自由議連 この29人の白人男性が米国を動かしているのか

ケイティー・シェパード、BBCニュース、ワシントン

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Image caption アメリカ健康保険法案(AHCA)を採択するかどうかの渦中にマイク・ペンス米副大統領(中央)がツイートしたこの自由議員連盟との写真は、白人男性だけで国民の医療を話し合っていると話題になった

ドナルド・トランプ米大統領のオバマケア改廃法案を撤廃に追い込んだのは、30人余りの共和党議員たちだった。いったいどういう集まりで、どういう力を持つのか。

アメリカ健康保険法案(AHCA)は、トランプ大統領が就任後に推進した初の大型法案だった。しかし24日、採決にかけられることなく廃案となった。この事態の責任の大部分は、下院共和党の一部議員が集まって作る「自由議員連盟」にあると言われた。構成議員も活動内容もほとんど公表しないこの議連は、トランプ氏と、共和党幹部のポール・ライアン下院議長が推し進めるAHCAを支持せず、協力を拒否した。

自由議連が表舞台に登場したのは2015年。当時のジョン・ベーナー下院議長が、議事運営規則に違反して法案を強引に通過させようとしたと批判されていた時のことだ。ベーナー議長がゴリ押ししようとした法案は、リベラルすぎる、もっと保守的でないと駄目だと保守派から反発されていた。

ジョージタウン大政府研究所のローラ・ブレッシング博士は、自由議連は「手続きを重視するが、政策を重視するからこそ手続きを重視している」と話す。

共和党の平議員ひとりひとりの復権を目指して作られた自由議連は、医療保険制度改革法(オバマケア)反対の急先鋒となった。自由議連に参加する議員たちは、予算均衡や政府の規模縮小がさかんに支持される。

オバマ政権の間、自由議連は共和党幹部でもあるベーナー下院議長の予算削減や法案への姿勢に激しく抵抗。ついにベーナー氏は、激烈な党内争いに立ち向かうよりはと、辞任を選んだ。

いったい誰がこの自由議連に参加しているのか、投票行動はどうなるのかを正確に把握するのは難しい。構成は秘密で、招待されなければ参加できない。

議連は密室で会合する。個々の議員は、議連全体と相談しなければどう投票するか決めようとしない。

「あの人たちの団結力はすごい」とブレッシング博士は言う。「共和党議員団には実際、穏健派共和党員はもう残っていないのだが、自由議連はさらに輪をかけて保守的だ」。

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Image caption 下院共和党の「自由議員連盟」を率いるマーク・メドウズ議員

そこにこそ、この議連の力がある。自由議連は30人余りからなる。下院共和党の15%かそこらだ。下院では共和党が237議席対193議席で民主党を上回っているが、自由議連の組織票はこの共和党優位をひっくり返すことができる。

共和党提出の法案に、民主党議員は誰ひとりとして賛成しないとする。その場合、ライアン議長はわずか23人でさえ、共和党議員の票を失うわけにはいかない。つまり、自由議連が法案の成否を決定できるのだ。

トランプ大統領が推進したAHCAについて、自由議連は正式には立場を表明しなかった。つまりどう投票するかは議員各自の判断に任せられてはいたのだが、ほとんどの議連議員は、オバマケアの完全撤廃を求めていた。

AHCAはそれを果たしていないと、自由議連は判断した。もしくは、トランプ大統領の交渉に誠意を感じなかった。ゆえに自由議連は、AHCA支持を拒否した。

自由議連と共和党首脳陣は、今後も税制改革や連邦予算、インフラ整備などで不穏に対立するだろうとブレッシング博士は予想する。緊縮財政を支持する議連にとっては、特にインフラ整備のための予算支出は受け入れられないものだろう。

となると、共和党提出の法案への党内支持をまとめ上げるのが仕事のライアン議長は今後、困難な選択を迫られる。

「民主党の票を取りに行こうものなら、党内で代償を払うことになる」とブレッシング博士は言う。

それよりむしろ自由議連との関係改善を目指す方が、ライアン氏の政治的なダメージは少ないだろう。しかし「ほとんど交渉で折れた経験のない人たちと、交渉しなくてはならない。これは大変な挑戦だ」。

しかも自由議連にとっては、交渉し始めるメリットがあまりない。

穏健派の多くもAHCAを嫌っていたが、自由議連ほどは不満をあらわにしなかったし、自由議連ほど団結もしていなかった。

AHCAが廃案になったのは自由議連のせいだという批判が高まるなか、議員が1人離脱した。テッド・ポー議員は、議連の意固地さはむしろ逆効果だと指摘する。

「ノーと言うのは簡単だ。指導力を発揮するのは大変だ。しかし我々は、指導するために選挙で選ばれたはずだ」とポー議員は述べた。

しかし議連に参加する個々の議員の支持率は好調だ。一方で大統領の支持率は、下がり続けている。

ワシントンでは、それこそが力の源なのだ。

(英語記事 Freedom Caucus: Do these 29 white men run America?

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