「勝ってこんなに感情的になるのは初めて」　デビス杯優勝でマリー

テニス男子のデビス杯国別対抗戦で29日、英国のアンディ―・マリーが英国を1936年以来の優勝に導き、四大大会やオリンピックでの勝利よりも感動したと興奮をあらわにした。

マリーはベルギーのダビド・ゴファン相手に6-3、7-5、6-3で試合を制し、英国チームは3勝1敗で優勝した。

英国にとって合計10回目、79年ぶりの優勝となる。マリーにとっては、ウィンブルドンや全米オープンでの優勝、2012年のロンドン五輪金メダルといったこれまでの主要大会タイトルにデビス杯が加わった。

英国チームのレオン・スミス監督は、5年前にはトップリーグから2段階低い「欧州・アフリカゾーンII」にいた英国を頂点まで導いた。

歴史を塗り替えたマリー

28歳のマリーは試合後のインタビューで、「信じられない気分だ。本当に実感できるようになるには、何日かかかると思う」と述べ、さらに「これまで試合に負けてかなり動揺したことはあるけど、勝ってこんなに感情的になるのは初めてだ」と感動をあらわにした。

「この大会で勝てたなんてすごい。そんなことができるとは思ってなかった。最高だ」とマリーは感極まった様子だった。

＜英語ビデオ＞試合ハイライト

＜英語ビデオ＞デビス杯優勝は「信じられない」とマリー選手

審判の笛や、人々の叫び声、カメラのフラッシュ加えて、歴史的な試合という重みにマリーは負けるわけにはいかなかった。ゴファンも同じように譲れない。

グランドスラム大会で2度タイトルを獲得しているマリーは、とても異例な状況の下で、無難なストレート勝ちを決め、大活躍の1年を締めくくった。

ゴファンも全力で戦い、試合は2時間54分にわたったが、マリーはひるまず、最後に見事なロブを返して勝利を決めると、コート上に倒れ、追いかぶさるチームメイトに祝福された。

「こんなチャンスはもう2度とないかもしれないから、この瞬間を楽しまなくちゃ」

スミス監督は、「素晴らしい。これ以上最高の気分は想像できない。アンディ―は最高のスーパースターだと証明した」と語った。

「彼はすぐ『チームのおかげだ』と言うようなやつだが、驚異的なことを成し遂げた。みんなを誇りに思う」

28日にマリーとダブルスで組んだ兄ジェイミーは、「自分のキャリアで群を抜いて最高だ。素晴らしいシーズンで、最後も信じられないような締めくくりだ」と述べた。

識者の見方

ジョン・ロイド氏（元プロテニス選手、英国チームコーチ）

非常に素晴らしい成果だ。世界一になったのだから。アンディ―・マリーのプレーにはただただ驚嘆させられた。人々がテニスに関心をもってもらう機会にしなくてはいけない。

アンドリュー・カッスル氏（テレビコメンテーター）

過去最高のテニス選手たちが登場したこの時代に、その一人として存在感を示した。今回の優勝は新たな業績だ。

ラッセル・フラー（BBCテニス編集委員）

マリー選手の貢献は計り知れない。それでも彼はチームがこれまで5年間努力してきたことを強調していた。レオン・スミス監督は戦略やチームスピリットの高揚に手腕を発揮した。また、トップリーグに上がるまでに重要な得点を重ねてきた選手たちのおかげでもある。

＜ビデオ＞マリー選手、勝利の瞬間

著名人もSNSで祝福

ノバク・ジョコビッチ選手は「英国チーム、デビスカップ優勝おめでとう。アンディ、君のリアクションを見て、2010年に自分たちが優勝したときの喜びを思い出したよ。よくやった。楽しんで」とツイートした。

元サッカー選手のデービッド・ベッカム氏はインスタグラムで「なんて素晴らしい成果だ、みんなおめでとう。久しぶりにデビス杯を手に入れたけど、素晴らしいフィニッシュだった。よくやった。選手やチームの裏方のおかげで、ほんとうに鼻が高い」とコメントした。