シリアのアサド大統領がロシアを電撃訪問

画像提供, AFP
シリアのアサド大統領(写真左)とロシアのプーチン大統領(20日、モスクワ中心部のクレムリンで)
シリアのバッシャール・アル・アサド大統領が20日夜、ロシアを訪問し、プーチン大統領と会談した。
ロシアは先月末にシリア領内での空爆を開始し、アサド政権と敵対する過激派組織「イスラム国」(IS)やほかの武装勢を攻撃している。
アサド大統領は、ロシアの軍事介入によってテロリズムが「さらに拡大し害を及ぼす」のを止められたと述べた。
一方でプーチン大統領は、シリアの人々が数年間にわたって「国際的なテロリズムをせき止めようとほぼ単独で奮闘してきた」と語った。
シリアの国営放送によると、アサド氏がシリア国外に出るのは2011年に内戦が勃発して以来初めて。
ロシア訪問はアサド大統領がシリア・ダマスカスに戻った後、21日に発表された。
<解説>ジョナサン・マーカス外交担当編集員
驚きを持って受け止められたアサド大統領のロシア訪問は、窮地にあった大統領が自信を強めていることを示している。
まず、内戦勃発後初めてダマスカスを離れても大丈夫だと考えたことだ。
また、シリア現政権に対するロシアの信頼感も示している。プーチン大統領がアサド氏を支援する強い意志があるのは、少なくとも今のところはほぼ確かというのが、アサド氏のモスクワ訪問で分かった。
しかし今回の訪問は、ロシアが軍事介入に加えて、外交攻勢をかける新しい段階に入ったことも示している。ロシアはアサド氏と協力し、少なくとも今はアサド氏が暫定的な問題解決に必要だということだ。
ロシア政府が発表したビデオでは、プーチン大統領は「国際的なテロリズム」との戦いに参加したのは、シリアを助けるためだけでなく、ロシア国防のためでもあると述べた。
プーチン大統領は、旧ソビエト連邦各国の出身者約4000人がシリアで戦っているとみられると述べ、「これを許すことはできない。戦闘経験とイデオロギー上の教練を得た後、ここロシアにやって来る」と語った。
アサド大統領は、ロシアが「シリアの統一と独立の維持に力を貸した」と謝辞を述べ、ロシアの介入が「シリアがもっと悲劇的な状況に陥るのを防いだ」と語った。
プーチン大統領は、平和的な解決をもたらす、どんな政治的プロセスにもロシアは「貢献する準備がある」と述べた。
ロシア(赤)と米主導の有志連合(青)がそれぞれシリア領内で空爆した場所
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