ノーベル物理学賞に梶田教授とマクドナルド教授 ニュートリノの「型」変身の兆候発見

workers on an inflatable raft inside a huge neutrino observatory

画像提供, Kamioka Observatory, ICCR, University of Tokyo

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梶田教授は岐阜県飛騨市に設置された素粒子観測装置「カミオカンデ」で、大気中で発生するニュートリノを観測した

スウェーデン王立科学アカデミーは6日、2015年のノーベル物理学賞を、東京大学宇宙線研究所の梶田隆章所長とカナダ・クイーンズ大学のアーサー・マクドナルド名誉教授の2人に贈ると発表した。素粒子「ニュートリノ」の「型」が変化する仕組みの発見が評価された。

物質を構成するニュートリノは宇宙に多数存在するが、ほとんどの物質をすり抜けてしまい、質量もほとんどなく、研究が非常に困難だった。

梶田教授は岐阜県飛騨市の旧神岡鉱山に設置された素粒子観測装置「カミオカンデ」で、マクドナルドはカナダの観測装置で、大気中に発生するニュートリノをそれぞれ観測した。

ニュートリノには「電子型」「ミュー型」「タウ型」の3種類がある。その型が変化する兆候(ニュートリノ振動)の観測によって、ニュートリノが質量を持つことを示す証拠が得られた。

カナダから記者会見したマクドナルド教授は、受賞について「恐れ多いことだが、幸いこの賞を分かち合える同僚が大勢いる。観測結果を出すためにみんな、実に努力してくれた」と述べた。

今年のノーベル賞では5日、生理学・医学賞が大村智・北里大特別栄誉教授(80)ら3人に贈られると発表されている。