銃社会アメリカ 数字で見る被害と支持

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Image caption 乱射から逃れようとするコンサート会場の人たち(1日夜、米ネバダ州ラスベガス)

現代米国史上最悪の乱射事件を機に、米国でまたしても銃所有と規制強化の是非をめぐる議論が再燃している。

米ピュー研究所の2017年調査によると、米国市民の約4割が、銃を所有している、もしくは銃のある世帯に住んでいると答えた。そして、米国で発生する銃器による殺人や過失致死の割合は先進国で最高だ。

米国は諸外国と比べてどうなのか

2016年の米国では1万1000人以上が銃によって死亡した。これは、殺人と過失致死の合計件数の約3分の2に相当する。

下表は、各国内で発生する殺人事件に占める発砲案件の割合。2016年の米国が64%だったのに対し、2015~2016年のイングランドとウェールズは4.5%、2015年のカナダは30.5%、2013~2014年のオーストラリアは13%だった。

市民がたくさん銃を持っている国は

世界各国で民間人がどれくらい銃を所有しているのか正確に知るのは難しいが、米国の約2億7000万丁はどのような推計でも群を抜いて突出している。欧州で人口1人当たりの持つ銃の数が特に多いのは、スイスとフィンランドだ。

下表は、住民100人あたりの銃の数を国別で比較したもの。2位のイエメンを米国が大きく引き離している。

米国で銃で死ぬ人たちの内訳は

1982年以降の米国では、4人以上が犠牲になる大量射殺事件が90回起きている。しかし乱射事件の被害者は実は、米国で銃によって死ぬ人のごく一部に過ぎない。下図が示すように、2016年に米国で銃によって死亡した合計1万1004人のうち、約5500人は自殺で、乱射事件の犠牲者は71人だった。

2015年には、銃による自殺件数は銃による殺人件数の2倍近くで、その割合は増加を続けている。米疾病対策センター(CDC)と米自殺防止基金によると、銃による自殺は米国内の自殺件数の半数近くを占める。

2016年の米公衆衛生学会機関誌に掲載された研究によると、市民の銃所有率が高い州では、男女を問わず自殺率も高いという、強い正の相関が確認された。

ラスベガス乱射

ラスベガスの乱射事件は、近年の米国で最悪の死傷者数を出した。犠牲者の数が極めて高かった乱射事件3件は、いずれも過去10年の間に起きている。

昨年6月にフロリダ州オーランドのナイトクラブが襲われた事件では、49人が死亡した。バージニア州のバージニア工科大学で32人が死亡した乱射事件は、2007年4月。コネチカット州ニュータウンでサンディーフック小学校が襲われ、児童20人と教職員6人、そして学校襲撃前に犯人の母親が殺害された事件は2012年12月だった。

どのような銃が米国人を死なせているのか

軍隊が使うような殺傷力をもつ自動小銃が、オーランドのナイトクラブ襲撃やコネチカット州のサンディフック小学校襲撃で使われたと批判されている。

警察よると、ラスベガス乱射の容疑者が犯行現場としたホテルの室内には23丁の銃器があり、ラスベガス北東郊外メスキートの自宅からも銃19丁や爆発物、大量の銃弾が発見された。

下表は、米国で銃を使った殺人事件を、銃の種類別に分けたもの。多い順から、短銃、ライフル、散弾銃、その他となっている。

米国では自動小銃は2004年まで10年間、民間人の所有は全面的に規制されていたが、現在では少数の州のみが禁止している。一方で、連邦捜査局(FBI)の統計によると、ほとんどの銃による殺人事件では短銃が使用されている。

銃はいくらで買えるのか

市民が銃をほとんど持たない国からすると、米国では銃がいかに安く買えるかは、意外に思えるかもしれない。

ラスベガス乱射のスティーブン・パドック容疑者がいたホテルの部屋で発見されたという自動小銃は、一般的に約1500ドル(約18万円)で買える。マックブックと同じような価格帯だ。

同様に、容疑者の室内で発見されたという短銃は、安いものは200ドル(約2万3000円)程度。たとえばクロームブックのラップトップなみで、銃砲店で手に入る。

ホテルの部屋で銃が23丁、さらに自宅から19丁が発見されたということは、つまりパドック容疑者は武器と付属品(三脚、照準器、銃弾、カートリッジなど)に合わせて7万ドル(約780万円)使った可能性がある。

銃規制を支持するのはどういう人か

短銃の所有禁止について、米世論は過去60年の間に劇的に変化した。データは不完全ながら、調査会社ギャラップによると、現在ではかなりの大多数が短銃規制に反対している。下図は、「警察その他の所持が許可された人物を除いて、短銃所持を法律で禁止するべきか」という質問に対して、「禁止すべきでない」という回答率を赤線で、「禁止すべき」という回答率を緑の線で、その移り変わりを示している(紫の線は「特に意見なし)。

しかし、たとえば精神病の病歴がある人や当局の監視対象人物への銃販売を規制することについては、政治的な主義主張を越えて幅広く大勢が支持している。

ドナルド・トランプ米大統領は、ラスベガス乱射事件の後、「銃の法律については時間がたつにつれて、話をしていく」などと反応した。ホワイトハウス報道官は、今は「銃規制を議論すべき時ではない」と述べた。

前任者のバラク・オバマ前大統領は、共和党が支配する議会の抵抗に遭い、銃規制強化の実現に苦労した。

銃規制に反対するのは誰か

全米ライフル協会(NRA)は、米国のあらゆる銃規制に反対するロビー団体で、市民がより多くの銃を持てば持つほど、国は安全になると主張する。

NRAは米国で最も強力な圧力団体のひとつ。国の銃政策に影響力を行使するため、多数の連邦議員に多額の寄付をしている。

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Image caption NRAのロビー活動予算(単位:100万ドル)

ピュー研究所によると、米国で銃を所有する5人に1人が自分はNRA会員だと認めている。特に、共和党支持者の銃所有者は、多くがNRAを支持している。

ロビー活動面では、NRAは年間約300万ドル(約3億4000万円)を銃政策のために使っていると公称する。

上のグラフは、上院公文書局が公表した、届け出のあった議員への寄付金のみを示している。NRAはこれ以外にも、銃規制に反対する候補の選挙戦を支持するなどの活動に何百万ドルと使っている。

(英語記事 America's gun culture in eight charts

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