トランプ氏、解放米国人を出迎え 米朝首脳会談を前に北朝鮮が解放

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北朝鮮から解放された米国人3人が10日未明、米ワシントンのアンドリューズ空軍基地に到着した。ドナルド・トランプ米大統領は基地で3人を出迎えた。

トランプ氏は3人の基地到着を受け、「この本当に最高の人たちにとって特別な夜だ」と述べた。

ホワイトハウスは3人の解放が、予定されているトランプ氏と北朝鮮の最高指導者である金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との首脳会談を前にした友好の意思表示だとしている。

トランプ氏は首脳会談の開催地が「3日以内に」発表されるだろうと述べた。

3人を乗せた米空軍機は、午後2時45分ごろ到着した。トランプ氏とメラニア夫人は機内に入り、数分後に3人の男性と共に姿を現し報道陣に手を振った。

トランプ氏は記者団を前に、金委員長が首脳会談前に3人を解放してくれたことを喜び、「正直言って、会談前に実現するとは思っていなかった」と明らかにした。

3人の解放が自分にとって最高に誇らしい業績かと聞かれると、「それは(朝鮮)半島の完全非核化だ」と答えた。

「(3人の解放実現は)素晴らしい名誉だ。しかし、本当の名誉は、核兵器をなくす勝利の実現だ」とトランプ氏は述べた。

トランプ氏はさらに、北朝鮮に旅行できるようになる日を期待すると話し、さらに金委員長が自分の国を「本当の世界」の一員にしたがっていると、自分は確信していると強調した。

解放されたキム・ハクソン氏、トニー・キム氏、キム・ドンチョル氏の3人は帰国に先立ち発表した声明で「米政府、トランプ大統領、(マイク・)ポンペオ米国務長官、そして我々を家へと連れ戻してくれた米国の人々に深い感謝を伝えたい」と述べた。

「神と、我々と我々の帰国を祈ってくれた全ての家族や友人に感謝する」

トランプ氏は9日、「北朝鮮から飛行機で帰国中のマイク・ポンペオ国務長官に、皆がとても会いたがっている素晴らしい紳士3人が同乗中だと報告できて嬉しい。元気なようだ。そして金正恩と良い会談だった。日取りと場所が決まった」とツイートし、3人の解放を明かしていた。

3人は反政府行為罪などで拘束され、労働収容所に勾留されていた。

解放はトランプ氏と金氏との会談の詳細を調整するためにポンペオ氏が平壌を訪問している最中に起きた。

トランプ氏は「金正恩の行動と3人の帰国を許してくれたことに感謝する」と話した。

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Image caption 左からキム・ハクソン氏、キム・ドンチョル氏、トニー・キム氏

解放された3人はポンペオ氏と共に、米空軍の飛行機で北朝鮮を離れた。4人は帰国途中、東京近郊の横田空軍基地で、より良い医療設備を備えた飛行機に乗り換えたという。

ポンペオ氏は「全ての数値は現在のところ、彼らの健康状態がありうる限り最高に良いと示している」と述べた。

北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)によると、金正恩氏は同氏が3人の拘束米国人の恩赦を求める米国の申し出を承認したとし、自身とトランプ大統領の会談が朝鮮半島の状況を前進させる「素晴らしい最初の一歩」になるだろうと述べたという。

拘束された3人のうち1人は2015年に労働収容所に収容され、残りの2人は1年余りを収容所で過ごした。3人に対する有罪判決は政治的なもので、人権侵害だと広く非難されている。

解放された3人は

  • キム・ハクソン氏は2017年5月、「敵対行為」の疑いで拘束された。同氏は自分をキリスト教伝道師だとし、平壌科学技術大学(PUST)で実験的な農場を始めようとしていると説明していた。
  • トニー・キム氏はキム・サンドクという名前でも知られ、キム・ハクソン氏と同じくPUSTで勤務していた。トニー・キム氏は2017年4月にスパイ容疑で拘束された。韓国メディアによると、同氏は北朝鮮の人道支援にかかわっていたという。
  • キム・ドンチョル氏は60代前半の牧師。2015年にスパイ容疑で拘束され、その後10年の重労働刑を言い渡されていた。

解放への反応は

韓国大統領府の青瓦台は米国人の解放を歓迎し、今後の交渉に「前向きな影響」があるだろうと述べた。

青瓦台の尹永燦(ユン・ヨンチャン)国民疎通首席秘書官はまた北朝鮮に対し、同様に拘束されている韓国人6人の解放も求めた。

尹氏は「韓国と北朝鮮の融和を促進し、朝鮮半島に平和を広めるため、拘束韓国人の速やかな送還を望む」と述べた。

トニー・キム氏の家族はBBCに提供された声明で、「彼の帰還に向けて取り組み、貢献してくれた全ての人々に感謝したい」と述べた。また家族は「北朝鮮と直接やり取りしたことについて、大統領にも感謝したい」と話した。

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Image caption 米国の外交責任者マイク・ポンペオ国務長官は、6週間で2回、北朝鮮の指導者である金正恩氏と会談した

北朝鮮の強制収容所はどんな場所なのか

米国の人権団体「北朝鮮人権委員会」(HRNK)によると、北朝鮮では約12万人が適正な手続きなしに収監されていると考えられている。

韓国製DVD観賞から亡命未遂に至るまで、住民はあらゆる罪状で政府に拘束される恐れがあるという。

そのなかでも政治犯は、専用に収容所に送られることが多い。大抵は過酷な労働収容所で、鉱山採掘や木材伐採など厳しい肉体労働が課される。

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Image caption 米大学生だったオットー・ワームビア氏は、平壌での涙の告白会見から1年もせずに亡くなった

重労働罪を課されていた米国人宣教師のケネス・ベ氏は、悪い健康状態にもかかわらず牧場で週6日の労働を強制されたという。

一番最近解放された米国人、ホテルの政治宣伝ポスターを盗もうとした罪で拘束されていたオットー・ワームビア氏は、昨年解放されたが致命的な健康状態で、帰国後ほどなくして死亡した。

両親のフレッド・ワームビア氏とシンディ・ワームビア氏は、「解放された拘束者やその家族と共に喜んでいる。オットーが恋しい」と話した。

(英語記事 North Korea summit: Trump greets freed US detainees

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