【ブリュッセル連続攻撃】パリとブリュッセルの攻撃、つながり明確に

ブリュッセルのメルベック地下鉄駅から運び出される被害者の遺体(23日) Image copyright EPA
Image caption ブリュッセルのメルベック地下鉄駅から運び出される被害者の遺体(23日)

ブリュッセルの空港や地下鉄を爆弾で攻撃した容疑者たちと、昨年11月に130人が犠牲になったパリの連続襲撃を実行したイスラム過激派グループとの間に、明確なつながりが浮上しつつある。

昨年11月13日のパリ襲撃から間もなく、実行犯の複数がベルギー出身で、いくつかの爆弾はブリュッセルのアパートで作られたものだというのが明らかになった。

過激派勢力のいわゆる「イスラム国」(IS)が自分たちの犯行だと名乗り出ており、複数の主要人物がパリとブリュッセル両方の攻撃に関わっていたのではないかと指摘されている。


ナジム・ラシュラウイ

ブリュッセル攻撃の前日、ベルギー警察はパリ襲撃後に逃亡中の重要容疑者のひとりとしてナジム・ラシュラウィ容疑者を指名手配した。

ブリュッセル近郊スカルベック出身のベルギー人で、ベルギー国内で活動するISセル(組織の小集団)の武器担当だった可能性がある。

ベルギーのメディアが伝える未確認情報では、ブリュッセルの空港で22日にブラヒム・エルバクラウイ容疑者と一緒に自爆死したとされる。もしこれが確認されれば、ブリュッセルとパリの攻撃のつながりは立証される。

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Image caption 中央と右の写真がナジム・ラシュラウィ容疑者。左は、ザベンテム空港の防犯カメラ映像から。

ラシュラウイ容疑者のDNAが、ブリュッセルのアパートとベルギー南部オーブレの民家から発見されている。どちらも、パリ襲撃の前に実行犯たちが使っていた拠点だ。21日に指名手配されるまでは、通称スフィアン・カヤルとして知られていた。オーブレの家を賃借する際に、この偽名を使っていたのだ。

ラシュラウィ容疑者は2013年にシリアのISに参加し、昨年ベルギーに帰国した。

9月にオーストリア・ハンガリー国境で警察に職務質問された車に、ベルギー人2人と同乗していた。ほかの2人は、パリ襲撃のサラ・アブデスラム容疑者と共犯のモハメド・ベルカイド容疑者だった。

3月15日に警察がブリュッセル・フォレ地区のアジトを強襲し、ベルカイド容疑者を射殺した際、3人は一緒にいたとみられている。


サラ・アブデスラム

サラ・アブデスラム容疑者はパリ襲撃の計画・実行に綿密に関わっていたとされる。兄のブラヒム容疑者は襲撃で自爆死した。サラ容疑者は襲撃後、4カ月にわたり捜査の手を逃れたが、ベルカイド容疑者が射殺された3日後、ブリュッセル・モレンベック地区で逮捕された。容疑者はモレンベック出身だ。

ベルギーのISセルの一員として、復活祭の時期に合わせた攻撃を計画中だったのではないかと言われている。このため、アブデスラム容疑者逮捕によって攻撃が前倒しになった可能性がある。同容疑者が黙秘せず捜査に協力していると警察は明らかにしていたため、ISセルの共犯たちは自分たちの身元も警察に把握されたと懸念したはずだ。

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Image caption 昨年11月14日、パリ連続襲撃の翌日にフランスのガソリンスタンドで撮影されたアブデスラム容疑者

アブデスラム容疑者はパリ襲撃の前には欧州内を何度か移動していた。ISセル中枢部やベルギー各地に網のように張り巡らせたアジトを担当する、兵站(へいたん)専門家と認識されていた。

昨年10月初めにはドイツ南西部ウルムで、警察に職務質問されている。この際に同行していた通称モニール・アフメド・アラアジ容疑者(別名、アミネ・シュクリ)は3月18日に、アブデスラム容疑者と共に逮捕されたが、警察によるとほとんど何も供述していない。


ハリドとブラヒム・エルバクラウイ

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Image caption ハリド(左)とブラヒム・エルバクラウイ兄弟。ともに自爆攻撃犯として死亡したとみられている。

共に犯罪歴のあるこの兄弟は、3月22日に自爆死したとされる。ブラヒム容疑者(29)はザベンテム空港で。そしてハリド容疑者(27)はメルベック地下鉄駅の車両内で。

ベルギー当局は何年も前から2人を、ありふれた犯罪者だととらえていた。ブラヒム容疑者は2010年に銃を使った強盗罪で9年間服役し、ハリド容疑者はカージャックの罪で2011年に禁錮5年を言い渡された。

しかしトルコのエルドアン大統領は、トルコ当局が昨年7月にシリア国境付近でブラヒム容疑者を拘束したと指摘。トルコから強制送還する前にベルギー政府に「外国人のテロ戦闘員」だと警告していたという。また、パリ連続襲撃やサラ・アブデスラム容疑者との明らかなつながりを示す複数の情報もある。

Image caption ブリュッセル攻撃の容疑者たち(上)とパリ攻撃の容疑者たち(下)は、ベルギー国内のアジト2カ所でつながっていた

3月15日にモハメド・ベルカイド容疑者が射殺されたブリュッセル・フォレ地区ドリス通りのアパートを借りたのは、ハリド容疑者だった。警察はエルバクラウイ兄弟を探して、アパートを強襲したのだった。

加えて、パリ襲撃犯たちが集合場所として使ったベルギー南部シャルルロワのアパートも、ハリド容疑者が賃借した様子だというのだ。

シャルルロワ・フォール通りのアパートからは、アブデスラム兄弟のほか、スタッド・ド・フランス競技場で自爆したビラル・ハドフィ容疑者、首謀者とされるアブデルウアミド・アバウード容疑者、およびシャキブ・アクルー容疑者の痕跡が発見された。アバウード、アクルー両容疑者は、パリ警察による襲撃5日後の強制捜査で死亡している。

パリ襲撃におけるルバクラウイ兄弟の役割は限定的なものだったかもしれないが、2人を通じてサラ・アブデスラム容疑者やナジム・ラシュラウイ容疑者、そしてブリュッセル連続攻撃との関連性が明確に浮き彫りになる。

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Image caption ベルギー南部シャルルロワのフォール通り。パリ連続襲撃の実行犯たちは事件の数時間前まで、この通りのアパートに潜伏していたとみられている。

モハメド・アブリニ

パリ連続襲撃のモハメド・アブリニ容疑者について、追跡は続くが行方はつかめていない。警察は、ブリュッセル攻撃2日前のラシュラウイ容疑者捜索の際にも、2度にわたりアブリニ容疑者に言及した。ブリュッセル攻撃にも積極的に関わったとみられている。

アブリニ容疑者はモレンベック出身で、サラ・アブデスラム容疑者の幼なじみだ。昨年11月10日から11日にかけて、アブデスラム兄弟と共にベルギーとパリを車で往復している。

その姿はパリに向かう途中のガソリンスタンドで目撃されている。パリ襲撃で使われた乗用車ルノー・クリオを運転していた。

それ以降の動向は不明だ。

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Image caption サラ・アブデスラム容疑者と車に同乗していたアブリニ容疑者。仏北部ルソンのガソリンスタンドで防犯カメラに撮影された。
Image caption パリ連続襲撃の容疑者たち

(英語記事 From Paris to Brussels: Why the attacks are linked

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