フェイスブックを「米連邦取引委員会が調査」=米報道

フェイスブックの創業者、マーク・ザッカーバーグ氏への圧力は強まっている Image copyright AFP
Image caption フェイスブックの創業者、マーク・ザッカーバーグ氏への圧力は強まっている

フェイスブック利用者約5000万人分の個人情報が選挙コンサルティング会社によって不正利用された疑惑で、20日、米連邦取引委員会(FTC)がフェイスブックを調査中だと一部メディアが報じた。

2016年の米大統領選でドナルド・トランプ氏の陣営と契約していた英選挙コンサルティング会社、ケンブリッジ・アナリティカ(CA)は、フェイスブック上でユーザーの同意なく個人データを取得していたと告発されている。

ケンブリッジ・アナリティカが米選挙法に違反した疑い浮上するなか、アレクサンダー・ニックスCEOは、同社取締役会によって停職処分を受けた。

ロンドンを拠点とするCA社は、一切の不正を否定している。

一方、フェイスブックの株価は、19日の急落に続き、現在も下落を続けている。

英議会および欧州議会は、証言を得るため、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOを召喚している。また同社は21日までに、米連邦議員補佐官にも説明を行う予定だ。

危機的状況の中、ザッカーバーグ氏は、米カリフォルニアにあるフェイスブック本社で20日行われた従業員会議に姿を現さなかった。会議はポール・グルワル次席法務顧問によって進められたと米ニュースサイトのデイリー・ビーストは伝えている。

なぜFTCは動き出したのか

FTCは米政府の独立機関で、米国の消費者を守ることを任務としている。

「FTCの意向に通じているが、公表を前提として話すことを認められていない」とする匿名の情報提供者が米ワシントン・ポスト紙に語ったところによると、今回の調査はフェイスブック社が、ソーシャルメディアにおけるプライバシー保護を定めた2011年のFTCの同意審決に違反していないかどうか調べるものだという。

このことは「事情に詳しい」匿名の情報提供者の発言を引用した米ブルームバーグの報道でも裏付けられた

ワシントン・ポストによると、フェイスブックは2011年のFTC審決に基づき、ユーザー自身が定めたプライバシー設定を超えてユーザーのデータが他者に共有される際には、事前にユーザーへその旨を知らせ、許可を得なければならない。また、フェイスブックは、法令順守を確実なものとするため、20年に及ぶプライバシー検査を受けなければならない。

フェイスブックは20日、CA社によるデータ取得に関するFTCからの質問状を受け取る予定だと認めた。ただ、ロイター通信によると、フェイスブック社は正式な調査の予兆はないとしているという。

「私たちは人々の情報を保護することに強い取り組みを続けています」とフェイスブックの次席プライバシー責任者であるロブ・シャーマン氏は語った。「FTCから寄せられるであろう質問に答える機会をいただき感謝しています」。

フェイスブックは20日に出した声明で「私たちは会社全体として、欺かれていたことに憤慨しています。私たちは人々の情報を守るために規約を積極的な強化に取り組んでいますし、起こっている事態を把握するために必要なあらゆる方法を取ります」としている。

ケンブリッジ・アナリティカ社に対する告発の内容は

CA社で働いていたクリストファー・ワイリー氏は、フェイスブック上で展開された「This is Your Digital Life(これがあなたのデジタル生活)」という名前の性格診断クイズが、大量のデータを取得していたと告発した。

ワイリー氏によると、クイズに回答したのは27万人だったが、回答者の友人ネットワークを通じて、主に米国に住むユーザー約5000万人分のデータがユーザー自身にはっきりと意識されないまま収集された。

ワイリー氏は、データはCA社に売却され、人々の心理学的な輪郭を描き出すとともに、彼らに親トランプ的な素材を送り届けるのに利用されたと語る。これらは2016年の米大統領選の結果に影響することを目的としていたという。

CA社はデータの取得および利用は正しい手順に沿っていたと主張している。だが、同社は先週、フェイスブックから締め出された。

ケンブリッジ・アナリティカ社は米選挙法に違反したのか

CA社に覆面調査を行った英チャンネル4ニュースは、CA社が米選挙法に違反している可能性があると報じた。米選挙法は、選挙における公式な候補者陣営と外部組織、あるいは「特別政治活動委員会(スーパーPAC)」と呼ばれる政治資金団体との協働を禁じている。

