「僕を助けに来て」 ポケモンGO人気をシリアの子供支援に

エド・メイン記者、BBCトレンディング

涙を流すポケモン Image copyright Moustafa Jano

内戦が5年以上続き、対立に終わりが見えないシリア。あらためて世界の関心を集めようとするのは至難の業だ。

たる爆弾や自爆攻撃、拷問や飢える市民についてのショッキングなニュースも、何度も繰り返されるうち、シリアから遠く離れた場所にいる多くの人の心を動かさなくなってしまう。

そんな状況を変えるため、シリアの活動家たちが取った手段は、ゲームアプリ「ポケモンGO」の世界的な大ブームを十二分に活用することだ。

拡張現実のゲームの中にいるピカチュウやゼニガメ、ビードルなどのモンスターたちが、戦争の残酷な現実を伝えるため、非公式に駆り出された。

「シリア革命軍(RFS)メディア・オフィス」という名の反体制派活動家たちは今週、ポケモンの絵を掲げるシリアの子どもたちの写真を発表している。

それぞれのポケモンの絵には短いキャプションが付けられ、絵を持つ子どもが、シリア北部の反体制派の支配地域にあるどの町や村にいるのかを教えてくれる。下の写真の絵には「イドリブ県のカフル・ナブルに住んでいます。助けに来て」と書いてある。

Image copyright RFS

どのような状況で写真が撮影されたのかは、詳しく明らかにされていない。BBCはRFSにコメントを求めたが、返答はまだない。しかし、カフル・ナブルの町は国際的な関心を集めるため、目を引く横断幕を作ったことで知られる。多くは、アサド政権との戦いで西側諸国の軍事援助を求めるものだった。

ポケモンの絵を掲げた子どもたちの写真は、ソーシャル・メディアで多くの人が共有した。そこに込められたメッセージは次のようなものだろう。不思議な想像上の生き物を追いかける暇があるなら、なぜ、戦火の下で大きくなる子どもたちを助けに来ないのだと。

Image copyright RFS
Image caption この絵のキャプションでは、ハマ県の反体制派支配地域にいるこの少年が助けを求めている

シリア国外のアーティストたちも、ポケモンを使ってメッセージを伝えようとしている。記事冒頭の作品は、現在スウェーデンに住むシリア人のムスタファ・ジャノさんのものだ。ジャノさんがフェイスブックに投稿した作品群のひとつで、戦争を逃れた多くの難民が命の危険を冒して海を渡り、欧州での不確かな未来に向かっていく姿に、ポケモンたちが加えられている。

Image copyright Moustafa Jano
Image caption この投稿には、「ポケモンたちが地球上の安全な場所を求めてシリアを逃れる」とコメントが付けられている
Image copyright Moustafa Jano
Image caption 「欧州に到着したポケモンはショックを受けた。国境が閉ざされ、人権法は書き換えられていたのだ……そして、希望と平和は別の星で探せ、と告げられた」

ジャノさんのある投稿には、スウェーデンの小説家ヨナス・ガーデル氏の言葉が引用されている。「おじいちゃん、世界がひどいことになってた2016年の夏には何をしていたの? ああ、愛する孫たち、おじいちゃんたちは電話でポケモンを探していたんだよ」。

デンマークでは、サイフ・ターハンという名前のシリア人グラフィック・デザイナーがポケモンGOの特徴的なインターフェースから着想を得て、現実には存在しないゲーム「シリアGO」をプレーしている様子を作品にした。ポケモンを探す代わりに、安全や教育、医療物資など、戦争に巻き込まれた市民たちに欠乏した生活必需品を探すゲームだ。

Image copyright Saif Tahhan
Image copyright Saif Tahhan

サイフさんは2011年にシリアを離れ難民になった。エジプトやイタリアを経て、2年前からデンマークに居住する。BBCトレンディングの取材に対し、サイフさんはこう返信した。「(みんながいま熱中している)ポケモンの代わりに、シリア問題やシリア人が直面する苦難に関心を持ってもらいたいと思って制作したんです」。

「このアイデアには、たくさん『いいね!』や共有があった。だから、人々がこういう形で関心を持ってくれるのは分かった。近いうちに、現実の生活で行動してくれることを期待しています」

(英語記事 Pokemon's tears for Syria

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