ミャンマーで25年ぶり総選挙、野党NLDは勝利を確信と

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NLD本部で支援者たちを前にしたアウン・サン・スー・チー党首(9日、ヤンゴン)
ミャンマーで8日に25年ぶりの総選挙が行われ、アウン・サン・スー・チー党首率いる国民民主連盟(NLD)は9日、勝利を確信していると自信を示した。
NLDの広報担当は9日午前、すでに開票された票の約7割を獲得したと表明した。アウン・サン・スー・チー党首はヤンゴンのNLD本部で報道陣や支援者を前に、「どういう結果かみなさんお分かりでしょう」と勝利を確信していると示唆しつつ、「当選する候補たちをお祝いするのはまだ早すぎる」とも述べていた。
軍部の後押しを受ける政権与党、連邦団結発展党(USDP)は2011年から政権を担ってきた。
USDPのテイ・ウー党首代行はBBCビルマ語の取材に対して、ヒンタダ地区で自らの議席をNLD候補に対して失ったと認めた。この結果は、選挙の趨勢(すうせい)を見極める重要な指標とされている。
テイ・ウー氏は「なぜ敗れたのか理由を探らなくてはならない。しかし何の留保もなく結果は受け入れる。ただし、最終結果はまだ確認できていない」と述べた。
25年ぶりとなるミャンマーの総選挙では、国会664議席の内、軍人議員の議席などを除く491議席が争われている。90以上の政党から6000人以上の候補者が出馬していた。
NLDが議会で過半数を得るには、少なくとも491議席の3分の2を得る必要がある。
ミャンマー総選挙 歴史的な一日を振り返る
ヤンゴンで取材するBBCのジョナ・フィッシャー記者は、これはかなり難しいが不可能ではなく、都市部で人気の高いNLDが少数民族の多い農村部でも議席を獲得できれば、過半数獲得は可能だと見ている。
ただしミャンマーの憲法は外国人の子供がいる人の大統領就任を禁止しているため、イギリス人との夫との間に息子が2人いるスー・チー氏は現行憲法のままでは大統領になれない。
もしNLDが選挙に勝っても、現行憲法は軍部にかなりの権力を認めているため、NLDだけで憲法改正を実現するのは困難だ。このためNLDは大統領を別に立てると見られている。スー・チー氏は自分は「大統領より上」の存在になると表明している。
最終結果が確定するまでには数日かかる見通しで、大統領が決まるのも早くて来年2月の予定だ。
歴史的な選挙
ビルマとしても知られるミャンマーの総選挙は2011年の民政移管後初で、有権者は約3000万人。推定の投票率は約80%と見られている。
数万人の選管職員やボランティアが、全国5万カ所の投票所で開票作業を進めており、後に各選挙区の選管で集計する。
与党USDPのシュエ・マン下院議長が早々にNLD候補に敗れたことが、選挙の行方を占う重要な結果と見られている。
国際監視団は、投票はおおむね問題なく行われたと評価しているが、少数民族ロヒンギャを含む数十万人に選挙権が与えられなかったため、結果の公平性に疑問を抱く声も上がっている。
ケリー米国務長官は総選挙の実施を民主化への大事な一歩と評価しつつ、問題がなかったとはとても言えないとクギを刺した。
一方で、40歳の新聞販売業サン・ウィンさんはAP通信に対し「NLDが勝ってると聞いて、本当に嬉しい。結果をあちこちで探していたから、夜の11時か12時まで眠れなかった」と喜んだ。
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マンダレイの投票所で開票作業を進める選管職員(8日)

ビデオ, ミャンマー総選挙 スー・チー氏らヤンゴンで集会
2011年の民政移管から4年以上がたったミャンマーで、総選挙の投開票が8日に行われる。民主化運動を主導してきたアウン・サン・スー・チー氏率いる最大野党のNLD(国民民主連盟)が主要都市ヤンゴンの郊外で集会を開いた。