「英ムスリムの5人に1人がISに共感」報道に反発する英ムスリムたち

「英イスラム教徒の5人に1人がISに共感している」という英タブロイド紙「サン」の主張をツイッター利用者の多くはからかった Image copyright Twitter/Saka1410
Image caption 「英イスラム教徒の5人に1人がISに共感している」という英タブロイド紙「サン」の主張をツイッター利用者の多くはからかった。このツイートは「ムスリムの5人に1人が猫を強制改宗させた」と

英タブロイド紙サンが23日に、英ムスリム(イスラム教徒)の5人に1人が過激派勢力「イスラム国」に共感しているという記事を掲載したところ、ツイッターではこれを皮肉にからかう「#1in5Muslims」(ムスリムの5人に1人)ハッシュタグが飛び交った。

23日付のサン紙は、「英ムスリムの5人に1人が聖戦主義者に共感」という見出しを1面に掲げた。これは調査会社サーベーションによる電話世論調査結果にもとづくもので、調査では回答者の19.8%が、シリアの戦闘員に加わるため英国を離れる若いムスリムに「いくらか」あるいは「とても」共感していると答えたという。これをもとにした右翼系サンの記事は、回答者たちは「ISのために戦うことを目的に英国を脱出した」人たちに共感を示したのだと書いた。

同記事では、英国の著名ムスリムがこの結果を「警鐘」と捉えていると説明し、最も高名なムスリム系政治家のひとり、サディク・カーン下院議員(労働党)に取材。カーン議員は記事で「イギリスは砂につっこんだ頭を出す必要がある」と答えている(訳注・「砂の中に頭を突っ込んでいる」は「天敵から逃げるため砂に頭を突っ込むダチョウ」を比喩に、「現実から目をそむけている」という意味の慣用句)。

この記事に英メディア各社は素早く反応し、特に左派系新聞は調査手法やサン記事の解釈を強く批判した。インディペンデント紙は、質問が漠然としていると批判した上で、同社が今年3月に非ムスリムを対象にした同種調査の結果(14%近い非ムスリムの回答者が、シリアへ渡航する若いムスリムに「いくらか」あるいは「とても」共感すると回答)と大差ないと指摘した。ミラー紙は、実際の質問は「聖戦主義者」という単語を使っていないし、「イスラム国」という表現も使わずに「シリアの戦闘員」という広義の表現しか使っていないと書いている。

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これに対してサン紙は、記事内容は正しいと主張し、「戦闘員」と言えば「イスラム国」のことだと誰もが分かるはずだと反論している。「この国にIS支持者などほとんど、あるいはまったくいないという作り話にしがみつく限り、なぜ居場所を見いだせない英国の若者が過激主義と殺人の道にひきつけられるのか、そしてさらに大勢が公然と応援するのか、理解の端緒につくことさえできない」とサン紙は主張する。

一方でインターネットでは同紙の見出しに反発する形で「#1in5Muslims」というハッシュタグが登場。英国をはじめ各地のツイッター利用者が次々にサン記事を嘲笑するツイートで、拡散していった。でたらめな統計結果などの冗談ツイートが多く、多くの英ムスリムもこれを利用してサン記事に反応していった。

「ムスリムの5人に1人には、僕ならもっと安く買えたのにと言うおじさんがいる」という冗談ツイートもあれば、「ムスリムの5人に1人は毎週、『お前たちの国「イスラム」に帰れ』と言われている」というツイートもあった。

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Image caption 「ムスリムの5人に1人が、お菓子やデザートにゼラチンが入っているかどうかは問わず語らずだ」
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Image caption 「ムスリムの5人に1人がこのドレスは白と金だと思った」と、今年春に大きな話題となった「あのドレス」に再度言及するツイートも
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Image caption 「ムスリムの5人に1人がモハメッドという名前だ。ほかの4人はつづり方が違う」

#1in5Muslims」のハッシュタグは7万4000回以上使われ、英国だけでなくマレーシア、パキスタン、オーストラリア、カナダ、インド、カタール、南アフリカ、アラブ首長国連邦、米国でトレンド入りした。

英国でこのハッシュタグの拡散を推進していたアカウントのひとつは、「この国で恐怖をあおりたてようとしても無駄だと、サンに示すために開始した」とツイート。その上で、自主規制組織「独立新聞基準組織」(IPSO)に苦情を申し立てるよう呼びかけた。24日付のミラー紙によると、サンの記事についてIPSOに寄せられた苦情は450件以上で、昨年9月の発足以来最多だという。

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Image caption 「ムスリムの5人に1人が、何か具体的な約束をしないで済むように『インシャラー(神の御心のままに)』と言う(しかもうまくいく!)。いつかお茶しない?」というツイート
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Image caption 「ムスリムの5人に1人が、実はシーク教徒。ターバンをしてるからって、どこかの偏見まみれの無知な奴が間違ってアンケートに入れちゃったっていう」。シーク教徒をイスラム教徒と混同する人は多いという。

(サミハ・ネッティカラ記者)

(英語記事 British Muslims react to report about their 'sympathy' for IS

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