トランプ・マクロン両大統領、新たなイラン核合意を示唆

会談するマクロン仏大統領(左)とトランプ米大統領 Image copyright Getty Images
Image caption 会談するマクロン仏大統領(左)とトランプ米大統領

ドナルド・トランプ米大統領は24日、国賓として訪米中のエマニュエル・マクロン仏大統領とホワイトハウスで会談した。両大統領は2015年にイランと欧米など主要6カ国が結んだ核合意について、新しい合意の可能性を示唆した。

2015年のイラン核合意に懐疑的なトランプ氏は会談後、「よりずっと大きな合意の可能性への取り組み」について語った。

マクロン氏は新合意がイランの弾道ミサイル計画と中東での役割について含まれなくてはならないとした。

イランは米国が既存合意から離脱した場合「厳しい結果」になると警告した。

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トランプ・マクロン両大統領 山あり谷ありの2人の関係

イランは2015年、同国への経済制裁を緩和することを見返りに、核開発を棚上げする合意を欧米など主要6カ国と結んだ。

トランプ米大統領は、判断期限は5月12日までとし、オバマ前政権時代にイランと列強6カ国が結んだ核合意から離脱するかもしれないと警告している。

マクロン氏は、他により良い選択肢はないとして合意に残留するようトランプ氏を説得している。

ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、トランプ氏が合意を脅かすことがないよう、期限ぎりぎりの呼びかけをするため、27日に訪米する予定。

イランのジャバド・ザリフ外相は、米国が合意から離脱した場合、イラン政府は「十中八九」核合意を破棄するだろうと語ったと報じられている。

ワシントンでトランプ氏とマクロン氏が語ったこと

「よりずっと大きい合意の可能性に取り組む機会があるだろうと思う」とトランプ氏は述べ、新合意は「強固な土台」の上で推し進められなければならないと付け加えた。

トランプ氏は自身が「ばかげている」と表現した2015年のイラン核合意に言及し、「各国はイエメン、シリアや他の中東地域を含めた合意を結ぶべきだった」とした。

一方マクロン氏は、イランが中東地域に行使する影響力も交渉の対象になければならないと同意した。

同氏はまた、新合意には既存合意で想定されている今後10年間におけるイラン核開発の制御だけでなく、より長期の核開発や弾道ミサイル計画を含める必要があるだろうと強調した。

そして同氏は中東、特にシリアの「新たな枠組み」を構築するためのトランプ大統領との協働について語った。

「(同地域における)軍事力の存在を超えて、我々は平和を築かなければならない」とマクロン氏は述べた。

会談に先立ってトランプ氏は、イランが核開発を再開しようとしていると警告した。

「イランは何も再開しない。彼らが核開発を再開したら、大きな問題を抱えることになる。かつてないほど大きな問題をだ」

イランの反応は

イランのハッサン・ロウハニ大統領は23日、核合意から米国が離脱した場合「厳しい結果」になると警告した。

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Image caption イランのジャバド・ザリフ外相は「ただ失敗への恐れだけを理由に、合意を止めたり介入したりすることはできない」と語った

一方、イランのジャバド・ザリフ外相は米仏首脳会談の数時間前、核爆弾製造の鍵となる材料のウラン濃縮を再開することもあり得る対応だと述べた。

ロイター通信によるとザリフ外相は、「ただ失敗への恐れだけを理由に、合意を止めたり介入することはできない。しかし合意を開始するためには、少なくとも成功への希望、成功への展望をいくらか持つ必要がある」と語った。

「そして、現在の状況や論調、米現政権の言葉遣いや手法からは、彼らが多くの展望を持っているだろうとは私は考えない」

イランは同国の核開発が平和的な民間利用目的だけが狙いだと主張している。

トランプ氏の2015年イラン核合意への異議

トランプ大統領は米国、イラン、中国、ロシア、英国、ドイツ、フランスの7カ国が署名した2015年の核合意について、ヒズボラなど中東地域で活動する武装勢力へのイランによる支援を止める何の手立てにもなっていないと長い間批判してきた。

トランプ氏はまた、既存合意の署名者に、イランによるウラン濃縮の恒久的な規制へ同意することを求めている。

現在の合意は2025年に失効する予定だ。

首脳会談で話された他の議題は

3日間の予定で訪米しているマクロン氏は、トランプ政権下で初となる国賓扱いの海外指導者となった。

トランプ氏は「僕たちは特別な関係を持っている」とホワイトハウスの執務室で記者らに対し語った。

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Image caption マクロン仏大統領を招いたホワイトハウスでの夕食会は、トランプ米大統領政権下で初の公式晩餐会となった

マクロン大統領と妻のブリジット氏は24日、ホワイトハウスで開かれた公式晩餐会に招待され参加した。トランプ政権下で初の公式晩餐会だった。

晩餐会のゲストにはヘンリー・キッシンジャー元米国務長官やアップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)も含まれた。

イラン核合意だけが両大統領の間に不協和音を生む潜在要因ではない。

気候変動に対するパリ協定やエルサレムをイスラエルの首都と認める米国の決定、EUからの鉄やアルミニウムに対する輸入関税なども議題に上っている。

またトランプ氏は最近、シリアの化学攻撃疑惑を受けた今月初めの空爆実行に英国と共にフランスが加わったことに謝意を示した。


<解説>「より大きく、より良い」合意

バーバラ・プレット・アッシャー BBC米国防総省担当特派員

マクロン大統領の訪米は奇妙さが入り混じったものとなった。

一方では、あからさまな違いが示された。マクロン氏は「積極的な国家主義」に抵抗し「新しい多国間協調主義を築く」ことを会談冒頭に忠告し、ほとんど反トランプ勢力が乗り移ったかのようだった。

他方、遊び心と攻撃性がいったりきたりしているように見えたトランプ氏の激しい握手やとても奇妙なふけ取りの一幕は、考えられた友好関係を公然と示した。

しかし、マクロン大統領がトランプ氏による予期せぬ身づくろいの行動に屈辱を感じたかどうかはわからないが、トランプ氏の関心をイラン核合意に向けることは確かにできた。

マクロン氏は「より大きく、より良い」合意を作る約束によってイラン核合意を守るために、自身の主張を組み立てた。

言い換えれば、既存合意を破棄し新しくするよりも、既存合意に基づいて同合意の欠陥に対処するとした。

それが可能かどうかはまだ分からない。

しかしこの提案は、トランプ氏の興味を引くのに十分だった。

会談の後、トランプ氏の口調は会談前の激しい説教調から、いまだ明言はしないにせよ、より考えられたものへと変わった。

そしてそれはトランプ氏と、同氏とどう話せばいいか分かっているマクロン氏のような誰かとの個人的な関係性が、影響力を持つことを示している。


(英語記事 Trump and Macron hint at new Iran nuclear deal

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