海水温上昇でイカが英国料理の人気者に?

ヘレン・ブリッグス記者

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英国周辺の海水温が上がっていることから、英国の伝統的な魚料理に使われるタラなどは、イカなどに取って代わられるかもしれない。英国の政府研究機関の科学者がこのほど明らかにした。

漁業統計によると、イカやイワシ、カタクチイワシなど、水温の高い海域に多い魚が北海周辺で盛んに繁殖するようになった。

イカは現在、北海における観測点の60%で捕獲されているが、1980年代には20%だった。

しかしタラなどの魚は、英国の海域を離れ北上している。

環境漁業水産養殖科学センター(CEFAS)は、北海に生息する魚の個体数を100年以上にわたり観察している。CEFASのジョン・ピネガー博士によると、2025年以降の予測モデルは、英国沿岸の海水温が上昇し続ける可能性を示唆している。

これまで水揚げされなかったような魚介類が、この海域の漁船で漁獲されるようになった。

地中海の食卓に近付く?

「20〜30年前は、CEFASの調査でイカを目にすることはほとんどありませんでした」と博士はBBCニュースに語った。

CEFASで海洋気候変動のプログラム責任者を務めるピネガー博士によると、コダラやタラといった昔から水揚げされてきた魚の乱獲を減らす試みの一環として、スコットランド北東部のマレー湾周辺で夏季のイカ漁が拡大したという。

「英国の海域で増えているものの多くは、恐らくこれまではもともと地中海だとか、ビスケー湾やポルトガル、スペインの海域に特有と思われてきたような魚介類です」と博士は加えた。

「英国周辺の海水がこうした種類の魚介類にとって生息しやすいものになってきたため、これらが英国の海域で増えているのです。一方で他の魚介類については、分布の中心が英国の北に向かって移動しています」

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Image caption 乱獲によって減少したタラの数はなかなか回復していない。そのため現在英国で消費されるタラの多くは輸入されている

長期的なデータによると、タラの分布の中心はノルウェー寄りに北上しており、一方でカレイの一種であるプレイスは、オランダからスコットランドに向かって北海を横断している。

英国で水揚げされたイカは現在、海外に輸出される傾向にあるが、ピネガー博士はそれが変わる可能性があるとみている。博士は12日、リバプールで開催された英国生態学会の年次会議で、水産資源の傾向に関するデータを提示していた。

「消費者は恐らく、自国周辺の海で水揚げされた魚介類の方が、一部輸入されたものよりいいと思うでしょう」と博士は語す。

「増加していると思われる魚介類はかなりあります。ヒメジやカタクチイワシ、イワシ、マトウダイ、イカ。どれもとてもおいしいですが、通常は、スペインやポルトガルなどの旅先で口にするものでした」

今年行われた研究 によると、気候変動によりヒレを持った魚が減少している一方で、イカは増加している様子がうかがえ、特に北海では貴重な漁獲対象とみなされているという。

イカやタコ、コウイカの漁獲量は世界的にもここ20年でかなり増加している。

これらの魚介類が大規模漁獲の対象となる前に、生息数をいかに維持するかをより深く理解するための取り組みが現在行われている。

北海の海面温度の年間平均は1980年代初頭は10度だったが、2014年には11.7度と過去最高を記録した。

(英語記事 Squid may become favourite UK meal as seas become warmer

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