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Image caption ケンブリッジ・アナリティカ社のアレクサンダー・ニックスCEOは20日、裏口を通ってロンドンにある同社オフィスを後にした

CA社の幹部は、外部団体に敵陣営を攻撃する広告を運用させつつ、ドナルド・トランプ氏の公式な選挙陣営は前向きなメッセージを発するという、2本立ての選挙戦略を議論しているところを撮影された

トランプ氏陣営のためにCA社が果たした働きを自慢しつつ、ニックスCEOは覆面調査班に以下のように語った。「すべての調査、すべてのデータ取得、すべての分析、すべてのターゲティングを私たちが行った。私たちがすべてのデジタル向けキャンペーン、すべてのテレビ向けキャンペーンを運用し、私たちのデータがすべての戦略の情報基盤となった」。

またこの時、CA社のマーク・ターンブル常務は、同社が特別政治活動委員会「メイク・アメリカ・ナンバーワン」からの資金援助を受け、「Defeat Crooked Hillary(歪んだヒラリーを倒そう)」というブランドの攻撃的広告を作ったことを覆面調査チームに認めた。

CA社は、同社は強固なファイヤーウォール(インターネット上で不正アクセスを防ぐ防衛システム)を利用して業務を行っており、かつ活動は透明性を持って行っているとして、一切の不正を否定している。

自分のデータを保護するにはどうすればいいのか

あなたのデータにアクセスできる人を制限したいなら、以下のことがらに気をつけると良いだろう――。

  • アプリ、特に、あなたのフェイスブックアカウントにログインしようとするものに気を払うこと。そういう種類のアプリは多くの場合、広い範囲の許可を求めてくるし、多くはあなたのデータを取得するために設計されている
  • 広告ブロッカーを使い、表示される広告を制限すること
  • フェイスブックのセキュリティ設定を確認し、何が可能になっているかを確かめること。アプリの個別設定もチェックし、あなたの友達やあなた自身について、必要以上の情報取得許可を与えていないかみること
  • 包括的なものではないにせよ、フェイスブックが持っているあなたのデータは、あなた自身も複製してダウンロードすることができる。ダウンロードボタンは、トップページで「設定」をクリックすると表示される画面の下部にある。ただし、もしあなたの端末がハッキングを受けていた場合、フェイスブックのサーバー上にあるあなたのデータより、PC本体にあるもののほうが、弱いセキュリティの元にあることには留意すること

もちろん、単にアカウントを消去し、フェイスブックを去ることもできる。ただし、啓蒙団体「プライバシー・インターナショナル」は、プライバシーに関する懸念はソーシャルネットワーク以外にも広がっていると警告する。

「いま関心を持たれているのはソーシャルネットワーク上でサードパーティ(自分ともソーシャルネットワーク提供企業とも異なる第三者企業)によって利用されることからいかに自身のデータを守るかですが、それに限らずあなたのデータは常に利用されているのです」と同団体の広報担当者は語る。

「あなたの電話に入っている多くのアプリが、位置情報や全電話帳などのデータにアクセスする許可を求めてきます。ソーシャルネットワーク上の懸念は、氷山の一角でしかないのです」

<解説>企業による自主規制の時代の終わりか

デイブ・リー BBCニュース北米テクノロジー担当記者

フェイスブック社、特にマーク・ザッカーバーグ氏に対する批判が、ここまで大きく怒りを満ちたものになったことはなかった。

同社の従業員は20日朝、ザッカーバーグCEOではなく、企業の法務チーム最高幹部から訓示を受けた。同社の広報担当者によると、ザッカーバーグ氏もその右腕であるシェリル・サンドバーグCOOも、多忙を極めたため社員の前に現れられなかったという。

同社はCA社から「欺かれ、憤慨している」と付け加えた。これはもしかすると、世間がフェイスブック社は犠牲者であるとの見方をとることに、同社が賭けているしるしかもしれない。

フェイスブック社は21日、議会の要請に答えるためワシントンに代表者を送る。一体なぜこのような事態が起き得たのかを各国の調査員に語っていく、これから始まる世界旅行の第一歩だ。

フェイスブック社の企業価値は、報道が始まって以降600億ドル(約6兆3600億円)以上も下落した。それ以上に大きなシリコンバレーへの影響は、テック企業が自らのサービスを事実上自主規制で運営してきた時代が、もしかすると突然の終わりを迎えるかもしれないとみられていることだ。

(英語記事 Cambridge Analytica: Facebook 'being investigated by FTC'

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