カナダ総選挙で自由党が大勝 約10年ぶり政権交代へ

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母親のマーガレットさんと勝利を祝うトルドー氏(19日、モントリオール)
カナダで19日に投開票された総選挙で、野党・自由党が大勝した。約10年ぶりに政権交代が実現する。
選挙運動が始まった時点で第3位だった中道の自由党が、議席数の半数以上を勝ち取るという劇的な展開となった。
勝利宣言した自由党のジャスティン・トルドー党首は、カナダは本当の変化を求めたと語った。現職のハーパー首相は、自ら率いる保守党の敗北を認めた。同党幹部によると、ハーパー氏は党首を辞任する見通し。
トルドー氏の父は、1960年代から80年代にかけて2回、カナダの首相を務めた故ピエール・トルドー氏。
今回の総選挙はカナダ史上最も長期間にわたって選挙運動が行われ、選挙は接戦になるとみられていた。
投票終了後、ハーパー首相はトルドー氏に勝利を祝福する連絡をすでにしたと語り、開票結果を保守党は「ためらいなく受け入れる」と語った。
ハーパー氏の発言から間もなくしてトルドー氏は、勝利を喜ぶ支持者たちに対し「カナダは今夜、変化の時が来たと、意思を明確に示した」と述べた。
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カナダ新首相となる自由党のトルドー氏
トルドー氏は、「希望によって恐れを打ち負かした。勤勉さによってシニシズムを打ち負かした。なによりも、カナダはこれくらいで良いという諦めに打ち勝った」と語り、「前向きな政治にはこんなこともできる」と述べた。同氏はハーパー首相のこれまでの貢献についても賛辞を送った。
The BBC watched election night events unfold in a bar in Montreal
<英語ビデオ>モントリオールのバーで選挙結果を見守る人々を取材した
自由党がこれほどまでに大勝すると予想した人は少なかった。同党は、338議席のうち184議席を獲得する見通し。過半数に必要な議席を14上回っている。過去最悪の結果となった2011年の総選挙ではわずか36議席だった。
第3位の政党が一回の選挙で過半数を占める勢力になるのは同国で初めて。
自由党の主な選挙公約は以下の通り。
- 中間層の所得税減税と富裕層の増税
- インフラ投資を増やすため3年間の財政赤字を許容
- 石油パイプライン、キーストーン事業の環境への影響について対応策をさらに拡充
- シリア難民の受け入れ増、過激派勢力「イスラム国」に対する空爆を止め、イラク軍の訓練を強化
- マリファナの合法化
一方、左派の新民主党は44議席を得る見通しで、議席を半数以下に減らすことになる。
新民主党のトム・マルケア党首は「まれに見る成果を挙げたトルドー氏に祝辞を送った」と述べた。
開票が始まり情勢が明らかになった時点で、保守党のピーター・マケイ元法相は「潮目の変化だ。東海岸の選挙区での優勢に慣れ切っていた。これは望んだことではない」と語った。
<解説>BBCニュース、アンドリュー・ザーカー記者(モントリオール)
こんな大勝は5年前には想像すらできなかった。ほんの数カ月前でも考えにくく、数日前でも可能性は低いと思われた。
今年の選挙期間が78日間に及ぶと発表した際、(選挙期間の長さは)保守党に有利だとみられた。豊富な資金を投下する時間が得られるからだ。
今振り返ってみれば、トルドー氏は有権者に自分を知ってもらう時間を得たし、高校で演劇を教えていた43歳の元教師ではカナダの指導者として経験不足過ぎるという保守党のトルドー批判をはね返す機会を得たことになる。
Justin Trudeau: 'It's time for a change'
<英語ビデオ>勝利宣言するトルドー氏。「変化の時が来た」
Stephen Harper admits defeat
<英語ビデオ>敗北宣言するハーパー首相
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右からハーパー首相、新民主党のトム・マルケア党首、トルドー氏(19日)
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開票状況を見守る保守党支持者(19日、カルガリー)
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新民主党の支持者(19日、モントリオール)
In five words: How you feel about Canada
<英語ビデオ>今のカナダを5語で表現するとしたら? 読者に聞いた

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