ツイッターは利用者を無視するべきか?

  • 2016年02月8日

テクノロジー編集委員

ローリー・ケスラン=ジョーンズ

Thumb hovers over Twitter app on a smartphone Image copyright Getty Images

2月6日ごろから48時間ほど、ツイッターは大騒ぎだった。

米バズフィードが「ツイッターはタイムラインを時系列ではなくアルゴリズム表示に変更する。アルゴリズムで重要と判断したツイートを優先的に表示する」という内容の記事を掲載したのを受けて、激高したパニックとしか呼びようのない状態になった。

「#RIPTwitter」というハッシュタグを使って数千、数万、あるいは数百万もの人が世界に向かって、これぞ自分たちの文明の終演だ、美しい素晴らしいものが破壊されると宣言した。数カ月前から株価が下落し続けているツイッター社は、自らの死刑宣告に署名したも同じだと。

ついにジャック・ドーシー最高経営責任者(CEO)が自ら反応するしか、どうしようもなかった

「やあ、ツイッター!」とあいさつした後、CEOは「#RIPTwitterのことだけど。僕たちはいつもみんなの声を聞いてます。タイムラインの順番を来週変更するなんて、そんな予定はまったくなかった」とツイートした。

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ドーシー氏はさらに、「ツイッターはライブだ。ツイッターはリアルタイムだ。ツイッターはみんなが、誰や何をフォローするかだ。ツイッターはずっと続く! もっとツイッターっぽくなって」と続けた。

しかしドーシー氏が圧力にたじろいだのは、正しかったのだろうか。「いつもみんなの声を聞いて」いていいのだろうか? その答えは、古臭い経営ハウツー本の言い分を信じているかにもよるが。つまり「お客様は神様です」と思うかどうか。

ツイッターはそもそも壊れていないのだから直す必要がないという意見に、私はかなり同調する。なので、アルゴリズムによるタイムラインのような過激な変更は不要だ。私にとっては今のままでちょうどいい。自分と同じように犬を愛し、天然酵母パンを焼くのが趣味で、ガジェットが大好きだという同好の士とつなげてくれるツイッターは、同時に世界最高のニュース速報サービスでもあるのだから。

ほかのツイッター愛用者と同様、私も最近の色々な新機能(たとえば「モーメンツ」)についてはあまり感心していないし、今までどおりにしておいてもらいたい。しかしもしかすると、ドーシー氏と経営陣は私たちの意見には耳を貸さないほうがいいのかもしれない。どうせ私たちはたぶん、いなくならないので。ドーシー氏がしっかり耳を傾けなくてはならないのは、私のようなツイッター愛用者ではなく、それ以外の3つのグループの人たちだ。つまり投資家と、広告出稿者と、ツイッターをたまにしか、あるいはまったく使わない人たちのことだ。

ツイッター社の危機は収益の問題ではない。収益は順調に成長している。愛用者がどう思っているかでもない。ツイッター社の危機は、成長の問題なのだ。前回の決算によると、ツイッター利用者は過去3カ月でほとんど増えていない。前期からわずか400万人増えたに過ぎないのだ。

新規公開時にツイッター株を買った投資家たちは、フェイスブックと同じペースの成長を期待していた。それなのに利用者がそれしか増えていないと知った株主はゾッとしたはずだし、10日の今期決算決算を緊張して注視しているだろう。よそにもっと優良な顧客が大勢いるのに、結果を出さないツイッターになぜ金を使い続ける必要があるのか、広告主も疑問に感じている。なのでツイッター幹部はありとあらゆる手を打って、ツイッターの登録と利用経験をもっと直感的で使いやすいものにしようとしているのだ。

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Image caption ツイッターのジャック・ドーシーCEO

加えて、まだ実施されてもいない仕様変更に抗議するユーザーを無視したいとジャック・ドーシーが思ったとしても、無理はない。なぜなら、フェイスブックの歴史をたどれば、マーク・ザッカーバーグが導入したありとあらゆる仕様変更はそのたびに、既存ユーザーに嫌われ続けてきたからだ。テッククランチは2006年、「ニュースフィード」なるものの登場をこのように伝えた。

「フェイスブックが昨日開始した2つの新サービスについて、世間の反応は圧倒的に否定的だった。『ニュースフィード』と『ミニフィード』と呼ばれる新サービスを使うと、友人が何をしているか素早く分かる。ニュース・ストリーム形式で、友人の交際ステータスがどう変わって、どのグループに入って、どういう写真をアップロードしたか一目で見える」

ニュースフィードに反対する署名活動もあったし、ボイコット運動もあった。それでも間もなくニュースフィードは、フェイスブック経験の中心をなすものだと認識されるようになった。そしてしばらくして、微修正が加えられるとまた、「今のままで完璧だ」と思う人たちが抗議した。

ちなみに、ニュースフィードへの抗議にザッカーバーグがどう反応したか。「落ち着いて、息して。聞いてるよ」と言い、最初の計画どおり実行したのだ。

なので、客は常に正しいわけではないし、既存ユーザーの意見を聞きすぎると、サイトをただ現状保存する羽目になる。私はそれで結構だ。私は今のツイッターが好きなので。でももしかすると、ジャック・ドーシーは私のことは無視した方がいいのかもしれない……。

(英語記事 Should Twitter ignore its users?