オバマ氏、マッキンリー山を「デナリ山」に改称

画像提供, Reuters
「マッキンリー山」だったころの威容。2011年1月11日、アラスカ州国立公園局提供。
長年の論争の末、北米大陸最高峰の山「マッキンリー山」(標高6168メートル)の名前が、アラスカ先住民が呼びならわしてきた「デナリ」に正式に戻された。オバマ米大統領が8月31日、アラスカ訪問に先駆けて発表した。「デナリ」は「高いもの」「偉大なもの」などを意味する。
ジュウェル米内務長官は「この場所への畏怖の気持ちを抱きながら、アラスカ先住民の伝統にのっとり、アラスカの人々の強い応援を受けて、この山の名称を正式に『デナリ』に変更する」と声明を発表した。
アラスカの「マッキンリー山」は1896年、金を求めて現地を探索していた男性が、米大統領候補になったばかりのウィリアム・マッキンリーにちなんでつけた名前。第25代大統領になったマッキンリーは一度もアラスカを訪れないまま、大統領2期目の1901年に暗殺された。
画像提供, us national archive
第25代アメリカ大統領ウィリアム・マッキンリーが大統領候補になったことを記念して、山にその名前がつけられた。写真は1897年1月撮影。
アラスカ州は数十年前から、山の名称を「デナリ」に戻そうと運動してきたが、連邦議会で常に、マッキンリー大統領の出身、オハイオ州の反対に遭ってかなわなかった。
オハイオ州出身のベイナー下院議長(共和党)は「とても残念だ」と改称を批判。「100年以上にわたって北米大陸の最高峰にマッキンリー大統領の名前がつけられてきたのは理由がある。偉大な大統領の業績のあかしだった」とベイナー氏は述べている。
同じくオハイオ州選出のロブ・ポートナー上院議員(共和党)は、「デナリ山」のある国立公園内に何か別の形でマッキンリー大統領の名前を残してもらいたいと、オバマ大統領に呼びかけている。
一方で、名称変更を求めてきたアラスカ州選出のリサ・ムルコウスキ上院議員(共和党)はツイッターで、「デナリ」の名前を認めることができて名誉に思うと書いた。
名称変更のほかの事例
画像提供, Getty Images
ウルル(エアーズロック)、2013年11月27日。
- オーストラリア中心部の巨大な一枚岩は、イギリス人探検家がつけた名称「エアーズロック」が長年使われてきたが、もともとは地元の先住民アボリジニが「ウルル」と読んでいた。1995年にエアーズロック(ウルル)と正式名称が変更されたのち、2002年にはウルル(エアーズロック)に変更された。
画像提供, Getty Images
映画「アバター」が名称変更のきっかけに。中国・張家界森林公園、天子山。2013年9月1日撮影。
- 中国・張家界森林公園の「南天一柱」は、映画「アバター」の舞台のモデルとなったことから、「アバター哈利路亜山(ハレルヤ山)」に名称変更。
- 米ニューメキシコ州の「ホットスプリングス」の町は1950年、人気ラジオ番組の企画で「Truth or Consequences」(真実かその代償か)に変更。