アノニマス、ISと戦う
- ローリー・ケスラン=ジョーンズ
- テクノロジー編集委員

画像提供, Reuters
アノニマスの一員とする男性が声明を読む映像から(16日)
ハッカー同士が緩くつながるその集団はかつては、いたずらで世間の注目を集めておもしろがる以上にこれといった目的を持たない、アナーキストな集団でしかないと思われていた。
しかし最近のアノニマスは本気だ。今月初めには米国の白人至上主義集団「クー・クラックス・クラン」(KKK)を標的に、賛同者とみられる人たちの名簿をインターネット上に公表した。
そして今ではもっと大きい獲物を追っている。いわゆる「イスラム国」(IS)だ。パリ連続襲撃の後、アノニマスは「パリ作戦」と名付けた行動で、テロ組織のメンバーを追跡しようとしている。17日には公式アカウント「@opparisofficial 」で最初の成果と呼ぶ内容を高らかに公表し、5500以上のIS関連ツイッター・アカウントを閉鎖させたと主張した。
しかしアノニマスのこの作戦の目的は何なのか。そしてISに具体的な影響は与えられるのか。
セキュリティーの専門家たちはいささか疑心暗鬼だ。ISの活動を監視する各国情報機関にとっては、ISがネットの闇に潜むよりも目に見えるソーシャルメディアに居続けてくれた方が、都合がよいかもしれないからだ。
「パリ作戦」アカウントの担当者に電話取材を申し込んだが、それは無理だと言われてしまった。けれども文書での回答には応じてくれた(相手はイタリア人男性のようだ)。ただし、ツイッター・アカウントの「中」にいるのが誰で本当に大人数のハッカー集団を抱えているのか確認するのは不可能だ。しかし、取材は以下のようになった。
ーー作戦の目的は?
この作戦の主な目標は、パリのテロ攻撃の実行者と、関連するあらゆるテロ組織を特定すること、連中が頭数を揃えている方法の根っこまで深く探るために機密情報を入手し、連中のプロパガンダを無効化し、ソーシャルメディアでの影響力を食い止め、連中の情報を公表し、人類へのあらゆる脅威を取り出して警告することだ。
ーー成功の指標は?
大規模作戦としての「#OpParis」で我々は、自分たちのやる気と経験と効率を活用して、ISISを実質的に壊滅させる。インターネット上に限らずISISそのものを。ISISをインターネットから追い出すだけでは終わらせない。
ーーISメンバーについて公表する情報の正確性に自信は?
機密情報を効果的に検証し、情報が本物だと確認してから対象を攻撃する。時には、おぞましい内容を転載する賛同者やフォロワーだったりするかもしれない。まったく関係ない人たちについて誤って名指して非難したりしないと保証する。
ーー関係ない人の名前を公表してしまったら?
絶対的な確信のないまま誰かの身元を公表するとは考えにくい。情報を入手してすぐ公表するわけではない。膨大な時間をかけて、情報の内容を精査し確認している。
ーーISを地下に追いやるよりも、情報機関の目に触れるツイッターでISメンバーがオープンにやりとりしている状態の方が、ISと戦うには良いのではないか?
自分たちの行動をいかに喧伝(けんでん)するかがISISのプロパガンダを支える基礎だ。自分たちの名前と血まみれの映像と激しいビデオで怖がらせ、恐怖で攻撃したいのだ。我々は銃やライフルで戦うことができない。連中のプロパガンダを食い止めるのは、その勢力やインターネットでの存在感を弱めるのに効果的だ。コミュニケーションを妨害することで、攻撃をよどみなく計画するのが難しくなる。
(英語記事 Anonymous takes on IS)