「進撃の巨人」の作者・諫山創さん単独インタビュー 拒絶され諦めそうに

  • 2015年10月19日
「進撃の巨人」作者・諫山創さん単独インタビュー

人食い巨人が地上をのし歩き、残されたわずかな人類は城壁の中で怯えて暮らす――これが大ヒット作品「進撃の巨人」の世界だ。その暗いディストピアを作り出した作者の諫山創さんは、あまり人前に出ないながらも、今やカルト的な人気の世界的ベストセラー作家だ。

シリーズは世界中で総計5200万部以上売れており、英語、中国語、ドイツ語など複数の言葉に翻訳されている。アニメ版の人気は原作並みに高く、最近では2部構成の実写映画も公開された。

Image copyright ⓒ諫山創/講談社
Image caption 諫山さんの漫画はアニメ化され、実写化もされている  ⓒ諫山創/講談社

マスコミ取材をあまり受けない諫山さんは、BBCの単独インタビューに応じ、自分の漫画を受け入れてくれる出版社がなかなか見つからず、絵が下手すぎるとあまりに言われるため、漫画家の夢を諦めそうになったと話した。

絶望しそうになった末にようやく生み出された「進撃の巨人」がファンに愛されるのは、単に商業的に成功しているからではない。なぜ「カルト的」とも言えるほど、これほどまでに支持されているのか。いくつか理由を並べてみる。


作者がユニーク

諌山さんが「進撃の巨人」の設定を思いついたのは、ゲームがきっかけだった。「よくあるモンスターが地球を攻めてきて人類滅亡寸前というジャンルのもので、そのモンスターとして人食い巨人というのは面白いんじゃないかと思った」のが始まりだった。

「進撃の巨人」作者・諫山創さん単独インタビュー ロングバージョン

なかなか評価されず、出版社に断られ続け、逆境の中で苦労を重ねた末に大成功した諌山さんは、殺害予告がインターネットに載ることもたまにあるが、むしろ多くのファンを元気づける輝く存在、インスピレーションと創造性の光だ。

投稿サイトRedditで「進撃の巨人」をテーマにする人気スレッドでは、「あまりに妙なアイディアだったのに諦めなかった。だから作家として諌山が大好きなんだ」と、ひとりのファンが書いている。


主役が勝つとは決まっていない

Image copyright ⓒ諫山 創・講談社/「進撃の巨人」製作委員会
Image caption 主人公エレンは、巨人を倒したいという思いと自分の過去の間で揺れる 

物語の壮大なスケールが大好きだという人もいる。たとえ巨人に一時的に勝っても、それで終わりではない。主人公たちは次々と対立や混乱に襲われ、物語はさらに続いていくのだ。

主人公のエレンは、巨人に故郷を破壊され、母親が食べられるところを目のあたりにしてしまう。そのエレンが巨人を倒すために戦い続けるなかで、巨人について、エレンの仲間について、真実が少しずつ明かされていく。

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Image caption 予想を次々と裏切る意外な展開も高く評価されている 

「おかげでとてもリアルに感じる。登場人物はいろいろな問題や困難に直面して、現実的な解決策を見つけなきゃならない」 ひとりの日本人ファンはRedditにこう書いている。

「典型的な少年漫画だったら、味方側のキャラクターが死ぬのは珍しい。でも『進撃の巨人』は典型的な少年漫画じゃない。勝つのはほとんど決まって敵、悪役だ。主人公側が珍しく勝っても、代償が大きすぎて勝利の喜びを味わえない。そこが自分には魅力だ」と書いたファンもいる。


暗い灰色の世界

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Image caption 巨人には生殖器がない。エネルギーは太陽光から得ている。 
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Image caption 巨人は人類を食べ続ける。残酷と暴力は一貫したテーマのひとつだ。 

「絶望と喪失」という普遍的なテーマを楽しんでいる読者もいる。

「シリアスで暗いトーンが全体を貫いている。必死になって戦う姿が新鮮だ」と書くファンは、日本文化にどっぷりつかった内容ではないので、漫画になじみのない人にも受け入れられやすいと指摘する。

さらに、ミステリーと冒険の要素、そして人間同士のつながりに焦点をあてた物語作りが、「人間とは何か」について関心のあるすべての人に示唆深い内容になっているというのが、多くのファンの意見だ。

(英語記事 Attack on Titan: a reclusive artist and his man-eating giants

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