排ガス不正でフォルクスワーゲン前社長を捜査 独検察

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ドイツ検察当局は28日、フォルクスワーゲン社の排ガス不正問題で8日、マルティン・ビンターコルン前社長に対し、詐欺の疑いで捜査に着手したと発表した。
ドイツ検察は声明で、「排ガスのデータを改ざんして販売した詐欺の疑い」で前社長を捜査すると説明している。
9年近くフォルクスワーゲン社を率いたビンターコルン氏は23日に辞意を表明。自分は排ガス量の試験結果操作について何も知らなかったと話している。
ドイツの司法制度では、誰でも検察に事件を告発できる。検察は告発内容を検討し、正式な捜査に着手するだけの証拠があるかどうかを判断しなくてはならない。
同社の排ガス記録不正問題では、アメリカで販売されていたディーゼル車に、排ガス検査を検知しエンジンの動きを変えるソフトウェアが搭載されていることが発覚しており、これを受けて、同社本部に近いブラウンシュバイクの検察に対して、複数の告発が寄せられたと検察は説明した。フォルクスワーゲン社そのものからの告発もあったという。
ドイツの地元報道によると、フォルクスワーゲン社の内部や部品供給会社ではすでに数年前から、排ガス検査を逃れるための不正装置の使用を問題視する指摘がされていたという。
同社は不正について謝罪しているが、全体で同社グループ製造の車両1100万台に問題のソフトウェアが搭載されている可能性があるとしている。
ビンターコルン氏の辞任を受けて、傘下ポルシェのトップ、マティアス・ミュラー氏が新CEOに就任している。
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アウディ車にも不正装置
フォルクスワーゲン社の高級車部門アウディも28日、排ガス規制を逃れるための同じソフトウエアが搭載された自動車の台数が、世界で210万台に上ると明らかにした。
アウディ広報がロイター通信に語ったところによると、対象モデルには「A1」、「A3」、「A4」、「A5」、「A6」、「TT」、「Q3」、「Q5」が含まれるという。
アメリカの排ガス試験不正を認めて以来、フォルクスワーゲンの株価は約35%下落している。
イタリア、フランス、韓国などの司法当局が捜査に着手しており、スイスでは一時的に、フォルクスワーゲン製ディーゼルエンジンの販売を禁止した。
VW社長が辞任 ディーゼル車排ガス規制の不正受け
独フォルクスワーゲンが米国の排ガス規制を回避する不正なシステムを搭載したディーゼル車を販売していた問題で、同社のマルティン・ヴィンターコーン社長が辞意を表明した。