しているが、暴力の状況は、2013年の化学兵器攻撃以降で最悪だと活動家たちは話す。

東グータの少なくとも10の町や村が、20日に再び空爆を受けたという。

Image caption 今月19日時点でのダマスカスおよび近郊の各勢力の支配地域。緑が政権、紫が反体制派、オレンジが「イスラム国」(IHSコンフリクトモニター調べ)

地元の医師は東グータの医療施設を支援する英慈善団体「シリア医療救援組織連合(UOSSM)」に対し、「ここの人たちには逃げ場所がない」と語った。「生き延びようとしているが、包囲による飢餓でかなり弱っている」。

国連の報道官は、19日と20日に少なくとも6つの病院が攻撃を受けたと指摘した。

ムムツィス氏は、このような攻撃が戦争犯罪に相等する可能性があると述べた。

シリア政権は昨年11月末以来、人道支援の車列が東グータに入るのを1度許しただけで、食糧難は深刻な状況になっている。

パン1束の価格は、全国平均の22倍近くまで上昇しており、5歳未満の子供の12%が重度の栄養不足に陥っているとされる。

このほかのシリアでの動き

シリア政権軍は20日に、トルコとの国境のすぐ南側のクルド人勢力拠点、アフリンに入った。

トルコは同地域で半ば自治状態にあるクルド人勢力を排除しようとしているが、クルド人勢力はシリア政権軍に援助を要請した。

トルコによる侵攻をシリアは、同国の主権への「あからさまな攻撃」だと強く非難したが、トルコは譲らない姿勢を強調している。

ロシア軍の空爆やイランが後押しする民兵組織によって支援されているシリア政権軍は、北西部のイドリブ県でも攻撃を実施している。

国連は、昨年12月以来の戦闘によって、同県で30万人以上が住まいを失ったと指摘した。

一方、ロシア外務省は20日、最近のシリアでの戦闘で、ロシアおよび旧ソ連の出身者数十人が死亡あるいは負傷したと認めた。

ロシア外務省は詳細を明らかにしていないものの、最近の戦闘とは、米軍が東部デリゾール県で今月7日に、米軍と協力するクルド人勢力率いる民兵組織への攻撃に反撃した際のことを指しているとみられる。米軍は、戦闘で親シリア政権の戦闘員推計100人を殺害したと明らかにしている。

(英語記事 Syria war: Eastern Ghouta bombing 'beyond imagination'

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