米FRB、利上げ見送り

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米FOMCは政策金利の現状維持を決めた(写真は記者会見するイエレンFRB議長)
米連邦準備理事会(FRB)は17日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、2008年12月以来同じ水準にある政策金利の現状維持を決め、実質的なゼロ金利政策の解除を見送った。
FOMCは政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0~0.25%に維持することを決めた。9人のFOMCメンバーのうち、リッチモンド地区連銀のラッカー総裁のみが反対票を投じた。同総裁は0.25ポイントの利上げを主張した。
FRBは、世界経済の力強さへの懸念が今回の決定に影響したことを明確にした。発表文では「最近の世界の経済および金融の動向が経済活動を幾分か抑えるかもしれず、短期的には物価上昇への低下圧力になる可能性が高い」と述べられている。
投資家の間では、中国経済の減速や金融市場の波乱による米国の経済成長への影響が懸念されている。
会見したイエレンFRB議長は、「中国が経済のリバランスを図るなかで成長が多少減速するのは長く予想されていた。問題は、大方のアナリストが想定する以上に急激な減速になるリスクがあるかどうかだ」と語った。
経済情勢
FRBの長期的な政策は、雇用がさらに改善し、物価上昇率が目標レベルの2%に近づくまで金利を低く維持するというものだ。米国の物価上昇率は、原油価格の下落や強いドルを背景に、現在は1.2%近辺を推移している。
FRBは、金融引き締めには雇用市場のさらなる改善を確認したい考え。米国の失業率は8月に5.1%となり2008年以来の低水準になっている。FRBはまた、物価上昇率の加速に「かなりの確信」を持ちたいとの意向を示した。
FRB当局者17人が示した金利見通しでは、13人が年内少なくとも1度の引き上げを見込んでいるが、6月の15人からは低下した。
政策金利を決定するFOMCは今年さらに10月と12月に開催が予定されている。
<表>米政策金利にあたるFF金利の推移 (出典:セントルイス地区連銀)