一部の薬が認知症につながる?=英研究

イアン・ウエストブルック ヘルス担当記者BBCニュース

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英イーストアングリア大学の研究チームが、一部の抗コリン薬を大量摂取した患者に認知症が多いことを突き止めた。うつ病やパーキンソン病、ぼうこうの病気などに処方される抗コリン薬は、長期間のみ続けると認知症のリスクを高める可能性があるという。

ただし専門家は、これらの病気に対する効果の方がその他のリスクを上回るとし、薬をやめないよう呼びかけている。

また、花粉症や車酔い、腹部のけいれんなどに処方される一般的な抗コリン薬では、こうしたリスクは見つかっていない。

研究内容は?

この研究は、2006年4月から2015年7月の間に認知症と診断された65~99歳の4万770人を調査したもの。アルツハイマー協会から資金提供を受けた研究の結果は、ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルで公表された。

研究では、認知症患者のこれまでの病歴を調査したほか、認知症でない28万3933人との比較も行った。

さらに、2700万枚に上る処方せんも分析しており、認知症の関して抗コリン薬の長期的な影響を調べた研究としては最大規模のものとなった。

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Image caption アルツハイマー病患者の脳(左)と、通常の脳の比較画像

抗コリン薬とは?

抗コリン薬は、副交感神経に信号を送るアセチルコリンを阻害する役割を持つ薬。

一部の抗コリン薬は医者の処方を受ける必要がある。

抗コリン薬を処方されている患者は何をすればいい?

アストン大学のイアン・メイドメント博士は、最も大事なことは「パニックにならないこと」だと説明する。

同博士はBBCに対し、「急に何かをする必要はありません。薬を飲むのをやめてはいけません」と話した。

「薬を飲んでいる身として心配があるなら、かかりつけの医師や薬剤師と相談してください。緊急を要する相談ではありません」

処方された薬を飲むのをやめれば、深刻な結果を招く可能性もある。

「うつ病の治療をせずにいることも、それによって死ぬという意味ではリスクがあります。なのでこれはバランスの問題です」

専門家の反応は?

Image caption プリッケット博士は、誰が影響を受けるかは判断しづらいと指摘する

アルツハイマー協会で研究を主導したジェイムズ・プリッケット博士は、不健康な生活が及ぼす認知症リスクに比べ、抗コリン薬が認知症の引き金となるリスクは「とても小さい」と語る。

「これらの薬を飲んだ人々の中で、リスクが高まった人とそうでない人の違いははっきりとは分かっていません」

認知症研究所のマーティン・ロッサー教授も、「原因となる作用が解明されていないので、こうした関連性には慎重になることが重要です」と釘を刺している。

英アルツハイマー研究所の所長、キャロル・ルートレッジ博士は「この研究では、抗コリン薬と認知症のリスクを関連付けている原因を精査していません。研究者は今後の研究で、この部分を明らかにする必要があるでしょう」と話した。

ユニバーシティー・コレッジ・ロンドンのロブ・ホウォード高齢精神医学教授は、「これらの薬を使うことで、認知症が進行する何年も前に、気分の落ち込みや泌尿器感染などに関連するアルツハイマー病の最初期の症状を治療することが可能かもしれません」と指摘している。

レディング大学のパラストウ・ドニャイ社会・認知薬学准教授は「この類の研究は、患者が処方どおりに薬を飲んでいることを想定しています」と話す。

「しかし他の研究から、長期にわたって治療をしている人々は、その期間の半分しか処方どおりに薬を飲んでいません。残りの期間は処方より多く飲むか少なく飲むか、あるいは全く飲まなくなっています」

(英語記事 Dementia risk linked to some medicines

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