「フェイスブックは評判の危機」データ流出疑惑渦中の学者語る

コーガン博士は、危機に直面したフェイスブックが同氏をスケープゴートにしていると語った
Image caption コーガン博士は、危機に直面したフェイスブックが同氏をスケープゴートにしていると語った

フェイスブックのデータ流出疑惑をめぐり、疑惑のきっかけとなったアプリの開発者アレクサンダー・コーガン博士が24日、英議会下院のデジタル・文化・メディア・スポーツ(DCMS)委員会で証言した。同氏はフェイスブックが全面的な「PR危機状態」(世間からの批判で評判が危機にあること)にあると語った。

コーガン氏の発言は、同氏が英ケンブリッジ・アナリティカ社によるデータ不正収集における自身の役割について下院議員の厳しい追及を受けてなされた。

同氏はフェイスブックが、自社のデータが「数千におよぶ第三者によって利用されていた」ことに全面的に気づいていたと述べた。

同氏はケンブリッジ・アナリティカは同氏からデータを受け取っていなかったとするアレクサンダー・ニックス最高経営責任者(CEO=停職中)のこれまでの主張についても「でっち上げだ」と批判した。

後の釈明でケンブリッジ・アナリティカは、コーガン博士が設立した会社からデータの使用権を与えられたことを認めたものの、その情報が2016年の米大統領選で使われたことは否定した。

コーガン博士がDCMS委員会で証言した後、ケンブリッジ・アナリティカは記者会見を開き、同社の広報担当者クラレンス・ミッチェル氏は同社が「(ジェイムズ・)ボンド映画の悪役ではない」と語った。

「データ分析は(広告配信などにおける)より正確な対象絞込みのために一般的に使われており、完全に合法だ。一部で描写されているような、ボンド映画にに出てくるような洗脳ではない」

金儲けの方法

コーガン氏は委員会で、データ不正収集疑惑における自身の役割について下院議員から質問を受けた。

同氏はフェイスブックと秘密保持契約を交わしており、それが同氏とフェイスブックの関係に関する詳細を議員らに明かすことを妨げていたと明らかにした。

英ケンブリッジ大学に所属するコーガン氏は、流出した数千万人分に及ぶフェイスブック利用者の個人情報が、許可を得ないまま2016年米大統領選で利用されたかどうかをめぐる議論における中心人物になっている。

委員会の聴取に対しコーガン氏は、同氏がケンブリッジ大学の心理学部門で開発したアプリの収益化について、SCL(ケンブリッジ・アナリティカの親会社)から2014年の春に接触を受けたと説明した。

同氏は営利法人のグローバル・サイエンス・リサーチ(GSR)社を設立し、性格診断クイズアプリ「マイ・デジタル・ライフ・フォー・SCL」を開発した。同アプリには市場調査会社を使って20万人の参加者が集められた。

当時、フェイスブックの利用規約(現在は変更されている)はアプリ開発者に、アプリ利用者とその友人の詳細情報を収集することを認めていた。

「SCLとの議論は当初、コンサルティング業務、調査設計、フェイスブックのデータから生じる利益についてだった」とコーガン氏は述べた。

下院議員はコーガン氏とGSR社を共同創業し、現在はフェイスブックに雇用されている同氏のビジネスパートナー、ジョセフ・チャンセラー氏との関係を厳しく追及した。

「フェイスブックはあなたの会社を詐欺、不正、と呼んだ。そんなフェイスブック社が同社の利用規約に違反した人に入社許可を与え、雇うのは奇妙ではないか?」とDCMS委員会のダミアン・コリンズ委員長は尋ねた。これに対しコーガン博士は「フェイスブックが実際に信じていることを私は信じない。フェイスブックは自らのプラットフォームが数千におよぶ第三者によりいたるところでデータを収集されていたことを知っているはずだ」と答えた。

「私の会社を名指しで批判し、ならず者の会社だと呼ぶことが都合がよかったのだ」と同氏は付け加えた。

コーガン氏はGSR社が金儲けの方法として設立されたのかとも問われ、同社は合計で23万ポンド(約3496万円)しか受け取っていないと答えた。同氏によると、当初SCLから支払われた60万ポンドから80万ポンドは、クイズへの回答に同意した人に支払われたという。

また、コーガン博士は委員会に示された書類で、ケンブリッジ・アナリティカの親会社であるSCLに提供された性格診断クイズの結果は「非常に不正確」だったと指摘した。

「私たちの結果が示した性格の5つの特徴全てが当たっている人は、回答者全体の約1%と推定している」

同氏はこのデータは、フェイスブック上での広告における対象絞込みに使う価値はないだろうと付け加えた。

洗脳ではない

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Image caption ケンブリッジ・アナリティカのCEOを停職中のアレクサンダー・ニックス氏は英下院DCMS委員会への出席を延期した

コーガン氏がDCMS委員会に出席した後、ケンブリッジ・アナリティカはロンドンで記者会見を開き、疑惑に関する沈黙を破った。

同社の広報担当者であるミッチェル氏は、コーガン氏が同社に提供したデータが「事実上使えなかった」ことに同意した。

ミッチェル氏は「そのデータは統計的にはあてずっぽうよりほんの少し上ぐらいのものだった」と語った。

同氏はデータが米大統領選のトランプ氏陣営に使われず、またケンブリッジ・アナリティカはイギリスのEU離脱を問う国民投票に際して、ボート・リーブ(離脱派団体)とリメイン(残留派団体)の双方に業務を提案したものの、どちらの側からの仕事も引き受けなかったと繰り返した。

同氏は、ケンブリッジ・アナリティカに対する独立機関による調査の結果もまもなく公開されると述べた。

現在停職処分を受けている同社のニックスCEOが公の場に姿を現さないことについて尋ねられると、ミッチェル氏は「ニックス氏を代弁するためにここにいるのではない」と話した。

ただ、ミッチェル氏はニックス氏がDCMS委員会での証言を延期した決定は擁護した。

「ニックス氏は意気込んでいるし、DCMS委員会で話す意思があるが、独立機関による調査が実施中の間は証言するべきではないと指示を受けている」

26日にはフェイスブックのマイク・シュローファー最高技術責任者(CTO)がDCMS委員会で議員の質問を受ける予定だ。

(英語記事 'Facebook in PR crisis mode', says academic at heart of row

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