中国微信、月間ユーザー数が10億人突破 成功のカギは?

サイモン・アトキンソンアジアビジネス担当記者

ウィーチャットは今や中国で最も人気のアプリとなった Image copyright Reuters
Image caption ウィーチャットは今や中国で最も人気のアプリとなった

中国大手ソーシャルメディアの微信(ウィーチャット)は6日、月間ユーザー数が初めて10億人を超えたと発表した。米フェイスブック傘下のWhatsApp(15億人)には及ばなかったものの、旧正月が利用を後押し、大台を突破した。

親会社のネットサービス大手騰訊(テンセント)にとって、微信は稼ぎ頭だ。その成功を説明する5つのカギを紹介する。

メッセージにとどまらない

ウィーチャットはメッセージアプリとして始まった。実際、見た目は競合アプリとさほど変わらない。しかし、次々と新サービスを発表し、単なる家族や友人とのコミュニケーション以上のことができるようになった。

中国最大のソーシャルメディアだというばかりでなく、配車やデリバリー、病院の予約、バンキングといったサービス、そして出会い系アプリの機能も付いている。また、テンセントが展開するスマートフォン向けゲーム「王者栄耀(オナー・オブ・キングス)」のスコアを競う場にもなっている。

中国の都市部に住む人にとって、ウィーチャットは日常の一部だ。日々の生活に必要なことが全てアプリ上で可能だと言っても過言ではなく、これが成長の続くカギとなっている。

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Image caption ウィーチャットの決済サービスの広告

支払いの簡略化

デジタル決済の発展に伴い、中国の若年層の間ではオンラインでのクレジットカード利用すら古いものとなっている。代わりに彼らが使っているのは、テンセントや同国のオンライン小売最大手アリババが提供する決済サービスだ。

ウィーチャットの支払い機能では、銀行口座の情報をアップロードすることで、あらゆる公式アカウントから提供される製品やサービスを買うことができる。1件当たりの手数料はわずかだが、この機能がテンセントの最大の収入源のひとつとなっている。

ビジネスユーザーにも魅力的

中国ではウィーチャットによって、何百万もの企業が顧客や顧客になりそうな人のスマートフォンに入り込んでいる。

企業・組織はウィーチャット内に公式アカウントを作り、これが専用アプリのような役目を果たしている。ユーザーは企業アカウントをフォローすることで販促メッセージを受け取ったり、直接オンライン販売ページへ飛んだりできる。中には、自社アプリを作る前にウィーチャットアカウントを作成する企業もいる。

先に紹介した決済システムを使えば、企業とユーザーの間の金銭のやり取りはきわめて簡易なものになる。また、中国でQRコードが大きな存在感を示しているのも、ウィーチャットを利用する企業がユーザーの情報収集や決済サービスのためにQRコードを採用しているからだ。ウィーチャットの保守的な広告方針も、企業がユーザーにリーチするには魅力的だという。

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Image caption ウィーチャットは中国の若者の生活には欠かせない

中国第一主義

ウィーチャットは東南アジアや南アフリカでもサービスを開始しているものの、やはり中国市場を第一に考えている。市場を理解しているだけでなく、ユーザーのオンライン以外の生活にも入り込もうとしている。

たとえば、中国では旧正月に赤い封筒に入れたお金を贈りあう「洪保」が習慣となっているが、ウィーチャットは数年前にデジタル版を導入し、瞬く間に人気サービスとなった。今年の旧正月には、このサービスを利用したユーザーが6億8800万人に上ったという。

政府のネット規制から除外

中国当局はフェイスブックやツイッターを含む国外ソーシャルメディアや、WhatsAppなどの通話アプリを遮断しているほか、VPN(仮想プライベートネットワーク)ソフトウェアについても厳しい規制を敷いており、多くの中国人はこれらのサービスを利用できない。しかし、こうした環境がウィーチャットをはじめとする地場サービスが大きく成長する背景となっている。テンセントは先に、所有するメッセージアプリ「QQ」のユーザーをウィーチャットに移管し、これが利用者増加に拍車をかけた。

中国のソーシャルメディアは全て、中国政府が違法とする内容の投稿を検閲する義務が課せられており、ウィーチャットも例外ではない。2017年8月にはこうした取り締まりが十分でなかったとして、サイバーセキュリティー法違反の容疑で中国当局の捜査を受けていることが明らかになった

しかしウィーチャットは、暗号化システムによって文字や音声、画像といったサーバーに保存されないコンテンツは他人に「覗き見」されることはないとしている。また、送信されたメッセージは既読になった後に削除されるという。

ウィーチャットは今年初め、チャット履歴の保存疑惑が浮上したものの、これを完全否定する声明を発表している。

(英語記事 http://www.bbc.com/news/business-43283690

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