「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の未来予測 当たりと外れと

Back to the Future 2 Image copyright Universal Pictures

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の日だ。1989年11月に公開された映画3部作の第2弾で、マーティーとドクがやってきた「未来」の日だからだ。

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公開から26年近くたった今になって見直しても、未来をかなり正確に予測していたのは見事だ。その一方でかなり外れた予測もあったわけだが。


移動手段は

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「これから行くところじゃ、道はいらないんだよ」。……たとえばこれはまあ、実現しなかった。

空飛ぶ自動車はどうしても手が届かないようだ。たとえばボストンに本社のある「テラフジア」社は2012年に発売を開始すると言っていたが、まだビジネスは立ち上がるに至っていない。

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自動車の垂直離陸について「バック・トゥ・ザ・フューチャー」は確かに楽観的過ぎたが、ピタリと当てたディテールがひとつある。

自動車の走行音に使われた音響効果をじっと聴いて見ると、トヨタのプリウスなどの電気乗用車でおなじみになった、無音に近い振動音が聞こえるはずだ。

ただし家庭用核融合発電装置「Mr フュージョン」に生ゴミを放り込んでも、発電は期待できなさそうだ。

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その一方で、ゴミを乗り物の燃料にしようという動きは確かにある。

英南西部のブリストルやバースでは最近、捨てられた食料や下水を燃料にしたバスの運行を開始。ほかの場所でも農業廃棄物をガソリンの代替品にしようという試みが実施されている。

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加えて、ビフがタクシー代を親指の指紋で払ったのは、私たちはいまウーバーやヘイロー、リフトといった配車サービスを使って車を呼んで現金なしで支払いをするのと、そうそう違わない。

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「バック・トゥー・ザ・フューチャー」と言えばホバーボードの追跡場面だが、それでさえ今やまったく荒唐無稽とは言えなくなっている。

トヨタ自動車の「レクサス」は今年8月に自分たちなりのホバーボードを発表した。鉄製の線路が地面に埋め込まれていることが前提のものではあるが。最近では、スケートボーダーのトニー・ホークがライバル社の「Hendo」を試乗した。これも同じような磁気浮上技術をもとにしている。

(浮かないホバーボードにはこれ以上あまり触れないほうがいいかもしれない。イギリスの公道では違法なので……)

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ただし、バーコード式のナンバープレートは、たまに冗談で話題になる程度で、導入にはほど遠い。


いい感じ

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そして今のIT業界が夢中になっているウェアラブル技術は、マーティーのしゃべるジャケットが先駆けだと言える。

今の洋服には自動乾燥機能はまだ付いていないが、ファッション業界には繊維に電子製品を埋め込む技術を研究する先駆者たちがいる。

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メッセージがピカピカ光る警官の帽子は、ツイートが表示されるCuteCircuit社のドレスと同類だし、ナイキは映画に出てくる自動靴ひも調整スニーカーの特許を取得した。

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身だしなみについては、ドク式の若返りフェイシャルピーリングはまだ無理だ。

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しかし昨年1年のアメリカだけで、ボトックス注入が670万回、ケミカルピーリングが120万回行われたことを思えば、少なくとも挑戦は続いているようだ。


ロボットの台頭

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「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のドローンはチラッとしか出てこないが、実に「いまどき」な感じがする。

BBCなどメディア各社は、カメラ機能を搭載した小型無人機を使って、新しい視点からニュースを伝えるようになっている。とはいえ、作中のUSA Todayのように人ごみの中に送り込むのは躊躇するかもしれないが。

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犬を散歩するドローンはすでに現実のものらしい……少なくともVimeoやYouTubeのビデオをなんでも信じるなら。

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映画には、ガソリンスタンドのアシスタントロボットも登場する。オランダでは数年前に同じような装置の試験運用を行い、テスラモーターズも電気自動車用に同様の装置を開発中だ。


娯楽は

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ありがたいことに、ホロマックス版「ジョーズ19」は実現していない。

