エジプト治安部隊がメキシコ人観光客ら12人殺害 テロ掃討で誤り

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エジプト治安部隊は武装勢力の活動活発化に対して重警戒態勢を敷いている。写真はパトロール中のエジプト兵(8月6日)
エジプト内務省は13日、治安部隊がテロ掃討作戦の最中に誤って、メキシコ人観光客を含む12人を死亡させたと明らかにした。そのほかメキシコ人とエジプト人計10人が負傷し、近くの病院で手当てを受けているという。
内務省によると観光客らは自動車4台に分乗し、西方砂漠のワハト地区で立ち入りが制限されている区域を移動中に攻撃された。事実関係を確認する調査チームを設置したという。
メキシコのペニャ・ニエト大統領は事件を批判し、「エジプト政府による徹底捜査」を要求したと明らかにした。メキシコ外務省は自国民が少なくとも2人死亡したと確認。他の被害者の身元確認を急いでいる。
メキシコ外務省によると、フエンテス駐エジプト大使は現地の病院で手当てを受けているメキシコ人5人を見舞った。5人の容体は安定しているという。
「誤った対応」
エジプト内務省の発表(アラビア語)によると、軍警察と治安部隊が13日に行ったテロ掃討作戦で観光客らが乗っていた車4台に「誤った対応」をした。現場は「外国人観光客は立ち入り禁止」の地区だったというが、正確な場所は明らかにされていない。
カイロにいるBBCのオーラ・ゲリン特派員によると、西方砂漠は観光客に人気だが、リビア国境につながりリビア側から武器を入手しやすいため、武装勢力の活動の場にもなっている。
エジプトにいる過激派組織「イスラム国」(IS)は13日、「軍事作戦に抵抗した」と主張していた。また「IS」の関係組織だと名乗るグループが、西方砂漠にある街ファラフラに潜入したとしている。
エジプトの反政府勢力は、政府軍が2013年半ばにイスラム主義者のモルシ大統領とムスリム同胞団を排除したのを機に台頭。エジプト政府は兵士・警官数百人が、シナイ半島のIS分派によるとされる攻撃で死亡したとしている。
エジプト政府は今年7月、シナイ半島からIS勢力を一掃すると宣言した。