ロシアのシリア空爆 「正当な権力の安定のため」=プーチン氏

Russian President Vladimir Putin. Photo: 11 October 2015 Image copyright AFP
Image caption プーチン露大統領はシリアでの「テロ組織攻撃」は正しいと強調(11日)

ロシアのプーチン大統領は、ロシア軍によるシリア空爆について、アサド大統領の「正当な権力を安定させるため」だとして、その正当性を強調した。ロシア国営テレビ「ロシア1」が11日、インタビューを放送した。

プーチン大統領は、アサド政権を「安定させ、政治的な妥協が可能な状況を作る」ことが、シリアでの空爆の目的だと述べた。

さらに、ロシアがアサド政権を支援しなければ、「テロ組織」がシリアを支配してしまう危険があると強調し、テロ組織の戦闘員が「首都ダマスカスの端まで来ている」と指摘。他の政府も「この悪に対抗するため勢力を結集」するべきだと呼びかけた。

ロシア軍の攻撃が過激派勢力「イスラム国」(IS)の拠点よりも、穏健派の反政府勢力を標的としているという批判については、プーチン氏はこれを否定。しかし、アメリカ主導の有志連合はロシアの攻撃への協力を拒否しており、イギリスやトルコなど複数の国は、ロシアによるアサド政権支援を「誤り」と批判している。

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Image caption シリア内でロシア戦闘機を整備するロシア兵(1日)

ロシア軍は9月30日にシリア領内への空爆を開始。同政府は11日、24時間以内にシリア領内に60回飛行し、主な標的はISだと説明した。

ロシア軍の援護を受けてシリア政府軍は反政府勢力に対し勢いを強めているという。11日にはシリア政府と反政府組織の双方が、イドリブ、ハマ、ラタキアの各県でのシリア軍の勝利を確認している。

政府軍と反政府勢力の主要な戦線は現在、首都ダマスカスをアレッポなど他の主要都市と結ぶ幹線道路に迫っており、政府軍はイドリブ県の反政府勢力を孤立させようとしているもようだ。

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Image caption ハマ県で戦う反政府勢力の兵士たち(11日)
Image caption シリア内戦における9月28日の勢力分布 (米シンクタンク「戦争研究所」(ISW)資料より)

<分析>BBCニュース、ジム・ミュイル記者(ベイルート)

シリアの政府勢力は基本的に、ハマ市の北とラタキア県北部の沿岸部に近い山岳部など今年前半に失った地域を奪還しようとしている。反政府勢力各派が勢力を結集し、トルコやサウジアラビア、カタールなど外国の支援も得て、政府から奪った地域だ。

これらの地域を反政府勢力が掌握したことで、アサド政権の心臓部とも言える地域は重大な脅威にさらされるようになった。ロシアが介入を開始し、イランが介入を拡大したのは、まぎれもなくこの展開がきっかけとなっている。

ラタキア県などに部隊をおくアルカイダ系「ヌスラ戦線」の幹部は、反政府勢力がアサド政権とロシアに上手を取られてしまえば、敗退が続き、先行きが危うくなるとして、あらゆる反政府勢力に結集を呼びかけ、全ての前線で共同戦線を展開するよう求めている。


シリア内戦

なぜシリアで戦っているのか

4年前に反政府運動として始まったものが内戦に発展し、膠着している。アサド政権、IS、さまざまなシリア国内の反政府勢力、クルド人武装組織がいずれもそれぞれに勢力圏を確保している。

誰が誰と戦っているのか

首都ダマスカスおよび国の西部を拠点とする政府軍は、ISやヌスラ戦線といった過激派勢力と戦っている。また、北部や東部に強固な足場をもついわゆる「穏健派」反政府勢力とも戦っている。さらに、政府軍以外の各勢力はそれぞれ互いに敵対している。

人的被害は?

シリア人25万人が殺害され、100万人が負傷している。1100万人以上が住む場所を追われ、そのうち400万人が外国へ避難。危険を冒してでも欧州を目指す人の数が増えている。

世界の反応は?

イラン、ロシア、レバノンのヒズボラはイスラム教アラウィ派が率いるアサド政権を支援する。一方でトルコ、サウジアラビア、カタール、および米英仏は、より穏健なスンニ派が多数を反政府勢力を支持。ヒズボラとイランは地上部隊や将校を派遣しているとされる。アメリカなど欧米主導の連合国とロシアが、空爆を実施している。

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