エボラ熱流行 感染者のごく一部が拡大の原因だった=研究

  • 2017年02月15日

ジェームズ・ギャラガー科学・ヘルス担当記者

保護服を着て赤ちゃんを抱く男性 Image copyright Getty Images

西アフリカを中心に近年流行したエボラ出血熱に関する研究で、全体のわずか3%を占める感染者がすべての感染例の61%の原因になっていたことが明らかになった。

2次感染が特に多かった「スーパー伝染者」には、年少者やお年寄りが多いことも分かった。

今回の研究論文は、米国科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された。

2014年から15年にかけて起きたエボラ出血熱の流行では、2万8600人以上が感染し、約1万1300人が死亡した。

感染はどのように拡大したのか

研究者らはシエラレオネの首都フリータウンとその周辺で起きた感染例を調査した。

感染がいつどのように起きたのか傾向を調べると、感染者1人あたり、どのくらいの人数にウイルスをうつしていたのかが分かったという。

インペリアル・コレッジ・オブ・ロンドンの研究者、スティーブン・ライリー教授はBBCに対し、「大方の例で、感染期間は比較的短く、2次的な感染は限られていた。一方で、一部の少数の症例では、感染期間はより長く、より多くの人にウイルスをうつしていた」と語った。

同教授は、「研究結果は、何が起きたのか正確に説明している可能性が高い」と述べた。

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ウイルス拡大の原因になりやすいのは、15歳未満の年少者もしくは45歳以上の大人だった。

ライリー教授はこれについて、「人間行動で説明できるのでないかと思った」という。「感染例ではなく、周囲の人々が問題かもしれない。年少者やお年寄りには世話をする人がいることと関連があるかもしれない」。

感染の特徴

「スーパー伝染者」はエボラ出血熱以外にも、重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)など他の感染症の流行でも見られている。

病原体が動物から人間に伝染するケースが近年増えつつあり、「スーパー伝染者」の存在がひとつの特徴になっているようだ。

今回の研究で得られた知見を生かし、「スーパー伝染者」の対応に資源を投入することで、将来の感染症拡大を止める助けになることが期待される。

エボラ出血熱では接触経路の調査に、多大な努力が費やされたが、将来は「スーパー伝染者」に焦点を当てて調査することも可能だ。エボラウイルスのワクチン貯蔵計画にも、今回の研究結果が生かせるかもしれない。

ノッティンガム大学のウイルス学者、ジョナサン・ボール教授はBBCに対し、「最近の西アフリカでの流行はこれまでにない規模になったが、多くの症例が驚くほど少ない感染者からの2次感染だった。特にそれは地域社会で顕著だった」と語った。

「ウイルスを伝染させやすいのが誰か知っていれば、ウイルス拡散防止の対策に注力できる。今回の研究で、感染した子どもやお年寄りがウイルスを拡散しすいことが示唆された」

「原因が生物学的なものなのか、社会的要因なのかは分からない。エボラウイルスのスーパー伝染者がどのようにして発生するのか理解するため、重要な問いかけになる」

今回の研究は、米プリンストン大学とオレゴン州立大学、ロンドン大学衛生学熱帯医学大学院、国際赤十字委員会、赤新月社、インペリアル・コレッジ・オブ・ロンドン、米国立衛生研究所(NIH)が協力して実施した。

(英語記事 Ebola 'super-spreaders' cause most cases

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