シリア難民少女の写真を日本人が挑発的なイラストに……人種差別か

refugee girl Image copyright Facebook

シリア難民の6歳少女を撮影した写真をもとに、日本人の右派漫画家がフェイスブックに掲載した上のイラストが、インターネットで強く批判され、議論になっている。

日本人漫画家はすみとしこ氏は9月10日、イラストをフェイスブックに掲載した。シリア難民を侮辱する人種差別や偏見に満ちたイラストだと、フェイスブックに削除を求めるChange.orgでのオンライン署名活動が始まったのは10月1日で、8日現在で1万人以上が賛同している。

日本の英字紙「ジャパン・タイムズ」によると、フェイスブックはコミュニティーのガイドラインに抵触していないという理由から画像を削除しなかったが、投稿した本人がイラストを取り下げた。

しかし、はすみとしこ氏はそもそも投稿したことについて正当性を主張する。BBCトレンディングに対して、署名に賛同している人たちは左派活動家だろうとして、「左派を良く描かない政治漫画をたくさん描くので、ターゲットにされたのだと思う」との見方を示した。

日本政府はシリアやイラクの難民支援に8億1000万ドルの支出を表明しているが、安倍晋三首相は難民受け入れについては拒否の構えだ。日本への難民申請は昨年5000件あったが、日本政府が難民認定したのは11件にすぎない。日本社会は世界でも特に民族の多様性が少なく、高齢化による人口減少にもかかわらず移民受け入れに対する反対意見は国内に根強い。

日本で移民というと韓国・朝鮮系の人たちが多い。一方で自ら「保守」と名乗るはすみ氏はフェイスブックに「嫌韓」的な内容を含む投稿を重ねている。「従軍慰安婦」を疑問視する投稿もある。

はすみ氏は、少女のイラストについて「特定の人種や国民を名指ししていない」と英語で説明しているが、国際慈善団体「セイブ・ザ・チルドレン」のカメラマン、ジョナサン・ハイアムズ氏がレバノンの難民キャンプで撮影した6歳少女の写真をイラストのもとにしたことは認めている。

Image copyright Jonathan Hyams / Save the Children
Image caption ジョナサン・ハイアムズ氏撮影の写真
Image copyright Toshiko Hasumi
Image caption はすみとしこさんのイラスト

ハイアムズ氏はツイートで「罪のない子供の写真を使って、あれほど歪んだ偏見を表現する人がいるとは、衝撃を受けているし、とても悲しい」と批判。はすみ氏は、イラストをフェイスブックから自ら削除したのはハイアムズ氏の要請があったからだと書いている。

「セイブ・ザ・チルドレン」はイラストは「悲しい」として、「本来の文脈から外れてこの写真を使い、しかも本人や家族や難民全員に非常に無礼な形で使うなど受け入れがたい。イラストが削除されたことに満足している」と文書で声明を発表した。

一方のはすみ氏はイラストは削除したものの、内容について謝罪はしていない。英語の説明文で「日本には在日韓国朝鮮人の問題があり、欧州の国々に同様の被害に遭ってほしくない。偽装難民のせいでまじめに働く人たちが苦しめられてほしくない」と書いている。また、少女の画像を使ったのは意図的で、老人男性の絵を描いてもこれほど注目されなかっただろうとも書いている。

「本当に苦しんでいる難民の存在は否定しないが、本当に苦しむ難民へ向けられるマスコミの注目を悪用して、私利私欲のために被害者のふりをする『偽装難民』を否定しているだけだ」と、はすみ氏は英語で書いている。

マイク・ウェンドリン

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