中国・習主席が英国公式訪問をスタート

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中国の国家主席が英国を公式訪問するのは2005年以来
中国の習近平国家主席は19日、ロンドンのヒースロー空港に到着し、4日間の予定で英国公式訪問をスタートさせた。
デイビッド・キャメロン英首相は習氏の訪問が英中関係の「黄金時代」を象徴するものだとしている。
首相官邸の報道官は首脳会談で「議題に上げられないものはない」と語った。同首相は先に議会に対し、首脳会談では中国の製鉄メーカーが補助金を受けて輸出攻勢をかけていることを取り上げると述べた。このほか人権問題やサイバー攻撃も議題に上る見通し。
先月には、ジョージ・オズボーン英財務相が訪中し、英国が中国にとって「西側における最高のパートナー」となる意思を表明した。
さらにオズボーン財務相は今月、中国の企業が英国の原子力発電所に投資するのを許可すると発表した。これには一部から懸念の声が出ている。
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英中国旗が飾られたロンドン中心部の「ザ・マル」
彭麗媛(ほう・れいえん)夫人を伴ってヒースロー空港に降り立った習主席は、エリザベス女王の名代フッド子爵、フィリップ・ハモンド外相らの出迎えを受けた。ロンドン市内では、中心部にあるバッキンガム宮殿前の「ザ・マル」で英中国旗が飾られた。20日には近衛騎兵隊による歓迎パレードが予定されている。
習主席はバッキンガム宮殿に宿泊し、王室メンバーと会見する。また、企業訪問や議会での演説も予定されている。
一方、中国の人権問題に抗議するアムネスティー・インターナショナルなどの団体が20日にロンドン中心部のセント・ジェームズ公園でデモを行う。親中派の集会も予定されている。
鉄鋼製品めぐる懸念
安価な中国の鉄鋼製品による欧州市場への影響について懸念の声が上がっており、野党・労働党の「影の内閣」で産業を担当するアンジェラ・イーグル氏は先に、「反競争的なダンピング(不当廉売)が鉄鋼製品の価格を引き下げている」と述べている。
キャメロン首相は下院で「製鉄業界を助けるため、欧州であらゆることをしている」と述べ、「このため、中国製品に対する反ダンピング関税への賛成票を投じており、製鉄業界を助けるためあらゆることをする。例えば、多額の燃料消費やそれに伴って必要な許可について検討している」と語った。
さらに「この点を中国と協議するかどうかって? もちろん議題する。中国との関係はそういうものだ」と語った。
習氏とはどんな人物か
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- 1953年に北京で生まれる
- 習氏の父、習仲勲氏(故人)は中国共産党政権の樹立に関わった政府要人
- しかし1962年に失脚し、当時15歳だった習氏は農村部に「下放」された
- 1974年に共産党員に
- 2007年に上海市のトップに
- 2012年に中国共産党の習指導部が発足
- 企業活動を支援し、腐敗撲滅に力を入れる
- 1987年に女優・歌手の彭麗媛氏と結婚
Prince William: "Only we, as consumers, can put the wildlife traffickers out of business, by ending our demand for their products"
<英語ビデオ>ウィリアム王子は中国に不法な象牙取引を止めるよう呼びかける演説を、中国国営テレビの放送用に収録した
公式訪問の主な日程
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習主席
20日
- 近衛騎兵隊による歓迎パレードの後、「ザ・マル」を通ってバッキンガム宮殿に馬車で向かう
- 英議会で演説
- 労働党党首のジェレミー・コービン氏と面会
- エリザベス女王がバッキンガム宮殿で公式晩餐会を主催
21日
- アンドリュー王子、オズボーン財務相と共にインペリアル・コレッジ・ロンドンを訪問
- 「中英ビジネスサミット」に出席、中国の通信機器メーカー、華為技術(ファーウェイ)の英国法人を訪問
- 首相官邸でキャメロン首相と会談
22日
- アンドリュー王子と共にインマルサットを訪問し、ロンドン大学教育研究所が主催する孔子学院の会議に出席
- キャメロン首相と夕食会、マンチェスターに移動
23日
- オズボーン財務相とマンチェスター大学の国立グラフェン研究所、キャメロン首相とシティー・フットボール・グループ(CFG)をそれぞれ訪問
- キャメロン首相と英国を離れる前の式典に出席