韓国と北朝鮮、緊張緩和に合意

南北朝鮮を分ける非武装地帯で輸送車両に乗る韓国軍兵士たち。2015年8月24日。 Image copyright AP
Image caption 北朝鮮との緊張悪化を受けて韓国は国境地帯の警備を強化していた。

南北朝鮮の軍事境界線付近で起きた地雷爆発を機に対立が悪化した両国は25日の未明に及ぶ高官級会談で、緊張緩和に合意した。

韓国政府によると、8月4日に南北軍事境界線近くの非武装地帯(DMZ)の韓国側地域で地雷が爆発し、韓国兵2人が負傷した事件に対して北朝鮮が遺憾の意を表明すると受け入れた。これに伴い、韓国は国境越しに拡声機を使った北朝鮮批判の政治宣伝放送を中止すると合意した。

両国の一連の緊張悪化では、南北の軍事境界線に近い韓国軍が20日午後に砲撃されたのを受けて、22日に板門店で高官会談が始まり、25日午前零時55分まで続く異例の「マラソン会談」となっていた。

両国は共同声明で、韓国が政治宣伝放送を中止し、北朝鮮が「準戦時状態」を解除すると発表した。

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Image caption 金寛鎮(キムグァンジン)・大統領府国家安保室長は、南北の会談は続行すると。

両政府はさらに、1950年~53年の朝鮮戦争による離散家族の再会問題などについても前向きに協議を続けることで合意した。

韓国政府の首席交渉担当で、軍事・安保分野を統括する金寛鎮(キムグァンジン)・大統領府国家安保室長は、25日にソウルで会見し、諸問題について関係改善に向けた協議を継続すると述べたが、両国の首脳会談の実現を目指すべき時ではないと慎重な姿勢を示した。


<分析>スティーブン・エバンズ、BBCソウル特派員

両国の緊張関係は近年になく高まったが、今回の結果は朝鮮半島のベテランウォッチャーにとっては予想通りの展開となった。

高度に軍事的な対立関係が絶えることなく持続する両国の間で、こうした緊張悪化は定期的に発生するが、それがどの程度まで誤解によるものなのかもはっきりしない。

北朝鮮政府に批判的な専門家たちは、北朝鮮は定期的にこうした危機を作り出して、韓国とアメリカの注意を集め、自分たちを重視しろと促しているのだと説明する。自国の住民たちの緊張関係を維持することも狙いなのだという。

その一方で、韓国と米国の合同軍事演習がむしろ挑発的で、韓国はもっと関係改善に努力すべきだという意見もある。

しかしこれに対して韓国政府を支持する人たちは、「ソウルを標的に核兵器を開発している独裁国家に対して、どうして柔軟姿勢をとらなくてはならないのか」と反発する。


8月4日の地雷爆発を受けて、韓国は11年ぶりに政治宣伝放送を再開した。北朝鮮は、非武装地帯の韓国側に地雷を敷設したのは自分たちではないと否定している。また20日の韓国軍への砲撃も、自国軍ではないと否定している。

北朝鮮政府は21日、「準戦時状態」に入るよう軍に指示。韓国側も、北朝鮮からの挑発には「徹底して断固対応」すると応酬していた。非武装地帯に近い韓国側の地域では住民4000人に避難命令が出された。

朝鮮戦争は休戦協定をもって戦闘が終了したが和平条約が交わされていないため、韓国と北朝鮮は法律上はまだ戦争状態にある。


ラウドスピーカーと心理戦

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Image caption 韓国軍兵士が北朝鮮との国境に設置されていたプロパガンダ用スピーカーの撤去作業。2004年6月16日。韓国・坡州。

2004年に韓国と北朝鮮は、軍事境界線を挟んで双方が設置していた宣伝放送用のラウドスピーカーを撤去するとお互いに合意した。

韓国の英字紙「コリア・タイムズ」は宣伝放送について、北朝鮮の兵士や近隣住民に、外の世界の情報を届けるための、心理作戦用の手段だったと説明している。

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