英労働党のコービン新党首、影の内閣を組閣

Jeremy Corbyn
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12日の英労働党党首選で圧勝したジェレミー・コービン新党首

英最大野党・労働党の代表選で圧勝した左派ジェレミー・コービン新党首が13日、「影の内閣」組閣に着手した。

12日の党首選で40万票のうち6割を獲得したコービン氏は、労働党の「巻き返し」を約束。ブレア政権以来、中道路線をとってきた英労働党にとって、ブレア政権によるイラク戦争参加を当時激しく批判し、鉄道をはじめ主要公共サービスの再国有化や大学の学費免除、核兵器の廃棄などを掲げている左派コービン氏の党首就任は、大きな転換点となる。

党首選が3カ月前に始まった時点では勝つ目途はほとんどないとされたコービン氏の勝利に、これまでの影の内閣の「閣僚」の多くが即座に辞任を表明したが、党幹部のエド・ミリバンド氏やトム・ワトソン副党首らは議員らに党の結束を呼びかけた。

コービン氏は影の財務相に、労組の強力な支持を得ている盟友ジョン・マクドネル議員を指名。影の内相には、党首選で戦ったアンディー・バーナム議員、影の外相には戦後イギリスの労働運動を代表した大物左派政治家、故トニー・ベン氏の息子ヒラリー・ベン議員を指名した。

影の法相はファルコナー卿、影の民間企業・技術革新・技能相はアンジェラ・イーグル議員、影の保健相はハイディ・アレクサンダー議員がそれぞれ務める。

Andy Burnham, John McDonnell and Jeremy Corbyn

画像提供, Getty/PA/AP

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影の内閣入りするアンディ・バーナム議員(左)、ジョン・マクドネル議員(中央)とジェレミー・コービン新労働党党首

2011年から影の民間企業・技術革新・技能相で次期リーダーのひとりと目されているチュカ・ウムンナ議員は「ジェレミーとの間には、欧州連合(EU)加盟などについていくつか主要な政策課題で意見の相違がある」と影の閣僚を辞任。

党首選で敗れた影の国際開発相メアリ・クレイ議員も影の内閣を辞任した。

BBCのローラ・クッセンバーグ政治編集委員は、党の中道派や有名な議員を影の内閣に取り込むことで党首として最初の目的は実現したと評価しつつ、左派コービン氏の盟友マクドネル議員の財務相就任を「受け入れにくい」人事と受け止める議員は多いだろうと指摘した。

コービン氏は現状のEUに満足はしていないが「より良い欧州」のためにEUに残るべきと主張している。かつては、EU離脱の選択肢を否定していなかった。

労働党議員のほとんどは党首選でコービン氏を支持しなかったが、それでもコービン氏は6割を得票。ワトソン副党首はBBCの番組で「党内クーデターの可能性はゼロ」と強調しつつ、「フロントベンチ(英議会で最前列に座る閣僚)の仕事ができる人は党内に大勢いる」と発言。その一方で、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「トライデント」の廃棄や北大西洋条約機構(NATO)離脱については自分もコービン氏と立場が異なると認めた。