【パリ連続襲撃】ムスリムの子供たちへの影響は

「ラマダンじゃないのにどうして食べないの?」と母親に尋ねられた子供が、「恐ろしいことばかりで食欲がないんだ」と答えるイラストが、フランスの子供向け新聞に掲載された。 Image copyright Mon Quotidien
Image caption 「ラマダンじゃないのにどうして食べないの?」と母親に尋ねられた子供が、「恐ろしいことばかりで食欲がないんだ」と答えるイラストが、フランスの子供向け新聞に掲載された。

130人が犠牲になったパリ連続襲撃について、自分の子供にどう話したらいいのか困った親は大勢いる。中でもムスリム(イスラム教徒)の家族では特にそうだ。この状態を念頭に、フランスの子供向け新聞「Le Petit Quotidien」と姉妹紙が24日の紙面で、幼いムスリムの読者向けに事件を丁寧に扱っている。

6~10歳向けの「Le Petit Quotidien」の記事で、9歳のアイマン君が「先週月曜に学校に着くと、何人かの友達にテロリスト扱いされた」と話している。「先生に言ったら先生が、ムスリムが全員テロリストなわけじゃないってクラスに説明してくれた」という。

同じく9歳のモハメド君は「ショックで、ママにそう言ったんだ。怖くて、(テロリストが)僕の町ににも来るんだって怖かった」と話している。

同紙の10~14歳向けの姉妹紙「Mon Quotidien」と14~17歳向けの姉妹紙「l'actu」は、事件発生から4日間、何が起きたかを説明し、読者の質問に答え続けた。

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Image caption 「ムスリムの読者7人がパリ襲撃について思い語る」という「Mon Quotidien」紙の見出し

編集者のフランソワ・デュフォアさんは「説明しようのないことを子供たちに説明するのに、うちの記事が本当に必要だったと保護者や教師には評価してもらった」と話す。しかしその一方で、称賛とは言い難い手紙も10通ほど受け取ったと言う。

批判の手紙は「ムスリムの親たちからだった」とデュフォアさんは説明する。「攻撃の犯人はムスリムだと書いてはだめだ、連中はムスリムではない、イスラム教を利用しているだけだ。イスラムの教えを厳しく守るべきと信じる自分たちはテロリストではない」というのがその内容だったという。

こうした批判をきっかけにデュフォアさんは、事件から10日間の思いや経験を共有してもらいたいとムスリムの読者に呼びかけた。

「取材に応じてもらうのは大変だった」が、協力してくれた人たちは「恐怖と驚きと強い嫌悪感」を共有してくれたという。

「ムスリムであればなおのことその思いは強かった。自分たちの宗教を人殺しに使っているという、強い嫌悪だ」とデュフォアさんは話す。

「子供たちは、テロリストにはフランス人もいると知ってショックを受けていた。フランス人がフランス人を殺したのだというのは、子供たちにとってとてつもない衝撃だったようだ」

同紙の紙面で子供たちは、どういう怖い思いをしたかに加えて、自分にとってイスラム教がどういうものかを語っている。

シャイマちゃんは「盗めないし、叩けないものだとわかりました。私にとってイスラムとは、お金のない人に食べ物とお金をあげて、病気の人のために病院を建てて、コートが必要な人に私のコートをあげることです」と話した。

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Image caption 「l'actu」紙に掲載された一コマ漫画。左側の人たちが「私たちはテロリストじゃない!」と言うのに対して右側の人たちは「わかった、わかった! 信じるけど命は見逃して」と答えている。

子供の年齢が上がるに連れて、襲撃を強く批判し、経験する不安な思いを詳細に語っている。

13歳のアブデルカデル君は「11月13日から、周りの人たちの態度が変わった。月曜日に母親と地下鉄に乗った。母は頭にスカーフをしている。車両に入ると『ああもう、今は勘弁してよ』という女の人の声が聞こえた。母親も僕も何も言わなかったけれども、気になった」と話した。

アジズ君も似た経験をしたという。「みんなが僕たちをテロリストだと思ってると言っていいと思う。通りではジロッと見られるし、不安なんだろうな、目をそらされる。僕たちを怖がってるんだと思う。アラブやムスリムに見えるからって、僕たちも同じことをするって思ってるのが分かる」。

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Image caption 「Mon Quotidien」紙に掲載された漫画。銃を持った男性が「我こそは真のムスリムだ!」と宣言すると、右の人は「全然違う……ただの真の人殺しですよ」と反論する。

10代後半の子供たちのコメントはさらに事態の複雑さを反映している。17歳のオマル君は「フランス政府は僕たちに敬意を抱いていない。向こうにとって僕たちは移民でろくでもないカスなんだ。テロリストたちが人を殺したのは間違っている。けれどもそもそもシリアを爆撃したのはフランス政府だ。そんなことをしていいわけがない。よその国の上を飛んで爆弾を落とすなんて。ダーエシュ(IS)がパリで攻撃したのは、フランスが持ち出す憎しみに反応してのことだ」と批判している。

17歳のウスマン君はこう警告する。「ダーエシュは、人の憎しみを利用して増幅させる。フランスにある人種差別を悪用する。社会の分断とイスラム恐怖症を利用しているんだ」。

「テロリストたちはイスラムを代表しない。連中に宗教はない。連中の宗教は恐怖だけだ」と言うのは、19歳のアニッサさんだ。「あいつらはコーランを唱えるけれども、戦時に関する文言を文脈無視で勝手に使っている。寛容を唱える言葉は取り上げない。寛容について私が知っているすべてはコーランに教わったことなのに」。

7歳のダド君はもっと単刀直入だ。「テロリストはすごくいやな人たち。みんなを怖がらせてるのは良くない。自分たちに同じことをされたら、いやだったはず。殺したせいで、みんなの素敵な未来がダメになって、お誕生日を祝えなくなって、歯が抜けても歯の妖精に来てもらえなくなった」(訳注・欧米では子供の乳歯が抜けると「歯の妖精」がやってきて代わりにお小遣いをくれるという言い伝えがある)。

(英語記事 How the Paris attacks are affecting Muslim children

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