【米大統領選2016】共和党候補たちがトランプ氏の移民政策を徹底批判

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ドナルド・トランプ氏(右)とマーコ・ルビオ氏
2016年の米大統領選に向けて、共和党候補の第4回テレビ討論会が10日夜、北部ウィスコンシン州ミルウォーキーで行われ、支持率でトップにいる実業家ドナルド・トランプ氏の移民政策を、他の候補7人が集中攻撃した。
トランプ氏は不法移民1100万人を強制送還し、メキシコ国境沿いに壁を設置して流入を防ぐというこれまでの主張をあらためて打ち出した。
オハイオ州のジョン・ケーシック知事や元フロリダ州知事のジェブ・ブッシュ氏はこれを、実務的でなく国民の対立を招くものだと強く批判。
ケーシック知事は「まったく皆さんはお分かりでしょう。(不法移民を)ただつかまえて国境の向こうに連れ出せばそれで済むという問題ではないと。まったくくだらない主張だ。大人の主張することじゃない」と痛罵した。
ブッシュ氏も、トランプ氏の案は多くの家族を引き裂くものだと批判。米国でラティーノ(ヒスパニック)系有権者が増えていることを指摘し、トランプ氏が移民問題について何か言うたびに「クリントン陣営では大喜びしているはずだ」と、トランプ氏の主張が共和党のためにならないと強調した。
トランプ氏がこれに反論しようとすると、観衆は大きくブーイング。トランプ氏はその上でなお、不法移民は米国経済を弱らせる問題だと持論を重ねた。
その他のハイライト
- トランプ氏は、国境の壁建設についてはイスラエルを参考にするべきと発言
- トランプ氏は環太平洋経済連携協定(TPP)と中国の「為替操作」を強く非難したものの、中国はTPPに参加していないと気づいていない様子だった
- 元神経外科医のベン・カーソン氏は、回顧録の内容が粉飾ではないかという疑惑に短く触れ、自分の経歴を精査されるのはかまわないが「嘘をつかれる」のは容認できないと述べた
- カーソン氏は米軍のシリア派遣を支持
- トランプ氏はシリアのいわゆる「イスラム国」に対するロシアの空爆を歓迎
- ブッシュ氏は米国が「世界の警察官」にはなれないので、「世界のリーダーになる方がいい」と反論
- テキサス州選出のテッド・クルーズ上院議員は、大統領として閉鎖する政府省庁を5つ挙げるなかで商務省を2度挙げた。2011年大統領選の討論会でテキサス州のリック・ペリー知事が、閉鎖すると表明していた3つの省庁を思い出せずあからさまに動揺した一幕を連想させた
- ケンタッキー州選出のランド・ポール上院議員は、民主党が首長の自治体、あるいは民主党が議会与党の自治体ほど所得格差がひどいと述べた
フォックス・ビジネス主催の討論会で冒頭の話題は最低賃金で、複数の候補がこの保証に反対した。
フロリダ州選出のマーコ・ルビオ上院議員は最低賃金を設定するより、職業訓練の充実が重要として、「哲学者よりも溶接工の方が収入がいい。哲学者を減らして溶接工を増やした方がいい」と述べた。
かつてルビオ氏を育て今やライバルとなったブッシュ氏は、前回の討論会でルビオ氏を攻撃したことがかえって批判されただけに、今回はルビオ氏との直接対決を避けた。ブッシュ氏にとっては伸び悩む支持率の挽回が急務だが、この日は国内政策についての知識を強調し、本選で民主党のヒラリー・クリントン氏と対決するには自分が最適だとアピールした。
一方で勢いに乗るルビオ氏は、外交政策について強硬姿勢を打ち出した。それに対してポール氏は、ルビオ氏が提案している軍事費拡大が保守思想に反すると批判した。
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4回目となった討論会で、壇上に並ぶ候補者の数が10人未満だったのは今回が初めて。参加者は、最新の世論調査4種の平均で支持率2.5%以上を獲得した8人に限られた。必要な支持率に達しなかった候補者たちは、事前の別の討論会に出席した。
共和党と民主党の候補をそれぞれ選ぶための予備選は、来年2月のアイオワ州予備選で始まる。
両党が正式指名した候補の間で大統領を選ぶ本選の投票は、来年11月に行われる。