【オーランド乱射】フロリダで銃が買えないのはどういう場合?

ジェシカ・ルッセンホップ、BBCニュース・マガジン

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Image caption オマール・マティーン容疑者は事件の約1週間前、このAR-15に類似した自動小銃を購入することができた

フロリダ州法で銃の購入が禁止されるのは、どういう場合なのだろう?

同州オーランドのゲイ・ナイトクラブ「パルス」で12日未明に29歳男性が銃を乱射し、3時間かけてクラブの客49人を殺害した事件の後、「どうやって武器を手に入れたのか」という疑問がたちまち浮上した。

「合法的に」というのがその答えだった。地元セント・ルーシーの銃砲店で。

「セント・ルーシー射撃場」という名前の店の経営者エド・ヘンソンさんは、店の前で記者会見し、「この店に悪い人間がやってきて、銃を2丁、合法的に購入していった。フロリダ州で銃砲を購入する全員が受ける経歴チェックを受けて、問題がなかったからだ」と述べた。

米アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局によると、マティーン容疑者は事件の10日以内にフロリダ州内で、連邦法および州法が見合う形で、9ミリ・セミオートマチック・ピストルと223口径ARライフルを購入した。

Image caption オマール・マティーン容疑者は警備員として働いていた

州法の規定では、ライフルは購入当日の持ち帰りが可能。ピストルの持ち帰りには72時間待つ必要がある。

米連邦捜査局(FBI)は、テロ関連の疑いで過去に2度、マティーン容疑者を捜査している。しかしいずれの場合も起訴にはつながらず、捜査は終了した。容疑者の名前は、テロ関連の監視対象者リストから外された。

しかし仮にFBIのリストに残っていたとしても、12日の襲撃に使った武器は購入できた可能性がある。「危険なテロリスト、もしくはその疑いがある者への銃砲の移転、もしくは銃砲・爆発物の取り扱い免許発行を拒否する」連邦法案は、昨年12月、連邦上院で否決された。

だとすると、銃規制が緩やかなことで知られるフロリダ州で、どういう状態だと銃が手に入らないのだろう? 以下に簡単にまとめてみた――。

1. 重罪で有罪となった

フロリダで正規の銃砲店で銃砲を購入しようとする人は、連邦法にもとづく経歴調査書に記入しなくてはならない。そこには、殺人や強盗や放火などの重罪で有罪になったことがあるかの記入欄がある。

もし「はい」ならば、銃は購入できない。店員はさらに、数分で済む犯罪歴チェックを行う。店内から、フロリダ州司法当局に電話で確認するのだ。

重罪の犯罪歴があっても銃所有の権利を回復することは可能だが、フロリダではそのためには州政府に申請しなくてはならない。

同州の銃規制法を専門とするコード・バード弁護士は、権利回復の手続きは「とても時間がかかる」と話す。

2. 家庭内暴力で有罪となった、もしくは接近禁止命令を受けている最中

バード弁護士によると、フロリダ州で銃購入が禁止される2番目に多い理由が、家庭内暴力だ。

1と同じ連邦法に基づく経歴調査で、家庭内暴力で有罪になったか、家庭内暴力の被害者に対する接近禁止命令を現在受けている人は、銃を購入できない。

「家庭内暴力の事案と銃の組み合わせは、殺人のレシピのようなもの」。銃暴力防止法律センターのローラ・クティレッタ弁護士はこう言う。「銃があると、死亡率がすさまじく高くなる」。

家庭内暴力は米刑法では軽罪扱いで、連邦法が銃購入禁止の事由として認める唯一の軽罪だ(1996年施行)。憎悪(ヘイト)犯罪の有罪歴も、銃購入禁止の事由に含めるべきだという意見もある。

3. 精神病治療施設の入院歴がある

1960年代以来、連邦法は精神病院に強制入院させられたことのある人の銃購入を禁止している。「平常以下の知能や精神病、心神耗弱、精神異常、精神疾患」のために裁判所に「心身能力が不十分」と判断された人も同様。

刑事事件で、心神喪失のため責任能力なしと判断され無罪となった人も含まれる。

フロリダ州は2013年、全米ライフル協会(NRA)の支持のもと、自発的に精神病院に入院した人も禁止対象に含めた。イリノイ、メリーランド、ワシントン(コロンビア特別区)も同様に禁止している。

4. ミスで

バード弁護士は、手続き上のミスで銃購入を禁止されたフロリダ州民を代理して提訴することが、自分の仕事のかなりの部分を占めると話す。全米犯罪歴即時照会システム(NICS)の記録は完璧ではなく、名前のつづり間違いから裁判記録のミスまで様々な誤りが含まれている。

「きちんと法律を守っているのに銃を買えない人たちを助けている」とバード弁護士は言う。

一方でクティレッタ弁護士は、その逆もあり得ると指摘する。不完全な記録のせいで、銃購入が本来禁止されるべき人が銃を手に入れてしまうこともあると。NICSに情報をいかに厳密に入力するかしないかは、州によって異なる。

抜け穴

以上の規定は認可を受けた正規の銃砲店では守られるはずだが、フロリダ州には抜け道がある。個人が個人に銃を売る場合、犯罪歴調査は行われないのだ。「銃器ショーの抜け道」と呼ばれるものだ。

銃規制をめぐる戦いに関する著書のあるUCLA法学部のアダム・ウィンクラー教授は、「射撃場に行ったら隣の人が『その銃、いいですね』と言ったとする。その人の犯罪歴調査などしなくても、その人に銃を売ることができる」と指摘する。

(英語記事 Orlando shooting: How do you get denied a gun in Florida?

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