しかし映画業界は3D技術の追求を諦めていない。最新の新機軸は「より明るくシャープで鮮明な」映像を再現するというレーザー映写システムだ。

今月初めにロンドンでこの新技術がお披露目された際に、技術のショーケースとして紹介されたのがロバート・ゼメキス監督の最新作「The Walk」だったのは、実にうってつけだった。ゼメキス監督は言うまでもなく、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」3部作の監督なので。

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家庭内エンターテインメントについて言えば、「バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2」はそれに輪をかけてさえていた。

マクフライ家にあるロールアップ式のフラットスクリーンは、LGが最近の展示会で披露した曲がるテレビパネルをほうふつとさせる。噂では商品化もそう遠くないと言われている。

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一方で、サムスンやソニーのスマート・テレビやアマゾンやアップルのボックスのおかげで音声操作できるテレビはもう実現している。


スマートグラスはあるがスマートフォンは……

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作中のマーティー・ジュニアがハイテクめがねで何を見ているのかほとんど分からないし、そのブランド「日本ビクター」は消費者家電の世界でかつてほどの影響力をもたなくなっている。

しかし現在の家電大手はそれぞれ各自にこのハイテクめがね技術を追求している。マイクロソフトのホロレンズや、フェイスブックのオキュラス・リフト仮想現実ヘッドセットグーグル・グラスの第2弾などがそれにあたる。

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しかし映画がなにより外したのは、スマートフォンを予測しなかったことかもしれない。

マーティー・ジュニアがAT&Tの公衆電話を使っている場面さえあり、アメリカで最初にiPhoneのキャリアとなったのがAT&Tだと思うと、かなり皮肉だ。

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を作った人たちがデータでつながった世界を想定しなかったというわけではない。スカイプ的なビデオチャットが登場する場面では、相手が画面に現れるだけでなく、相手の個人情報まで表示される。けれども通話は一貫して、手持ちの端末ではなくテレビ画面を経由して行われている。

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同じように、マーティー・ジュニアに逮捕されるぞと教えるために使ったのがタッチスクリーンではなく紙の新聞だったのも、実に惜しかった。

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この21年前に公開されたスタンリー・キューブリック監督の「2001年宇宙の旅」ではすでに、独自の「ニュースパッド」を登場させていただけに、なおさらだ。

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そしてヒルバレーの時計塔を復活させようとしている活動家も、「バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2」の別の場面でタブレットを使っているように見えるので、さらになおさらだ。


オフラインな未来

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とはいえ、ワールド・ワイド・ウェブ(WWW)が発明されたのは映画が公開されたのと同じ年のことだと思えば、やたら批判するのは酷だ。ティム・バーナーズ・リーが最初のブラウザを作ったのは、その翌年のことだったのだし。

作中のごみ置き場でCD-ROMやレーザーディスクが大量に捨てられて目立っているのも、だからこそなのかもしれない。

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そして「電子メール」という言葉さえまだない時代に映画で未来を予測した人たちが、歩道からファックスを送信するようになると想像したのも無理もないかもしれない。

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だからといって、なぜマクフライ家にあれほどたくさんファックス機があるのかは、よく分からないが。


その他の当たりと外れ

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コンピューター制御のオーブンはまだ比較的珍しいが、サンフランシスコで最近開かれたスタートアップ展示会では事実、ロボットシェフが目玉の一つだった。

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残念ながらピザ・ハイドレーター(加水調理器)はまだ夢物語だし、セルフィー撮影機能付きの冷蔵庫ではとてもその代わりにならない。

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「バック・トゥ・ザ・フューチャー」はコンピューター制御ドアロックの実現は見事に当てた。各社が次々と商品化するなかでイェールが今月初めに最新版を発表したばかりだ。

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とはいうものの、ジョージ・マクフライが腰痛治療機で逆さまに宙吊りになっているのは、さすがの脚本担当たちも頭に血が上っていたとしか言いようがない。しかしそれでさえ、第1作目と別の俳優が演じているのを隠すためというのが本当の理由を分かれば、致し方ないと納得がいくというものだ。

(英語記事 Back to the Future II: What did it get right and wrong?

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