イエメンの結婚式空爆、死者130人に

Aftermath of suspected air strike on wedding celebration in village of Wahijah, Taiz province, Yemen (28 September 2015)

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イエメン南西部ワヒジャ村の住民たちによると、結婚披露宴会場がミサイルで破壊されたと(28日)

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)や地元医療関係者によると、イエメン南西部で28日に結婚披露宴が空爆されたことによる死者は、少なくとも130人に上ることが明らかになった。

紅海沿岸の港湾都市モカ郊外のワヒジャ村で、シーア派の反政府組織「フーシ派」に関係する男性が結婚披露宴を開いていたところ、ミサイルが屋外に設置されていたテント会場2つを破壊したという。

イエメンの反政府勢力に対しては6カ月前から、サウジアラビア主導の連合国が空爆を重ねており、ワヒジャ村の住民たちは、連合国による空爆だったと話している。

イエメン政府筋はAP通信に対して、空爆があったことを認め「誤爆だった」と認めている。一方で、サウジアラビア側の報道官は「連合国は該当地域では3日前から空爆作戦を展開していない。まったくの誤報だ」と関与を否定している。

空爆直後の当初報道では、少なくとも40人が死亡し、その多くは女性や子供だとされていた。これに対してOHCHRは29日午前、死者数は130人以上に上る様子だと発表。

OHCHRのコルビル報道官は「犠牲者の数が事実なら、紛争開始以来最悪の事案となるかもしれない」と述べ、過去12カ月間にイエメンで死亡した民間人の約3分の2は、連合国の空爆による犠牲とみられていると指摘した。

被害者が搬送されたマクバナの病院関係者はロイター通信に対して、131人が死亡したと話している。

国連の潘基文事務総長は28日、イエメン紛争では双方が「人命を軽視している」と国連総会で非難。さらに声明で、軍事行動はイエメンの紛争解決につながらず、ひたすら破壊と苦しみをもたらすだけだと呼びかけた。

国連はこれまでにも、サウジアラビア主導の連合国によるイエメン港湾の封鎖によって、必要な物資が国内に届かず、ただでさえ劣悪な状況にあるイエメンの国内が人道的に「非常にひどい」状態に陥っていると非難してきた。イエメンの人口の8割にあたる約2100万人が人道支援を必要としており、約150万人が国内で避難を余儀なくされているという。

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今年3月以来イエメンでは空爆や戦闘によって約5000人が死亡している

イエメンのハディ大統領は今年3月末、フーシ派武装勢力の攻撃を受けて国外に脱出。3月26日にはサウジアラビア主導のスンニ派諸国連合軍がハーディ大統領の要請があったとして、イエメン空爆を開始した。以来、大統領派と反政府勢力の戦いによって、一般市民2355人を含む約5000人が死亡している。

ハディ大統領は22日、大統領派が暫定的な拠点にしている南部の主要都市アデンに半年ぶりに戻った。