大統領と「ゴラム」の比較は侮辱? トルコ法廷が検討

ゴラムが登場した映画「ホビット」のポスター Image copyright Getty Images
Image caption ゴラムが登場した映画「ホビット」のポスター。ゴラムは悪者なのか専門家が検討することに

自国の大統領を映画「ロード・オブ・ザ・リング」や「ホビット」に登場する「ゴラム」になぞらえることは、大統領への侮辱か? トルコの現地報道によると、トルコの裁判所はこの訴えを審理するため、果たしてゴラムは悪者なのか、判断を専門家に求めることになった。

報道によると、トルコ公衆保健局職員だったビルギン・チフチ被告は今年10月、エルドアン大統領とゴラムが似たようなポーズで食べたり驚いたりする画像を並べて加工し、オンラインに掲載した。

トルコ西部アイドゥンの刑事法廷の裁判長は、ゴラムが登場する映画をすべて観ていないと認めた上で、ゴラムとの比較が侮辱に相当するか判断するには、ゴラムが悪者か判断する必要があるとして、複数の専門家に検討を依頼する方針を示した。

専門家グループには、行動科学や心理学の専門家と映画・テレビの専門家が含まれるという。

J.R.R.トールキンが作り出したゴラムは、ピーター・ジャクソン監督の映画にも登場。「小さいぬるぬるした生き物」として小説「ホビット」に初登場して以降、世界を支配する力の指輪に執着していく姿が作品を通じて描かれていく。

裁判所が指名した専門家たちがどういう尺度でゴラムが「悪役」かどうかを判断するのかは、明らかにされていない。審理は来年2月に再開される。

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Image caption トルコのエルドアン大統領は、政府批判を処罰すると非難されている

トルコでは大統領侮辱は有罪となれば実刑を伴う犯罪と位置付けられている。

近年のエルドアン政権は政権批判への取り締まりを厳しくしているという指摘が内外であり、報道の自由の尊重が不十分で記者の取り扱いが不当だと批判されている。

エルドアン大統領の法務チームは、誰それが大統領を侮辱したという市民や弁護士からの告発を受け入れ、提訴に動く傾向がある。


侮辱に対するトルコの強硬姿勢

  • 2014年8月~2015年3月にかけて、「国家元首侮辱」の疑いで取り調べを受けたのは236人。うち105人が起訴され、8人が正式に逮捕された。
  • 2014年7月~12月にかけてトルコ政府はツイッター社に477回、投稿削除を要請。これは他の政府の5倍以上で、2014年前半から156%増。
  • NGO「国境なき記者団」は報道の自由指標においてトルコを180カ国中149位に。
  • エルドアン氏の在任中(2003年~2014年は首相、2014年以降は大統領)、実刑判決を受けた記者は63人、合計の刑期は32年。罰金は合計12万8000ドル(約1570万円)
  • トルコ刑法第299条は、共和国大統領を侮辱する者は誰でも最長4年の禁錮刑となる可能性がある。公の場での侮辱は6分の1、報道機関による侮辱の場合は3分の1、刑期が延長されることもある

(英語記事 Turkish court 'orders Gollum study' in Erdogan case

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